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勤務外の「呼び出し対応」は、実際に連絡が無くても睡眠を妨げる

  • 2026.8.24
オンコール勤務では、呼び出しが無くても睡眠が妨げられる可能性 / Credit:Canva

仕事を終えて家に帰っても、「何かあれば連絡します」と言われていては、完全に気を抜くことは難しいかもしれません。

とくに夜間の呼び出しに備えるオンコール勤務では、電話が鳴れば当然、睡眠は中断されます。

しかしオーストラリアのセントラルクイーンズランド大学(CQU)によると、これまで行ってきた研究では、実際には一度も連絡が来なかった夜でさえ、オンコールであることによって睡眠が乱れる場合があることが示されています。

どうやら「いつ呼ばれるかわからない」という待機状態そのものが休息を妨げるようです。

このオンコール勤務の疲労対策を整理したレビュー論文は、2024年9月29日付で科学誌『Sleep Medicine Reviews』にオンライン公開されました。

目次

  • 「急な呼び出しに備える」オンコール勤務
  • 「呼ばれるかもしれない」だけでも睡眠は乱れる

「急な呼び出しに備える」オンコール勤務

オンコールとは、必要になれば電話などに応じて仕事をしたり、場合によっては職場へ向かったりできるよう、あらかじめ待機しておく働き方です。

医師や看護師などの医療従事者をはじめ、救急、インフラ、鉄道、ITなど、いつ問題が起きるかわからない仕事で利用されています。

普通の勤務と違うのは、実際には仕事をしていない時間でも、「連絡が来ればすぐ仕事に切り替える」という状態が続くことです。

そこで研究チームは、こうしたオンコール勤務による疲労をどのように減らせるのかを調べました。

まず各国の政府機関や規制当局、業界団体などが公表しているガイドラインを調査し、最終的に65件の文書を分析。

そこで勧められていた対策は、勤務予定を予測しやすくする、オンコールや連続勤務の時間に上限を設ける、疲労について教育する、呼び出しの方法や仕事量を管理するなど、大きく8種類に分けられました。

ところが、これらの対策には「もっともらしい」ものが多い一方、本当に疲労を減らせるのか科学的に確かめられていないものも少なくありませんでした。

そこで研究チームはさらに、オンコール勤務の疲労対策を実際に検証した研究を体系的に調べました。

1217本の文献を調べ、条件に合う研究を絞り込んだ結果、最終的に対象となったのは17研究で、その多くは医師や看護師など医療従事者を扱ったものでした。

比較的根拠が多かったのは、オンコールや連続勤務の時間を制限する方法です。

多くの研究では、こうした制限によって睡眠時間が増え、疲労やストレスも減る方向の結果が確認されました。

また、オンコール中に仮眠時間を確保したり、事前にオンコールで起こり得る仕事や優先順位の付け方を訓練したりする方法にも一定の効果が示されています。

ただしオンコール勤務には、実際に働いた時間だけでは説明できない問題もあります。

より詳細な結果を次項で見ていきましょう。

「呼ばれるかもしれない」だけでも睡眠は乱れる

夜中に電話で起こされれば、睡眠時間が削られるのは当然です。

ところがこれまでのオンコール実験では、実際には呼び出されなかった場合でも、「今夜は連絡が来るかもしれない」と分かっているだけで睡眠が悪化することが示されています。

とくに問題になると考えられているのが、「本当に呼ばれるのかどうかわからない」という不確実性です。

過去の実験では、呼び出されるかどうかが不確かな条件では睡眠や翌日の認知能力が悪化し、「連絡を聞き逃すかもしれない」という心配も就寝前の不安や睡眠に影響していました。

ではオンコールや連続勤務の時間に上限を設ければ、それだけで解決するのでしょうか。

今回のレビューでは、勤務時間を制限すると睡眠や疲労が改善するケースが多かった一方で、同じ量の仕事を短い時間で処理することになり、仕事が高密度化するケースも報告されていました。

医療現場を対象にした研究では、担当患者が1人増えるごとに、研修医の睡眠時間が約38分減った例もあります。

つまり勤務時間だけを短くしても、人員や仕事量が変わらなければ、残された時間に業務が集中し、せっかくの疲労対策を打ち消してしまう可能性があります。

また、オンコール中に3時間の仮眠時間を確保した研究では、本人が感じる眠気には明確な違いがなかったものの、注意力を測る課題では反応速度が改善しました。

自分では「それほど疲れていない」と感じていても、実際の注意力とは一致しない場合があることを示す興味深い結果です。

ただし今回のレビューは、対象研究の多くが医療従事者に偏っており、疲労の評価にも自己申告が多く使われているため、すべての職業にそのまま当てはめられるとは限りません。

それでも、これまでの実験と今回のレビューを合わせて見ると、オンコール勤務では「何時間働いたか」だけでなく、いつ呼ばれるかわからない状態で休まなければならないこと自体も、睡眠と疲労を考えるうえで無視できない問題だと言えるでしょう。

参考文献

How being ‘on‑call’ for work can disrupt your sleep—even if the call never comes
https://medicalxpress.com/news/2026-08-oncall-disrupt.html

元論文

How should we manage fatigue in on-call workers? A review of guidance materials and a systematic review of the evidence-base
https://doi.org/10.1016/j.smrv.2024.102012

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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