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玩具研究者・春日明夫のトイライフ。子供たちと作るために集め続けてきた、約1万点のコレクション

  • 2026.8.24

創作のため、研究のため、子供とシェアするため……人の数だけある楽しみ方。おもちゃを愛する芸術学博士、東京造形大学名誉教授・春日明夫による2026年のトイライフ。

photo: Norio Kidera / text: Eri Machida

芸術学博士、東京造形大学名誉教授・春日明夫
BRUTUS

世界中の玩具や関連資料を収集し、そのコレクションは1万点を超える玩具研究者の春日明夫さん。自らのコレクションで数多くの展示を行うなど、この道の第一人者として知られるが、もともとは研究者ではなかった。

「実は中学校の美術の教師だったんです。授業で生徒に見せるために集め始めました」

荒れた時代の学校で、普通に授業をしても耳を貸さなかった生徒たちも関心を示してくれた。そこから玩具を通して世界の国々を比較するような授業を続けるうちに評判を呼び、大学からの推薦を受けて研究の道へ進むことになる。そんな春日さんにとっての玩具の面白さは、文化や歴史、社会情勢まで読み解けるところにあるという。

「例えば、くるみ割り人形が王様や兵隊の姿なのは、19世紀に権威の象徴だった存在を風刺する発想から生まれたものなんです」

玩具をよく見ると、ものが生まれる必然性や、そこに込められた背景が浮かび上がる。そして中でも“自分で再現できるもの”を研究する春日さんは、木を削ったり土をこねたりと、“手を動かして作る”という行為そのものに価値を見出している。

「尊敬する手塚治虫も『鉄腕アトム』の中で、人間は一人一人違う感覚を持ち、手で思考できる存在だと描いています。玩具を自分で作ることが創造力の土台となり、生きる力につながっていくと思うんです」

芸術学博士、東京造形大学名誉教授・春日明夫
アトリエにはアメリカ、ヨーロッパ、メキシコなど約50ヵ国から集めた郷土玩具から1950年代頃までのものが並ぶ。覗くのは米国の〈フィッシャープライス〉のムービービューアー。ハンドルを回すとディズニーの短編映画が映る。

profile

春日明夫(芸術学博士、東京造形大学名誉教授)

かすが・あきお/1953年東京都生まれ。国公立の中学、高校美術科教諭を経て造形教育、子供をめぐるデザイン研究の分野で活躍。25年は東京・三軒茶屋の〈生活工房ギャラリー〉で戦前から戦後の子供をめぐる暮らしと文化の展覧会を開催。

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