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彼女「今の何?浮いた!?」大雨の高速道路で彼女とドライブ中にハンドルが急に軽く…30代男性が青ざめた“タイヤの盲点”

  • 2026.10.4
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

タイヤは「溝が残っているから、まだ大丈夫」と考えてしまいがちな部品です。しかし、残溝だけではタイヤの状態を判断できません。

以前から付き合いのある30代男性のYさんは、カー用品店でタイヤの状態を確認してもらった際、「雨の日、特に高速道路を走る予定があるなら交換したほうがいい」と説明されていました。

ところが、その後のドライブ中に大雨に見舞われ、ヒヤリとする出来事が起きたといいます。

「溝は残っているから大丈夫」と交換を先送り

Yさんは車のタイヤを点検してもらった際、店員から摩耗状態について指摘を受けました。

「溝はまだ残っていますが、偏摩耗もありますし、ゴムの状態もあまりよくありません。大雨の日に高速道路を走るなら、交換をおすすめします」

そう説明されたYさんでしたが、すぐには交換しませんでした。

「スリップサインはまだ出ていなかったので、もう少し使えると思ったんです。それに、4本交換となると、それなりの金額になりますから」

タイヤ交換はサイズや銘柄によって価格が大きく異なりますが、一般的な乗用車でも4本交換で数万円程度から、性能やサイズによっては10万円を超えるケースもあります。予算の都合から、交換時期を先送りしてしまう人がいるのも無理はありません。

また、店員から交換を勧められても、「営業トークなのではないか」と疑ってしまったり、車に詳しくない人ほど「溝が残っていれば大丈夫」と判断したりすることもあります。Yさんも、まさにその一人でした。

彼女とのドライブ中、突然ハンドルが軽くなった

それからしばらくして、Yさんは20代後半の彼女とドライブに出かけました。出発したときは曇り空だったものの、帰宅するころには天候が急変。高速道路を走っていると、次第に雨脚が強くなってきました。

「前の車の水しぶきもすごくて、路面にも水が溜まっている場所が増えてきました」

そして、水が溜まった路面を通過した瞬間でした。

「急にハンドルが軽くなったんです。車が一瞬、浮いたような感じがしました」

車体も左右に振られるような感覚があり、助手席の彼女も異変に気づいたそうです。

「今の何?浮いた!?」

「ちょっと危ないかもしれない」

Yさんは急ブレーキや急なハンドル操作を避けながら速度を落とし、無理に走り続けず、サービスエリアへ退避しました。高速道路では、速度が高いほど車両を安定させるための操作余裕が小さくなります。特に大雨で路面に水が溜まっている場合、タイヤと路面の間に水の層ができ、タイヤが路面から浮いたような状態になる「ハイドロプレーニング」が発生することがあります。

「溝がある」と「雨でも安全」は同じではない

後日、Yさんは私の工場へ車を持ち込みました。今回のドライブについても詳しく話を聞きながらタイヤを確認しました。残溝だけでなく、偏摩耗やひび割れ、ゴムの状態、空気圧などを確認したところ、単純に「溝が残っているから問題ない」と判断できる状態ではありませんでした。

大雨の高速道路では、タイヤが路面の水を十分に排出できるかどうかが重要になります。溝が残っていても、偏摩耗していたり、ゴムが硬化していたりすれば、タイヤ本来の性能を十分に発揮できない可能性があります。

そこでYさんには、タイヤを交換することに加え、今後は残溝だけで判断しないよう説明しました。

決して安い出費ではありませんが、Yさんも最終的にはタイヤを交換し、今回のような大雨の高速道路では無理をしないことを意識するようになりました。タイヤを見るときは、まず残溝を確認することが大切です。しかし、それだけでは不十分です。偏摩耗がないか、サイドウォールなどにひび割れがないか、ゴムが硬化していないか、空気圧が適正かなども確認しましょう。

大雨の日は特に注意

特に大雨の日は、路面に水が溜まりやすくなります。速度が高いほどハイドロプレーニングが発生する可能性も高まるため、普段より速度を落として走行することが重要です。もしハイドロプレーニングのような状態になってしまった場合は、慌ててハンドルを大きく切ったり、急ブレーキをかけたりするのは避け、アクセルペダルから静かに足を離して自然に減速し、車両の挙動を落ち着かせるようにしましょう。

そして、そもそも大雨で視界が悪く、路面に大量の水が溜まっている場合は、無理に走行を続けないことも大切です。

「まだ溝があるから大丈夫」ではなく、「このタイヤで、これからどんな状況を走るのか」という視点で点検することが、事故を防ぐための予防整備につながります。台風や大雨の予報が出てから慌てて確認するのではなく、普段からタイヤの状態をチェックしておきたいものです。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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