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井桁弘恵、やりたいことを絞らずチャレンジし続けた20代 周囲の声に負けず重ねた経験が強みに

  • 2026.8.22
井桁弘恵 クランクイン! 写真:高野広美 width=
井桁弘恵 クランクイン! 写真:高野広美

抜群の好感度でバラエティー番組やモデル業はもちろん、近年は俳優として映画やドラマに出演し主演を務めるなど活躍のフィールドを広げている井桁弘恵。この秋、さらなるチャレンジとして、舞台『SWAN-Ballet cross Reading-』で主人公・聖真澄という大役に挑む。幼少期にバレエを習っていたという井桁に、本作に注ぐ意気込みや、来年迎える30歳への思いを聞いた。

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◆上手いとは何かというのが決められないからこそ人はバレエに魅了される

1976年に連載を開始し、半世紀にわたり愛されてきた有吉京子によるバレエ漫画『SWAN-白鳥-』を原作とする本作。シリーズ累計発行部数2200万部の大ベストセラー、バレエ漫画の金字塔を、連載開始50年の記念の年にバレエ×リーディングのコラボレーションで舞台化する。

リーディングキャストには井桁のほか、村川絵梨、東啓介、西野遼、福士誠治ら実力派が集結。バレエキャストでは、井桁が演じる真澄役を飯島望未、塩谷綾菜、柴山紗帆の3人が担当するなど、日本を代表するバレエダンサーが本作を華麗に彩る。

――本作出演オファーを聞かれた時のお気持ちはいかがでしたか?

井桁:原作を読ませていただき、情熱にあふれた作品だなと思いました。バレエってどこか別世界というか、身近な存在ではない感じがあると思うのですが、作品の中でもがいている登場人物たちの悩みや心で燃え上がる気持ちには共感できるところがたくさんあって。10代だからこそ将来にもがく感じや、相手が気になる感じ、そういうところには懐かしく感じる部分もありました。すごく面白いなと思いましたし、バレエを好きな方はもちろん、そうでない方にも届けたいと思える、力強い作品だなという印象を抱きました。

――リーディングは初挑戦ですが、稽古の感触はいかがですか?

井桁:リーディングは、逆に文字を追う怖さがあります。本を持っていることで体の表現が狭まり、声色と表情だけで表現することになるのでそこが難しいです。初めての経験なので、なんとか頑張りたいなと思います。

――井桁さんもバレエをやられていたとか。バレエの魅力はどんなところにあると思われますか?

井桁:私は先に習っていた姉に憧れて3歳から12歳まで9年間やっていました。コンクールとかそういうレベルじゃなかったんですけど、でもやっぱりバレエがすごく大好きで。バレエの体の作り、普通ではないこのオープンに体を開放して踊ることの異次元感は本当に芸術ですよね。体1つでそこまでの芸術を作り出してしまうんだ!って。そこに対して妥協することなく、徹底的に極限のその先まで突き詰めるところがバレエの魅力だと思います。

あとは昔からある同じ音楽、同じ作品を踊り継いでいくことにもすごく歴史を感じます。私も小さいころ「くるみ割り人形」を観て、「うわ!これやりたい!!」と思いましたし、今あの曲を聴いてもすごくワクワクします。

バレエはどれだけ体が柔らかくて、どれだけ跳べても、観る人はそこよりも何か別のところに魅力を感じる。技術とかではなく、上手いとは何かというのが決められないからこそ人はバレエに魅了されていくんだろうなとも思います。

◆自身は俯瞰型なタイプ 主人公の真っすぐな熱さにあこがれも

――今回演じられる真澄について、「感情豊かでバレエを愛し、とにかく一生懸命な子」「愛おしくて抱きしめてあげたくなるような魅力をもつ女の子」とお話されていましたが、稽古を重ねる中で印象に変化はありましたか?

井桁:変わらないですね。本当にバレエ一筋でもうバレエしか目になくて、100%注ぎ込んでいるからこそ悔しい!って100%で思うし、すべての感情がバレエ軸によって動かされているんです。

10代だからこそ、まだ気持ちが大人になりきっていなくて。大人だったら「そういう時もあるよね」と、ちょっとどこか見切りをつけてしまえるところもそうできないのも真澄らしいですし、私もそういう時があったなって感じます。

――ご自身と似ている点はありますか?

井桁:私は割と俯瞰型というか、自分の感情に支配されるということがあまりないので、共通点っていうとバレエが好きだっていう思いくらいで、他はあまり似ている部分は少ないです。真澄のように、あそこまでのめり込めるというのは素敵だな、幸せなことだなと思いながら演じています。

――真澄を演じるにあたり、特に気を配られている点はどんなところでしょう。

井桁:私は舞台の経験があまり多くないのですが、リーディングだと聞いていたんですけど、これは踊って演じているんじゃないか?と思うところもあって(笑)。リーディングという想像を超えた、お芝居の要素もすごく大きいと思うので、ちゃんと真澄になれるように、テンション感や自分の落ち着いてしまうこの感じを少しでも解放できるようにというのは意識しています。真澄は、技術的には飛び抜けて上手いわけじゃないんだけど見出されていくという役柄なので、私自身も何かきらめくものを出せるように、何か魅力をプラスできるようにというイメージで向き合っています。

――動きというお話がありましたが、バレエを踊るようことも……。

井桁:そこまでは行かない感じですが、キャストみんなで踊る場面もありますし、ダンサーの方とちょっとシンクロして2人1役っていうのが分かるような動きもあったりするので、そういうところで表現できればなって思って。テレビやコマーシャルでの振り付けとは違う、ステージでのダンスっていうのはバレエをやめて以来なので、そこはすごく楽しいですね。

――真澄を演じるにあたり、演出の小林香さんから掛けられた言葉で印象に残っているものはありますか?

井桁:原作が漫画で、少女漫画らしい劇的な描写もありますし、セリフも実生活とはちょっと違う雰囲気があるので、そこをどう成立させるかというところに関して、10代の青い部分というのを前面に出してほしいということと、真澄の感情的なところはもっと振り幅を大きく持ってやってほしいというお話をいただきました。

あとは日ごろ映像のお仕事が多いので、発声から頑張れと背中を押していただいています(笑)。

――今回、真澄役を3人のバレエダンサーの皆さんと共に演じられます。稽古を通して、どんなコミュニケーションを取られていますか?

井桁:演出をつけていただく際に、小林さんの言葉を4人で聞くような感じで、リーディングのセリフや動き、真澄の考えやテンションもバレエダンサーの皆さんと共有されているので、お互いに相談や研究をしながら取り組んでいます。私もお三方を見ながら、「あ!真澄ってそういう動きをするんだ!」と発見することもありますね。

――間近で皆さんのバレエを見ていて、またやりたいなという気持ちは芽生えませんか?

井桁:めちゃくちゃあります。大人になって1回だけレッスンに行ってみたことがあるんですけど、もう足が攣りそうになっちゃって(笑)。無理だなと思いました。

今回皆さんのバレエを間近で見ると、やっぱり大人になるまでやられているって本当にすごいことだなって改めて感じました。

◆やりたいことを絞らず、興味あるすべてに挑戦し続けた20代

――井桁さんは来年2月に30歳を迎えられます。振り返ると、20代はどんな10年でしたか?

井桁:明確に決めていたわけじゃないですけど、やりたいことが着実にというか、少しずつ進んできたなって思う10年でした。上京してきて、仕事も何もなくて悩んでいた時から、自分の強みを広げようと思っていろんなことに興味を持って、それこそバラエティーもモデルも演技もやりたいって言って。その当時はどれかに絞った方がいいとすごく言われ続けたんですけど、「でも自分は全部やりたいんだけどな」と思って、とにかく頑張りました。自分の好きなことや特技、強みを増やしていった結果、今やっと、そういういろんなことをやれる強さっていうのが、まだまだですけど武器になってきたのかなと感じます。

――MCを務める『おしゃれクリップ』ももうすぐ5年経つんですね。20代後半、1つの番組にずっと携わり続けたというのも大きな経験になったのではないでしょうか?

井桁:あの番組でいろんな方の芸能界で生き抜く理由や力、人生というのを学ばせていただいたことも、すごく大きな自分の要素になっているなと思います。

――今回の舞台もそうですが、いろいろな経験を重ねて迎える30代へ向けて、何か目標みたいなものはありますか?

井桁:もともといろんなことに興味があって、やったことがないことに興味がある、知らないものに触れる自分に興味があるタイプなんです。なのですごくポジティブに新しい仕事にもチャレンジできるんですね。今はいろんなことをすることが肌に合うなって思っていて、最近はピックルボールが仕事になったり、海外の仕事が増えたり、そういうことがすごく心地いいなって感じてきたので、そこの体力を底上げしたいなって思います。

これまで20代だからいろいろなことができる体力もあって、経験値を多く重ねることがメインだったのですが、今回の舞台や、映画『教場』などがっつり向き合える作品にも出会えるようになってきたので、ひとつひとつの質も上げていけるようになりたいなと思っています。

――そんな井桁さんのまた新しいチャレンジを目撃できる本作。楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。

井桁:今回、バレエをやっていた自分が、役者になってまたバレエに携わることができるってすごく不思議なご縁を感じますし、少しでも経験している私だからこそ何か演じられることがあるのではないか、バレエの魅力をもっともっと伝えたいっていう気持ちで臨んでいます。

素晴らしいバレエダンサーの方々が集まっているのを稽古で改めて感じて、「こんなに素晴らしいものを観られていいの!?」と衝撃がありました。本当にこのバレエを観られるだけでも価値がすごくありますというのは声を大にしてお伝えしたいですし、そこにリーディングが合わさることによって、バレエの邪魔をするのではなく、さらにバレエの魅力を引き立てられるようなそんな作品にできるよう頑張ります。

とはいえ、気楽に観に来てほしいなと思います。バレエってなると敷居が高い感じがして、ちゃんとした服を着てとか、観る方もちゃんと観なきゃ!という気持ちになってしまうかもしれないんですけど、本当に気楽に楽しんでいただける作品になると思いますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたらうれしいです。

(取材・文:近藤ユウヒ 写真:高野広美)

舞台『SWAN-Ballet cross Reading-』は、9月4日~9日東京・新国立劇場 中劇場にて上演。

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