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グラフィックノベルの旗手・エイドリアン・トミネが語る。新刊『ある結婚前の風景』が描かれたきっかけ

  • 2026.8.21

エイドリアン・トミネが、新刊『ある結婚前の風景』のプロモーションを兼ねて23年ぶりに来日。新刊が描かれたきっかけについて、話を聞いた。

photo: Taro Hirano / text: Mikado Koyanagi

エイドリアン・トミネのポートレート
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グラフィックノベルの旗手が、23年ぶりの来日

『長距離漫画家の孤独』などのグラフィックノベルや雑誌『The New Yorker』の表紙イラストレーションで知られるエイドリアン・トミネが、新刊『ある結婚前の風景』のプロモーションを兼ねて来日した。

トミネは小津安二郎のアメリカ版DVDのカバーイラストを描くほど日本映画の大ファンで、到着早々訪れたのも国立映画アーカイブだったという。「小津監督の『東京物語』のオリジナル脚本が見られて良かった」と笑う。そして、「中でも素晴らしかったのが」と見せてくれた写真は、何と展示されていた溝口健二のデスマスクだった。

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エイドリアン・トミネが描く、ユーモアの原点

自伝的作品『長距離漫画家の孤独』が、コミック界のアカデミー賞と呼ばれるアイズナー賞2部門(最優秀自伝賞・最優秀装丁賞)を受賞し、今やアメリカを代表するグラフィックノベル作家となったエイドリアン・トミネ。日本では順番が逆になったが、その作品を描くきっかけとなったのが、妻サラとの結婚式までのすったもんだを面白おかしく綴った新刊『ある結婚前の風景』だ。

この本は、はじめその結婚式の引き出物として配られたという。

「そうなんです。その時はコピーで作ったような簡素なものでしたが、書籍にする時にカバーも付けて、色はあえてあのハイブランドっぽいものにしました(笑)。出版社もそのアイデアにノって。内容はほぼ同じものです」

結婚式で人を何人呼ぶかとか、席順とか、選曲とか、日本でも「あるある」なエピソード満載で抱腹絶倒なのだが、それはやはり、トミネが日系のせいもあるのだろうか。

『ある結婚前の風景』の「あるある」の一つ。招待客リスト編。親の招待客の方が多いというオチも。

「いえ、アメリカでもみんなそんなものですよ。私たちはそれぞれの出身地で2回結婚式を挙げたんですが、日本でも多いようですね」

トミネは初期作品の頃、映画化(『パリ13区』など)もされたような短編フィクションも多く手がけていたが、これからもこうした自伝的コミックを描き続けていくのだろうか。

「今進めているのは、舞台劇の執筆、いくつかの映画脚本の執筆、それに自作イラストを収録した“アートブック”の制作ですね」

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Information

『ある結婚前の風景』

名作『長距離漫画家の孤独』を描くきっかけとなった作品。タイトルは、映画好きなトミネらしく敬愛するイングマール・ベルイマン監督の『ある結婚の風景』のもじり。国書刊行会/2,200円。


profile

エイドリアン・トミネ

ADRIAN TOMINE/1974年米・カリフォルニア生まれ。現在はニューヨーク・ブルックリン在住の日系4世。コミック作家として「オプティック・ナーヴ」シリーズを描き続ける傍ら、『The New Yorker』誌の表紙のイラストレーションなどで活躍。著書に、『キリング・アンド・ダイング』『長距離漫画家の孤独』『紐育(ニューヨーク)百景』など。最新刊に『ある結婚前の風景』。

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