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「ようやく気づきました…」預金1,800万円の60代夫婦、老後は安心と思いきや…シュミレーションで判明した“想定外の落とし穴”

  • 2026.10.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの小泉です。

家族のお金のことは、普段はなかなか話しにくいものですよね。「自分たちのことは自分たちで何とかする」と考えている方も多いのではないでしょうか。ところが、元気なうちは当たり前にできていたお金の管理が、ある日を境に難しくなることがあります。

今回は、相続だけを考えていた60代Aさん夫婦が、別の「お金の問題」に気づいたお話です。

「財産はいくらある?」だけでは足りなかった。

夫婦が最初に考えたのは、「自分たちが亡くなったとき、財産をどうするか」ということでした。預貯金や自宅など、財産を一度整理してみよう。そう思って、夫婦で話し合いを始めたのです。

夫名義の預金は1,000万円、妻名義は800万円。財産の総額は把握できています。

「預金1,800万円あるから大丈夫」と話すAさん。

ところが、話を進めるうちに、こんな疑問が出てきました。

「もし、認知症などで判断能力が低下して、自分のお金を自分で管理できなくなったらどうなるの?」

子どもに「このお金を使って生活費や介護費用を払っておいて」と頼めば、それだけで自由に親名義の預金を管理できるのでしょうか。実際には、そう単純ではありません。

預金の引き出しなどには、原則として預金者本人の意思確認が必要になるためです。もっとも、「認知症になったら必ず銀行口座が凍結され、家族は一切お金を引き出せなくなる」という理解も正確ではありません。金融機関によっては、代理人制度など、本人に代わって手続きを行うための仕組みが用意されている場合があるからです。

しかし、夫婦はここで初めて、「財産がいくらあるか」だけでは不十分だと気づきました。

元気なうちに「お金の地図」を作る

そこで夫婦は、子どもと一緒に次の項目を整理しました。

  • 預貯金がある金融機関
  • 生命保険の契約内容
  • 自宅などの不動産
  • 住宅ローンなどの借入金
  • 年金の受取口座
  • 毎月の公共料金や保険料などの支払先
  • 重要書類を保管している場所
  • 必要になった場合に相談したい金融機関や専門家

夫が特に驚いたのは、財産の総額ではありません。「1,800万円あることは分かっていても、どの口座から何を支払っているのか、子どもは知らないな」

毎月の生活費や住宅関連費、保険料まで整理すると、財産一覧だけでは分からなかった「お金の流れ」が見えてきました。

「相続」の前に考えたい、介護や判断能力低下への備え

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

夫婦はさらに、将来の判断能力低下に備える任意後見制度についても調べました。任意後見制度は、本人に十分な判断能力があるうちに、将来に備えて任意後見人や委任する事務を公正証書による契約で決めておく制度です。

契約しただけですぐに任意後見が始まるわけではありません。本人の判断能力が不十分になった後、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、選任されることで任意後見契約の効力が生じます。「家族に任せればいい」と考えるだけでなく、自分の財産を誰に、どのように管理してほしいのかを元気なうちに考えておくことが大切です。

相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除があります。法定相続人が3人なら4,800万円です。ただし、実際の相続税は財産の評価や債務、各種の特例などを踏まえて計算されるため、「4,800万円を超えた分だけに税金がかかる」という単純な仕組みではありません。また、申告・納税が必要な場合は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。

夫婦はそこで、ようやく気づきました。

「相続の準備って、亡くなった後の手続きだけを考えることじゃないんだな」

5年後、10年後に何が起きるかは誰にも分かりません。だからこそ、60代で元気な今のうちに、財産の金額だけでなく、「どこにあるのか」「毎月何に使っているのか」「自分で管理できなくなったとき、どうしてほしいのか」を家族と確認しておく。

相続、介護、認知症。それぞれ別の問題に見えても、家族のお金という点ではつながっています。

「まだ早い」と先送りせず、まずは預貯金の口座や毎月のお金の流れを書き出してみる。元気なうちの小さな準備が、将来、家族の負担を減らす第一歩になるかもしれません。


執筆・監修:小泉@社労士ライター
20年以上の社労士経験を通じて、多くの相談者から「こんな制度があるとは知らなかった」「もっと早く相談しておけばよかった」という声を聞いてきた経験から、専門知識を、必要とする人に、正しく、わかりやすく届けることを大切にしている。社会保険・労働保険、公的年金をはじめ、暮らしや仕事に関わる制度について、専門家としての正確性と、生活者目線のわかりやすさを両立した情報を執筆・発信。保有資格は、社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士など。

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