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保護者「ブランドもののズボンを汚された。弁償して欲しい」図工の授業後に電話→児童に話を聞いて分かった真相とは…

  • 2026.9.8
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。元小学校教員のみずいろ文具です。 

小学校1年生を担任していたときのことです。

1年生にとって、絵の具を使った図工の授業はなかなか大仕事。

水をくんだり、筆を洗ったり、パレットを片づけたり……。まだ扱いに慣れていない時期だったため、事前のお便りでも「汚れてもよい服装で来てください」とお願いしていました。

その日も補助の先生に入ってもらいながら、なんとか授業を終えました。

ところが放課後、ある保護者から電話がかかってきたのです。

「わざと水をかけられたんです」

電話の相手は、Aさんのお母さんでした。

「今朝、ブランドものの白いズボンを穿かせていったんです。それを隣のBちゃんにわざと汚されたって泣いています」

さらに、

「お気に入りだったのに……相手に弁償してもらいたいです。Bちゃんの親に伝えてください」

と、かなり強い口調で訴えます。

私は驚きました。

授業中、Aさんから「水をかけられた」という訴えは一度もありませんでした。しかも、その日は補助の先生がAさんの近くで子どもたちを見てくれていました。

念のため確認しましたが、その先生も「そんな場面は見ていない」とのこと。

もちろん、教師がすべての瞬間を見ているわけではありません。
当時、学級の児童は35人いました。

補助の先生も、個別対応していることが多く、ずっとAさんの様子を見てはいませんでした。

そこで翌日、本人たちから改めて話を聞くことにしました。

「Bちゃんがやった!」

翌朝、Aさんに聞くと、

「Bちゃんが、わざとバケツの水をかけたんだよ!」

とBさんのほうをキッと見つめてはっきり答えました。

そこで今度はBさんにも話を聞いてみることに。

ところがBさんは、何のことか全くわからないという顔でポカンとしています。

近くの席の子どもたちにも、一人ずつ事情を聞いてみました。

すると、Aさんの後ろの席のCさんが、

「Aちゃん、自分で水をこぼしてたよ」

と言いました。机の上に置いてあったバケツを運ぼうとしたときにかかってしまったとのこと。

Aさんがしばらくズボンを触って気にしていたので、よく覚えていたそうです。

改めてAさんと二人で話をしました。

すると、表情には明らかに動揺が見え、少しずつ声の勢いもなくなっていきました。

そして最後には、

「……自分でこぼしちゃった」

と認めたのです。

どうしてBさんにやられたと言ったのか尋ねると、

「お母さんに怒られると思ったから」

とのことでした。

失敗することは恥ずかしくない

初めての絵の具では、当然水をこぼしてしまうことだってあります。

私はAさんに、

「失敗は誰にでもあるから、水をこぼしたことは恥ずかしいことじゃないよ。本当のことを話してくれてありがとう」

と伝えました。

ただ、自分が怒られたくないからといって、やっていない友達のせいにすれば、その子を傷つけてしまいます。そのことも一緒に話しました。

放課後、Aさんのお母さんに再び電話をし、確認できた事実を伝えました。

しばらく沈黙したあと、

「……そうですか」

という一言。

お母さんもバツが悪かったのか、深いため息とともに電話は切れました。謝罪こそありませんでしたが、誤解が解けたことには安堵しました。

子どもから「○○ちゃんにやられた」と聞けば、親として心配になるのは当然です。ましてや、新品の服が汚れて帰ってきたら、ショックを受ける気持ちもわかります。

一方で、子どもの話だけでは分からないこともあります。

トラブルの際は、子どもの気持ちに寄り添いながらも、一方の話だけで決めつけず、落ち着いて事実を確かめることの大切さを改めて感じた出来事でした。 



ライター:みずいろ文具

関東の公立小学校で15年間、子どもたちと向き合ってきました。教室での日々を通して感じた喜びや戸惑い、子どもたちから教わったことを、今は言葉にしています。教育現場のリアルや、子どもたちの小さな成長の瞬間を、やさしい視点でお届けします。


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