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「過去を力に、自分を更新していく」40歳を迎えたトライアスロンコーチ・中村美穂さんの年齢に縛られない生き方とは?

  • 2026.8.24
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年齢を重ねるにつれて、体力や肌のハリの変化に少し自信をなくしてしまいそうになる…。そんな経験は誰にでもあるはずだ。
しかし、“MihoC”こと中村美穂さんの姿は、そうした年齢へのネガティブな思い込みを吹き飛ばしてくれる。
プロトライアスロンコーチとして多くのアスリートを指導し、経営者としても多岐に渡る活動を続けながら、自らもトライアスリートとして走り続ける彼女。

今月40歳の誕生日を迎えた美穂さんは「私には年齢へのネガティブな感情や思い込みはありません」と語る。この夏からウィメンズヘルスの読者モデルコミュニティ「Fit Icons」のメンバーとしても活動をスタートした。

今回は「表面的な若さとは違う、深い自信と輝きを持っていたいんです」という美穂さんに、多くの女性が抱える“年齢の壁”という不安を解消し、重ねる歳月を魅力に変えるマインドセットやウェルネス習慣を、今までの経験とともに教えてもらった。

過去の経験が「今」をつくり、今の自分が「未来」をつくる

美穂さんは20代の頃の自分と40歳を迎えた自分を比べたとき、そこには過去への未練やネガティブな気持ちは少しもないという。

「年齢を重ねることは、単なる体の衰えではなく、新しい経験や深い考え方を身につけて自分をアップデートしていくプロセスだと考えているからです」

挫折と摂食障害を乗り越えて。今の輝きにつながる原点

左:29歳の美穂さん、右:39歳の美穂さん Hearst Owned

常に前を向いて走っているように見える彼女だが、20代の頃には大きな挫折と葛藤があった。

「6歳から競泳の世界で戦い練習を続けましたが、オリンピックへは届かず、大学卒業とともに現役生活を終えたんです。そして選手引退後、22歳のときにストレスや生活環境の変化が原因で、摂食障害とパニック障害、躁鬱を患いました。
摂食障害を抱えていた当時は、170センチの身長で体重が30キロを切るほどの深刻な状態が4〜5年間続いていて。孤独や周りから見捨てられることへの恐怖でいっぱいでした。どうにかこの状況から抜け出したいという気持ちで向かったのは、やっぱりプールだったんです」

最初は体力の衰えが激しくて歩くことしかできなかったが、小さな一歩から心身のケアを始め、少しずつ体調と自信を取り戻していったという。苦しみの底から自分を立て直したこの経験こそが、今のコンディションを整える力や、「自分の体と心を大切にする」マインドセットの原点になっている。

経験を重ねるほど、自分にしか出せない深みと魅力が増していく

「20代の頃は、何か爪痕を残したくて必死だったし、出る杭は打たれれば強くなると信じて、とにかく駆け抜けていた気がします」

大学卒業後は摂食障害と向き合いながら一般企業で働いていた美穂さん。摂食障害克服のために足を運んだプールに救われたことがきっかけとなり、26歳で一般企業を退職し独立。水泳コーチとしての道を歩み始めた。

「独立した直後は仕事がまだ少なくて。道でチラシ配りをしていた時期もありました。でも苦しいことや楽しいこと、たくさんの経験を若いうちにしたからこそ、個性が際立っていったと思うんです。

年齢は失うものではなく積み重なるもの。わたしは年齢を重ねれば重ねるほど深みのある、渋くてかっこいい人間になりたいんです。ヴィンテージのアクセサリーのように、新しいものでは生み出せない価値があると思っています」

と話す言葉には、これまでの経験を糧にして深みのある自分に成長していくよろこびと期待があふれていた。

トライアスロンが教えてくれた、本当の「強さ」とは?

34歳の美穂さん。現在はトライアスロンコーチという立場からも発信を行っている Hearst Owned

独立してコーチの道へ進むと決めた頃、彼女を襲ったのは、周囲の偏見や心無い言葉だった。

「『女にできる現場じゃない』と言われたことをよく覚えていますね。『水着で仕事が取れると思うな』とも。悔しくてたまらなかったけれど、泣いたら負けだと思って絶対に涙は見せなかったし、反論もしませんでした」

偏見に満ちた言葉による「悔しさ」。美穂さんはその感情すらを大きな原動力に変えてきた。

「SNSを開けば『夢を叶えたい』『好きだから頑張る』といった前向きな言葉が溢れていますが、人を突き動かす原動力はそうした明るい感情だけではありません。焦りや不安、劣等感といったネガティブな感情が、強いモチベーションに変わることもあります。むしろマイナスな感情は強い意志と覚悟を生む。だからネガティブな感情も肯定的に、素直に受け止めればいいんです」

湧き上がる情熱をガソリンに努力を続けるなか、転機が訪れる。

「独立した年にアルバイトをしていたスポーツバーでトライアスロンコーチと出会い、アシスタントとして師事することになりました。それが、私のトライアスロンコーチとしての人生の始まりです」

ダメージに耐えるのではなく、すぐに立ち上がり歩みを止めないこと 

「『強さ』は強靭な心や体に宿るものではなく、倒れても無限に立ち上がることだと思っています。衝撃に逆らって無理に耐えるのではなく、しなやかに力を逃がしたり避けたり。ストレスを最小限に抑えて、次の行動を起こすようにしています」

自分の限界に挑む水泳やトライアスロン、20代での大きな挫折など、心身を削るようなプレッシャーを幾度も経験してきた美穂さん。多くの経験を通して辿り着いたのは、ダメージをうまく受け流して進み続けること。それが彼女が考える「強い」人間としての生き方だ。

「いつも実践しているストレス対策として、ストレスを脳・心・体の3つに分けてケアしています。今自分が抱えているストレスがどこにあるのかを判断し、適切なリカバリーをしているんです。
困難や失敗も人生のスパイス。いろいろな味を経験することで、深みのある人間になれると思っています」

これらの生産的で前向きなマインドが、内側からあふれる強さをつくっている。

周囲の存在を力に変え、 仲間とともに挑戦し続ける力

プロトライアスロンコーチとして活動していくなかで、美穂さんの中での「強さ」の定義は大きく変化していった。

「以前は『強い=勝てる人』だと思っていました。でも今は、『挑戦し続けられる人』が本当に強い人だと思っています」

そう考えるようになったのは、周囲でともに奔走するアスリートたちがきっかけだという。

「挑戦は決して一人ではできません。 仲間の支えやエール、互いを助け合う関係性があるからこそ、大会で戦い続けることができるのです。仲間の存在を力に変え、何度でも前を向いて踏ん張れること。それこそが本当の強さなのだと私は思います」

”若さ”よりも”ヘルシーさ”。「動く・食べる・眠る」の基本と厳選UVケアを徹底!

普段使っているスキンケアアイテム。今の自分に合うシンプルなものをシーズンごとにアップデート。 Hearst Owned

美容愛好家としての一面も持つ美穂さんの彼女のスキンケアの基準は、「若さ」よりも「ヘルシーさ」にある。

「若く見える人より健康的な人に惹かれます。だから最近、私自身もそんな価値観に変わってきました。スキンケアは『なんとなく良さそうだから』ではなく、自分に合うものや成分を見極めてラインナップしています。やりすぎない“ヘルシー”感を自分のまとう雰囲気でも出せるように意識しています」

エイジングに対するプレッシャーも、確立されたマインドで前向きにとらえている。

「年齢に逆らおうとする必死さって、雰囲気に出てしまう気がしていて。抗ってばかりいるのではなく、受け止めることも大切なのだと思います。抗うのは、自分のピークを感じてからでいいんです。 私のピークは、きっとまだまだ先にあります。(笑)
どんなスペシャルな美容液や最新の健康法よりも、動いて、食べて、眠ることが大切。日々の基本的な習慣をおろそかにしないことが、健康的な美しさにつながると思っています」

ヘルシーな美しさを保つ上で、紫外線ケアも抜かりなく。日常的使いの日焼け止めは「roun(ラウン)」、日差しの強い屋外練習では「Aggressive Design(アグレッシブデザイン)のファイターと使い分け。肌のダメージをしっかり防ぎ、美しい肌ツヤをキープ。 Hearst Owned

年齢の数字は気にしない。いつだって「今日」がスタートライン

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「もうこんな年だから…」と年齢の壁を理由に、新しい一歩を踏み出せずにいる人へ。美穂さんが、そのブレーキをそっと外すマインドセットを教えてくれた。

「『もう若くないから』『もう遅い』ではなく、『今日が一番若い日』と考えて行動してみてほしいです。いきなり大きく変えようとしなくても大丈夫。1駅分歩くことでも、好きな曲一曲分だけ走ることでも、あるいは運動以外で新しいことを一つ始めてみることでもいい。その小さな一歩が、必ずあなたの未来を変えていきます」

“若い頃”と比べない。今日の自分に目を向け、未来を描く

美穂さんが普段から実践しているのが「過去の自分と比べない」こと。

「昔の自分と勝負するのではなく、『今の自分ができる範囲の良い状態・悪い状態』を考えて、今なりたい自分を想像し、努力していくことです。精神をすり減らすような無理な挑戦や、完璧さは必要ありません。『今日の自分は昨日の自分より少しでも目標に近づけたかな?』自分自身に問いかけ、今の自分にフォーカスすること。その意識を持つと若い頃と比べて落ち込むこともなくなりますし、ほんのちょっとでも成長できた今の自分を認めてあげられるようになります」

年齢とともに「若い頃の方が体調もよくて、もっと動けた」と過去を美化しがちだが、過去の年齢を振り返るのではなく、今この瞬間を大切に生きることが、最高の自分を更新し続ける鍵なのだ。

人生のピークはまだまだ先。自分次第で未来は更新し続けられる

挑戦を楽しみ、日々の小さな積み重ねによって新しい自分と出会い続けてきた美穂さん。

「過去にとらわれるのではなく、今この瞬間をもっと愛することが大切です。人生のピークはいつでも『今』であり、自分次第でいつからでも更新し続けることができますから」

彼女の歩みや経験、現在の姿は、年齢を重ねることへの明るい希望を、これからも私たちに届けてくれるはずだ。

お話を聞いたのは...

中村美穂さん

生徒や周囲からの愛称「Miho Coach」を略して“MihoC”。日本で数少ない女性トライアスロンコーチ。4歳から水泳を始め、7歳から大学卒業まで競泳競技一筋。大学卒業・競泳競技引退後、一般企業に就職、スポーツから離れた生活の中で病気を経験。『自分の人生はスポーツによってより豊かに彩られる』と実感し、指導者としてスポーツの世界に戻る。自分の経験を指導者の立場から語彙化するため、栄養学、心理学、機能解剖学、幼児の行動心理学、ヨガRYT200取得など幅広く学び、指導者として独立。トライアスリートとしても、コーチとしてもトライアスロンを安全に楽しむ普及活動を行なっている。

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