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デイサービスで「冷房を弱めて」「もっと涼しくして」同じ部屋の利用者から正反対の要望→介護士がとった“どちらも我慢させない方法”とは

  • 2026.9.11
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「寒いから冷房を弱めて」「暑いからもっと涼しくして」

同じ部屋で過ごす利用者様から、正反対の要望が寄せられました。室温を簡単には変えられないなか、スタッフはどのように対応したのでしょうか。

介護現場で大切にしたい、一人ひとりの声に寄り添う工夫について紹介します。

「寒い」「暑い」正反対の声が…

デイサービスで働いていたときの出来事です。

9月に入り、朝晩は涼しくなっていましたが、日中はまだ蒸し暑さが残っていました。施設内でも、利用者様の体調に気を配りながら冷房を使用していました。

午前10時ごろ、利用者様がそろい始めたときのことです。

「なんだか寒いわね……。冷房がついているでしょう? 少し弱めてちょうだい」

ある利用者様がスタッフに声をかけました。すると、その会話を聞いていた別の方からも声が上がります。

「今日は特に蒸し暑いな。もう少し涼しくしてもらえない?」

同じ部屋にいるお二人から、正反対の要望が寄せられたのです。

季節の変わり目は特に、このような声が増えやすかったのです。

室温も座席も簡単には変えられない

施設内の室温は26度に保たれていました。

どちらか一方の要望に合わせて設定温度を大きく変えると、ほかの利用者様の体調に影響するかもしれません。

かといって、一方に「我慢してください」とお伝えするのも避けたいところでした。

席を移動していただくことも考えましたが、それも簡単ではありませんでした。

デイサービスでは、利用者様同士の関係や歩行時の安全、スタッフが見守りやすい位置などを考えて席を決めています。自分の席にこだわりをもつ方もいらっしゃいます。

そこでわたしたちは、今の環境を大きく変えずに対応する方法を考えました。

それぞれに合った方法を試してみると…

まず、寒いと話す利用者様の近くにある窓を少し開け、暖かい外気を取り入れました。

さらに冷房の風向きを変え、冷たい風が直接肌に当たらないように調整しました。

ただし、窓を開けたままにすると室温や湿度が上がります。

暑いと感じる方の負担にならないよう、温度や湿度を確認しながら、こまめに窓を開閉しました。

また、寒いと話す方には温かいお茶を、暑いと話す方には冷たい飲み物をお出ししました。

9月とはいえ、蒸し暑い日には脱水や熱中症にも注意が必要です。それぞれが好む飲み物で、水分を摂っていただくことにしました。

「まだ暑い日もあるけれど、温かいお茶はいつでもほっとするわね」

「アイスコーヒーがまだまだ恋しい時期だよね」

お二人とも、飲み物を手にすると表情がやわらぎました。

一息つくころには、室温についての訴えも聞かれなくなっていました。

大切なのは、どちらの声も置き去りにしないこと

暑さや寒さの感じ方は、一人ひとり違います。

特に高齢者の場合、周囲の人が快適だと感じる室温でも、気づかぬうちに身体に負担がかかっていることがあります。

設定温度だけで判断せず、表情や顔色、汗のかき方などを観察することが大切です。風向きや着るもの、飲み物など、少しの工夫で過ごしやすくなる場合もあります。

要望すべてに応えるのは難しいこともあります。それでも、どちらか一方に我慢してもらうのではなく、それぞれの声に耳を傾けることはできます。

安全を守りながら、みんなが心地よく過ごせる方法を探す。

それも介護士の大切な役割なのだと、改めて感じた出来事でした。


文:しまむら けいこ/介護福祉士・Webライター 

介護福祉士として10年以上、デイサービスや入所施設などさまざまな介護現場で経験を積む。現在も介護職として働くかたわら、Webライターとして活動。介護や暮らし、働き方について発信している。二児を育てるワーキングマザー。


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