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宮澤エマ 「私からの愛を相手に感じてもらえているのかを気にすること」理想のパートナーシップを語る

  • 2026.8.15
©️ABCテレビ

記憶に隠された真実をめぐる予測不能なサスペンス・ラブストーリー『マイ・フィクション』(毎週日曜よる10時15分〜、ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット)。主人公・伊川正樹の妻・真弓を演じる、宮澤エマさんへのインタビュー後編では、様々な夫婦の形を演じて感じることや、後半戦の見どころ、宮澤さんにとって理想の「マイ・フィクション」を聞きました。

――ここ数年、宮澤さんは『マイ・フィクション』以外にも、『おい、太宰』や『産まない女はダメですか? DINKsのトツキトオカ』などの作品で、様々な夫婦の形を演じています。役や作品をきっかけに、夫婦の関係性について考えることはありますか?

考えます。特につい先日、最終回を迎えた『産まない女はダメですか?』では、「夫婦とはなんだろう?」はもちろんですが、「愛とはなんだろう?」と考えました。人と人、他人と他人が一緒になると、それぞれの価値観も、育ってきた環境も、それこそ愛の形が違うんですよね。同じ言語を喋っているのに、当たり前だと思っていたことがまったく伝わらないこともある。愛を表現しても、それが相手に愛として認知されないというすれ違いが悲劇を生むということをすごく考えました。

「自分がこれだけ愛しているのに、なんで愛してくれないの?」という夫側の考え方が、物語の中では異常なものとして描かれているのですが、感想を見ていると「ちょっとその気持ちがわからなくもない」とおっしゃる方もいて。ストーリーにおいて、私の中では徹底的に悪に思えることや、ありえないと思っていたことに関して、肯定まではしなくても理解はできるという方が、ある一定数いたことにもびっくりしました。そこで「ありえない!」と切り捨ててしまうと話は終わってしまうので、「そういう人もこの世にいるし、その中で愛を育むことはなんて難しいんだろう」ということは考えました。

©️ABCテレビ

――宮澤さんにとっての理想のパートナーシップとは。

『産まない女はダメですか?』には、最終的にもう一人の恋の相手のような人物が現れます。北山宏光さんが演じていた役なのですが、「新鮮なヒーローだな」と思いました。派手さは全くないですし、わかりやすいヒーロー像的に描かれるのではないのですが、話をちゃんと聞いてくれるんですよね。否定もしないし、必要以上に肯定もしない。自分の意見を押し付けるために話を聞くのではなく、ちゃんと向き合って、言葉を一つ一つ受け取ってくれる。とてもシンプルなことのようで、「こういう対話の先にしか、関係性の構築ってないよなあ」と心から思いました。自分でもできていないなと思うこともありますが、それができる相手とだったら、違いがあっても乗り越えられるだろうなという希望があります。

愛というのはもしかしたら、自分の「好き」という感情ももちろん大事だけれど、私からの愛を相手に感じてもらえているのかを気にすることなのかもしれません。私はこういうことをされると「愛されている」と感じるけれど、それが相手にとっても同じとは限らない。だからこそ、相手にとっては何が大事なのかを知って、自分にとってはそれがそれほど大事なことではなかったとしても、相手をリスペクトしているし好きだからやってあげたい。それが理想のパートナーかな、と思いました。

――相手がそうしてくれたら、愛されていると感じそうです。ところで、真弓には娘がいることがのちに明らかになりますが、娘への愛が真弓の原動力になるのでしょうか。

真弓は、自分が5年前に結婚したと思っていた夫(伊川正樹)が「死んだらしい」と聞かされた瞬間に、娘の記憶が蘇ります。実は、正樹とは2年しか一緒に暮らしていないのですが、その2年間が彼女にとって、人生で一番「愛されている」と感じることができた2年間らしいんですね。後々に判明していくのですが、前の夫(娘の父親)とはあまり良好な関係ではなくなっていますが、もちろん娘のことはとても愛しています。いろいろなことを経て現在の状況になったときに、正樹と暮らした2年間は全部フェイクで人工的に作られたものだったけれど、愛されていたという幸せな感情は記憶として残っているわけです。

©️ABCテレビ

――感情はリアル。

でも、やはり娘に対する愛の強さが、彼女をある行動や決断へと突き動かしていきます。自分が産んで、育て、愛している娘という存在が、彼女の強さの源になっていくことは間違いありません。

――『マイ・フィクション』はエピソードごとに視点となるキャラクターが入れ替わり、各キャラクターの事情や秘密が明かされていきます。1・2話は正樹、3話は由梨、4話は津村、そして5話が真弓視点です。それも含めて、後半戦の見どころをお願いします。

大きな見どころは展開の数の多さと速さ。単純に先が気になりますし、考察しがいもあります。「なぜこうなのか?」という疑問や伏線が、付け焼き刃の展開ではなく、ちゃんと回収されていくところが作品全体としての見どころです。

「現段階のテクノロジーではありえないんじゃないの?」というSF的な要素と、記憶や「人を愛するってどういうことなの?」という普遍的なテーマとが散りばめられているので、展開が分かった上で考え直してみると、「そうか、自分だったらどうしただろう?」と考えさせられる、ヒューマンドラマとしての深みもあると思います。

真弓に関しては、やはり彼女の強さが素敵です。戦う相手が巨大で政府も絡んでいるかもしれないという状況になっても、ちょっと無鉄砲に、自分の愛だけを鎧に立ち向かおうとする姿というのは、愚かかもしれないけど、素敵に演じたいなと思います。

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――ユートピアとディストピア、フィクションとリアル、相反するものが混じり合った作品ですね。

そうです! 1話の段階ですでに、理想的なことしか起きていないのに不穏さが感じられるところが面白いなと思いました。みんながみんなハッピーというのは逆に気持ち悪いんだな、現実というのはいいことばかりじゃないけれど、人間はみんな「それでいいんだ」ということを潜在的にわかっているんだな、というところが逆説的に描かれているなと思います。

――最後に、宮澤さんが個人として「こうなったらいいなあ」と想像するフィクションは?

未来予想図を自分のために描けないんです。もっと計画的に生きられたらいいなと思うのですが……。漠然としたことでいうと、すごく好きなことを仕事にできたので、これを続けていきたいです。プレーヤーとしてももちろん、いろいろな携わり方ができたらこの先の人生も豊かだろうなと思います。親のおかげで英語も日本語も喋れるので、ぜひそれを活かせるようなプロジェクトに参加できたらいいなという大きな夢はあります。

――あまり焦ってはいないのでしょうか?

焦りを感じる日もあれば、今あるもののありがたさみたいなものを改めて感じる日もあります。その両方をどう大事にしていくか、バランスですよね。「悔しいな」「どうして私はまだここにいないんだろう」「どうしてこういう作品にまだいないんだろう」という焦りや苛立ちがないわけではないのですが、そっちにフォーカスしてしまうと、今あるものをおざなりにしそうで……。今ある仕事は、3年前の私からしてみたらめちゃくちゃ羨ましいものなんです。比べられるのは周りではなく自分だけなので、行き着きたい先があるなら、今、自分が頑張るしかないなと思います。

©️ABCテレビ

ドラマ『マイ・フィクション』は、ABCテレビ・テレビ朝日系列で毎週日曜夜10時15分放送。放送終了後、TVerで見逃し配信。

取材・文/須永貴子

撮影/土屋哲朗

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