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「よかったら持って帰れ」結婚後初めてのお盆。無口な義父が台所で差し出したものとは

  • 2026.8.18

初めて会った義父は、ほとんど話さなかった

結婚して初めてのお盆に、夫の実家を訪ねました。

夫から「母さんはよくしゃべるけど、父さんはかなり無口だから」と聞いていましたが、実際に会ってみると想像以上でした。

玄関では義母が「暑かったでしょう。よく来てくれたね」と笑顔で迎えてくれました。

その後ろにいた義父にも挨拶をすると、義父は小さくうなずいて「どうも」と一言。

そのまま居間へ戻っていきました。

嫌な態度を取られたわけではありません。

ただ、初めての義実家ということもあり、私は少し緊張してしまいました。

仏壇に手を合わせたあとも、義父から話しかけられることはほとんどありませんでした。

こちらから何か聞いても、「そうか」「うん」と短い返事が返ってくるだけです。

夫が「父さんは昔からあんな感じだから、気にしなくていいよ」と言ってくれましたが、それでも私は、どう接したらいいのか分からずにいました。

午後からは義母と一緒に夕飯の準備をしました。

野菜を洗ったり、食器を並べたりしながら話していると、義母がふと思い出したように言いました。

「お父さんね、今日あなたが来るの、けっこう楽しみにしてたんよ」

私は驚きました。朝からほとんど会話をしていなかったので、とてもそんなふうには見えなかったからです。

台所に持ってきた小さな一皿

しばらくすると、義父が台所の入り口に姿を見せました。

手には、小さな器を持っています。

「庭のきゅうりだ。好きか分からんが」

それだけ言うと、義父は器を調理台に置きました。

中に入っていたのは、薄く切ったきゅうりの漬物でした。

私が「ありがとうございます。きゅうり好きです」と伝えると、義父は少しだけ表情を緩めて、「そうか」と答えました。

義父が居間へ戻ったあと、義母が笑いながら教えてくれました。

「あれ、お父さんが今朝漬けたんよ。庭のきゅうりがちょうど採れたからって」

義父は家庭菜園が趣味で、毎年きゅうりやナスを育てているそうです。普段から漬物を作ることもあり、その日も朝採れたきゅうりを使って用意してくれていました。

夕食になると、義父は昼間より少しだけ話してくれるようになりました。

「仕事は忙しいんか」

「家から会社までは遠いのか」

一つ質問しては黙り、しばらくするとまた一つ質問する。そんな会話でしたが、私はだんだん緊張しなくなっていきました。

帰る時間になると、玄関には段ボール箱が置かれていました。中には、庭で採れたきゅうりやナスが入っています。

「よかったら持って帰れ」

義父はそう言っただけでした。

車に乗ってから夫に「お義父さん、優しい人なんだね」と話すと、夫は笑って「だから言っただろ。しゃべらないだけなんだよ」と答えました。

たくさん言葉を交わしたわけではありません。それでも、野菜や漬物を用意してくれたことが、義父なりの歓迎だったのだと思います。

それから義実家へ行くたび、義父は庭で採れた野菜を「持って帰れ」と渡してくれるようになりました。今では、その短い一言にもすっかり慣れています。

※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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