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窓口で電話をしながら『200万円の振込』を希望する客…銀行員が“使用用途”を聞くと…回答に違和感を感じたワケ

  • 2026.9.9
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。くまえり銀行員です。

今日は、「自分のお金なのに、どうして簡単に出せないの?」と、お客様から疑問を投げかけられた、ある日の窓口での出来事をご紹介します。

9月は金融機関にとって半期末。特に期末が近づくと、「今月中に振り込みをしたい」と、普段より急いで手続きをされるお客様もいらっしゃいます。

その日も、窓口に来られたお客様は「期末までに、どうしても振り込みをしたい」と話され、200万円の出金を希望されていました。

一見すると、急いでいるだけのお客様です。ところが、手続きを進めるうちに、私は小さな違和感を覚えました。

スマホ越しに聞こえる指示と、200万円

お客様はスマートフォンで誰かと電話をしながら、振込用紙を書いていました。

そこで私が気になったのは、その書き方です。

ご記入の様子を拝見していると、お客様ご自身が金額を決めているというより、電話の相手から言われた金額をそのまま書かされているように見えました。

さらに、お客様は200万円を「宝飾品の購入」に使うと説明されました。

そこで、もう一つ引っかかったことがあります。

「宝飾品を購入するのに、なぜ期日までに急いで振り込む必要があるのだろう?」

もちろん、宝飾品の購入そのものがおかしいわけではありません。ただ、急いで振り込みたいという事情と、電話をしながら相手に言われた金額をそのまま記入しているように見える状況が重なり、確認を続ける必要があると判断しました。

お客様からすれば、自分のお金です。

「たかが200万円で、そこまで必要?」

そんな気持ちになっても不思議ではありません。確認が続けば、「私を疑っているの?」と思われることもあります。

それでも、ここで手続きを急いで終わらせることはできませんでした。

「そんなものはない」から始まった確認

そこで私は、宝飾品購入の事実を確認するため、見積書など、取引内容が分かるエビデンスの提出をお願いしました。

すると、お客様から返ってきたのは、

「そんなものはない」

という言葉でした。

この時点で、銀行員としてさらに慎重に確認する必要があると考えました。

高額な出金では、年齢だけを見て判断することはありません。近年は若い世代も特殊詐欺などの被害に遭うため、年齢にかかわらず、資金の使い道や取引の状況などを確認します。

今回のように、電話をしながら相手から言われた金額を記入しているように見えること、出金理由が宝飾品の購入であること、さらにその支払いを期末までに急いでいること。そして、その取引を裏付ける資料が確認できないこと。

一つひとつは小さなことでも、重なれば「本当にお客様ご自身の意思で、この200万円を動かそうとしているのか」と立ち止まって確認する必要があります。

最終的に警察へ連絡し、お客様には個室で警察とお話しいただくことになりました。

その結果、宝飾品購入を裏付ける資料が確認できないことから、警察からお客様へ、いったん手続きを中止するよう説得していただきました。

そのため、この200万円は出金せずに終わりました。

最後にお客様がおっしゃったのは、こんな言葉でした。

「自分のお金なのに簡単に出せないのは本当に困ります。でも、万一詐欺だったらここで止めてもらえてありがたいと思わないとね」

最初は、確認が続くことに納得できない様子だったお客様。

それでも最後には、銀行員が立ち止まった意味を受け止めてくださいました。

確認には意味がある

窓口で「そんなに確認する必要があるの?」と思う場面があったとしても、その確認が、お客様自身も気づいていない危険を止める最後の機会になることがあります。

「急いでいるから早くしてほしい」と思うのは当然です。

だからこそ、9月末のように「期日までに」と気持ちが急いでいるときほど、一度立ち止まって、誰に、何のために、いくらのお金を振り込もうとしているのかを確認してみてください。

銀行員が時間をかけて確認するのは、お客様のお金を出したくないからではありません。

大切なお金だからこそ、本当に安全な取引なのかを最後まで確認したい。

その思いで、窓口では一つひとつの違和感を見逃さないようにしています。


ライター:くまえり銀行員
金融機関の窓口業務に携わり、日々さまざまなお客様対応を経験。忙しい日常の中で起こりがちな銀行手続きの行き違いやトラブルを、窓口の内側から見た視点で、読者に寄り添いながら伝えています。「知らなかった」が「なるほど」に変わる瞬間を大切に執筆中。


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