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満員電車でスカートに靴跡、「そんなに当たってない」の直後に届いた声

  • 2026.8.15
ハウコレ

2度目に声をかける言葉を探していた私の頭の上から、低い声が聞こえてきました。次の駅で席を立ったのは、その声の主ではありません。

クリーニングから戻ったばかりのスカートの裾に、見覚えのない黒い擦れ跡がついていました。

裾についた黒い跡

満員電車で立っていたときのことです。目の前の座席では、スーツ姿の男性が深く腰かけ、足を組んでいました。革靴の先が通路側に突き出し、電車が揺れるたび、私のスカートをかすめていきます。よけようにも、後ろは人の壁でした。裾を持ち上げて確かめると、靴底の形をした汚れがはっきり残っています。相手はスマホの画面から顔を上げようともしませんでした。

「そんなに当たってないでしょ」

迷った末に、私は腰をかがめて声をかけました。「すみません、靴が当たっていて」。男性はちらりと裾を見て、「そんなに当たってないでしょ」とだけ言い、また画面に目を戻しました。周囲の乗客は、こちらへ視線を向けないままでした。汚れたのはこちらなのに、まるで私が大げさに騒いだような空気でした。2度目の言葉を探しているうちに、電車がまた大きく揺れ、靴の先がもう一度、裾に触れました。

私の代わりに響いた低い声

「彼女のスカート、汚れてるよ」。低い声が、私の頭の上を越えて届きました。隣に立っていた年配の男性が、組まれた足を指さしています。「座り方を直しなさい」。車内の視線が一斉に集まりました。足を組んでいた男性は足を下ろしました。ドアが開くと、彼は席を立ち、隣の車両へ歩いていきました。空いた席には、誰も座ろうとしませんでした。

そして...

年配の男性は「大丈夫でしたか」と聞いてくれました。私は「ありがとうございました」と頭を下げるのが精いっぱいでした。スカートの汚れは帰ってから落としましたが、あの低い声は今も覚えています。今も電車で通路へ革靴を突き出す人を見ると、スカートに残った黒い跡と、隣から届いた声を思い出します。困っている人が目の前にいたら、あの日の乗客のように見ないふりはしないつもりです。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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