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「お年玉は、あげ合わないでおこう」兄弟でそう決めたはずの約束。だが、弟に子供が生まれて感じた違和感とは

  • 2026.8.20

ややこしくなるからと、兄弟三人で決めたはずだった

兄弟三人でそう決めた正月が、ずいぶん前にあった。

まだ誰にも子どもがいないころで、話の流れがいつのまにか、先の付き合い方になった。

誰かに子どもができて、誰かにできなかったとき、お年玉のやりとりは必ずややこしくなる。

そう言い出したのは兄だった。

「お年玉は、あげ合わないでおこう」

私も弟もうなずいた。包む額で気を遣い合うのも、あげたあげないを数えるのも、兄弟でやることではない。そのときは三人とも本気だった。

それから何年かして、弟に子どもが生まれた。

私は決めたとおり何も渡さなかった。ところが正月に顔を出すと、兄が弟の子どもにお年玉を渡している。

「うちは気にしなくていいから」

兄はそう言って笑っていた。ただ、その流れを作っていたのは、どちらかといえば弟のほうだった。

座敷に落ち着くと、決まって弟から兄に声がかかる。

「兄さん、今年も頼むよ」

弟に悪気があるようには見えなかった。子どもが喜ぶ顔を見たいだけで、兄が断らないから、それが毎年の形になっていっただけだ。

お年玉に限らず、誕生日でも節目でも、同じことが繰り返された。

困ったのは、約束を守っている私のほうだった。

渡していないのは私だけになり、集まるたびに、私が出し惜しみをしている空気になる。

決めたとおりにしているだけなのに、悪いのはこちらのような気持ちにさせられる。

去年と今年、弟の子どもたちが入学した。今まで何もしてこなかったからと、私は多めにお祝いを包んだ。

それでも渡したあと、気持ちはすっきりしなかった。このまま続けば、あの約束は無かったのと同じになる。

座卓を囲んだ正月に、私からもう一度切り出した

その正月、みかんの皿が回ってきたところで、私は自分から口を開いた。

責める話にならないよう、穏やかに言ったつもりだ。

「昔決めた約束をもう一度、話し合わないか?」

あげ合わないと決めたのは三人だし、崩れたのも三人のせいだ。

私だけが守っている形も、兄だけが渡している形も、どちらも長くは続かない。そう続けた。

しばらく黙っていた兄が、湯呑みを置いた。

「正直なところ、毎年きつかった」

言い出せずにいたのだと、兄は初めて明かした。

弟は驚いた顔をして、そんなつもりじゃなかった、と小さく頭を下げた。

「じゃあ、元に戻そう」

弟のその一言で、話は終わった。

誰も怒らず、誰も責められなかった。翌年から、兄の封筒も、私の包みもなくなった。

子どもたちは変わらず騒がしく、兄はようやく、ただの伯父の顔で座っている。守るはずだった約束は、こうしてもう一度、兄弟三人のものに戻った。

※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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