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新車が「どこから見てもつややか」なのは当たり前じゃない!自動車工場で目撃した、塗装の異常を探す“プロの視線”

  • 2026.10.4
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

新車のボディーを、少し上から見下ろしたり、かがんで下から見上げたり。角度を変えて眺めながら、どこから見てもつややかに輝く姿に満足したことがある人もいるでしょう。

その美しい仕上がりを確かめるため、自動車工場でも検査員は見る位置を変えます。大手自動車メーカーで塗装の生産技術に携わった筆者は、車体がラインを流れるなか、検査員が目と手を使って小さな異常を探す様子を間近で見ました。

映り込む光の変化を追う

検査するのは、塗装の色だけではありません。塗装面に付いた小さな異物や凹凸、塗料が垂れた跡、色むら、艶の違いなど、仕上がりに影響する異常を確認します。平らに見える部分でも、見る方向を変えると違いが分かる場合があります。

筆者が見た現場では、複数の固定された照明に照らされた車体が、ラインに乗って流れていました。検査員が手元のライトを動かして探すのではなく、車体の表面に映り込む光を追います。

光の線が塗装面に映ると、表面の状態を確かめる手がかりになります。異物や凹凸のある箇所では、映り込んだ光の形が周囲と違って見えることがあるためです。検査員は車体の側面や曲面に合わせて姿勢を変え、さまざまな方向から確認していました。

車体が流れていくため、一方向から見て終わりにはできません。見る位置を変えながら、次々に現れる面を確認していきます。特に曲面では、少し立つ位置が変わるだけでも、映り込む光の見え方が変わります。照明を使う設備と、検査員が身に付けた見方の両方が、小さな変化を見つける助けになります。

指先でも小さな凹凸を確かめる

目だけでなく、指先も使います。検査員は塗装面に軽く触れ、異物や凹凸がないかを確かめることがありました。見た目だけでは分かりにくい箇所も、触れることで表面の違いを確かめられます。

例えば、塗装中に小さな異物が付着すると、乾燥後の表面に盛り上がりが残ることがあります。ただし、異常の原因や状態は一様ではありません。異常を見つけることと、その後どう直すかを判断することは、分けて考える必要があります。

目と指先による確認は、一見すると特別な道具を使わない作業です。しかし、車体全体を漠然と見たり触れたりするのではなく、光の変化に注意を向け、必要な箇所の状態を確かめていました。

見つけた異常を修正工程へつなぐ

筆者が見たラインでは、前の工程で異常を見つけた検査員が、その場所に印を付けていました。すぐ後の工程では、担当者がその印を確認し、修正します。検査員が塗装面の軽微な凹凸をライン上で擦って整える場面もありました。

すべての異常を同じように直せるわけではありません。状態に応じた対応が必要ですが、検査で場所を正確に示すことが、後の作業につながります。流れる車体を確認しながら印を付ける一連の動きも、品質を守る仕事の一部です。

現在は画像やロボットを使って、塗装外観を自動検査する工場もあります。その自動検査の開発にも、検査員がどんな異常をどう判断してきたかという知見が生かされています。

ショールームなどで新車を見る機会があれば、ボディーに映る照明や周囲の景色にも目を向けてみてください。塗装の光沢を見せるその反射は、工場で仕上がりを確かめるときにも手がかりになります。


筆者:jaco

大手自動車メーカーで、自動車の塗装ラインの構築に携わった。車体の塗装面に色むらや異物がないか、品質検査を行った経験もある。現在はITエンジニア兼Webライターとして、ものづくりの現場で得た経験を生かして執筆している。趣味はキャンプ、登山、旅行。フリーランス時代には年間50泊ほどのキャンプを楽しみながら、アウトドアやIT系の記事を執筆していた。


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