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救急隊員「そのままにしてください」重症の70代女性を担架で運び玄関へ戻ると…→靴を見て思わず戸惑ったワケ

  • 2026.9.7
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。ライターのとしです。

救急隊が傷病者の自宅へ入るとき、玄関で靴を脱いで活動することがあります。

その何気ない行動にも、実はその後の搬送を考えた理由があります。

今回は、胸の痛みを訴えた70代女性の救急現場で、玄関に戻ったときに少し困ってしまった出来事をご紹介します。

胸の痛みを訴えた70代女性

あるとき、70代女性が胸の痛みを訴えていると娘から救急要請が入りました。

通報内容から重症の可能性も考えられたため、救急隊だけでなく、傷病者の搬送を手伝ってもらうため消防隊にも応援を要請して現場へ向かいました。

女性の自宅に到着した救急隊は、玄関で靴を脱いで室内へ入ります

女性の状態を確認すると、やはり重症感がありました。

意識状態や血圧、脈拍など必要な観察を行いながら、到着した消防隊とも連携し、担架を使って女性を救急車まで搬送することになりました。

女性を担架に乗せ、隊員たちで慎重に玄関へ向かいます。

ところが、玄関まで戻ったところで、先ほどとは少し様子が変わっていました。

「これ、誰の靴だ?」

玄関を見ると、救急隊員や消防隊員が脱いでいた靴が、きれいに揃えられていました。

おそらく家族が、玄関に脱いだままになっている靴を見て、

「邪魔にならないように揃えておこう」

と思ってくれたのでしょう。

もちろん善意からの行動だったと思います。

ところが、救急隊や消防隊が履いている靴は似たものが多く、位置を変えられてしまうと、一目では誰の靴なのか分からなくなることがあります。

女性には重症感がありました。

玄関で一足ずつ、

「これは誰の靴だ?」

と確認している余裕はありません。

そこで、その場では別の隊員の靴を一旦履き、女性を玄関先に準備していたストレッチャーまで搬送しました。

女性を安全に移したあと、すぐに自分の靴へ履き替えました。

救急隊が靴を置く位置にも理由がある

私が勤務していた救急現場では、玄関で靴を脱ぐとき、ただ適当に脱いでいるわけではありませんでした。

傷病者を搬送するとき、自分が担架のどの位置を担当するのかを考え、それに合わせて靴を置くこともあります。

玄関へ戻ったときに、そのまますぐ履いて搬送を続けられるようにしているのです。

救急隊だけで活動している場合でも似たような靴が並びますし、消防隊が応援に加われば、さらに多くの靴が玄関に並ぶことになります。

見た目が同じような靴ばかりなので、位置が変わってしまうと自分のものを探すのに時間がかかることがあります。

今回も家族に悪気があったわけではありません。

むしろ、きれいにしておこうという気遣いだったと思います。

しかし救急現場では、その善意が思わぬ形で活動に影響することもあるのです。

そのままにしてもらえると助かることも

女性はその後、救急車内へ収容しました。

受け入れ可能な医療機関もすぐに決まり、搬送中に大きな容態変化はなく、無事に医師へ引き継ぐことができました。

一般の家庭では、玄関に靴が乱れていたら揃えるのが自然だと思います。

ただ、救急隊や消防隊が活動しているときは、靴だけでなく資器材についても、すぐ次の行動に移れるよう意図して置いている場合があります。

そのため、救急活動中に玄関へ脱いである靴を見ても、できればそのまま動かさずにしてもらえると助かります。

一見すると乱雑に置いているように見えても、そこには搬送を少しでもスムーズにするための理由があることを知ってもらえればと思います。


ライター:とし

元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。


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