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ホテルグランバッハ熱海クレッシェンド宿泊記|音楽と美食に癒やされる温泉ホテル

  • 2026.8.11
fujingaho

J.S.バッハの音楽と静謐な環境、そして食と音楽を通して癒やしと感動を届ける「ホテルグランバッハ熱海クレッシェンド」。

2016年7月21日に開業し、2026年に10周年を迎えました。近年では2024年8月1日に大規模なリニューアルを果たしています。

全16室に源泉掛け流しの温泉が備わり、近隣の旬を生かした洗練の料理とさまざまな音楽体験、そして温かいおもてなしが滞在を彩ります。

東京から新幹線で約45分、JR熱海駅から車で約15分。アクセス良好でありながら、伊豆山の標高361mの高台にあるため静寂と自然美に包まれています。眼下には熱海の街と相模湾。賑わいに近いのに空気が穏やかであることが印象的でした。写真はレストランからの眺め fujingaho

今回は10周年の記念イベントを機に1泊2日のショートトリップへ。自然に囲まれた天空の隠れ家のような立地は、訪れた瞬間から心を解放させてくれました。

全室が相模湾を望み、1階客室には露天風呂、2階客室にはビューバスを用意。客室で景色と温泉をひとり占めできることも、このホテルならではの贅沢です。晴れると初島から大島まで、絶景! 写真は1階客室からの眺めです fujingaho

10周年に誕生の弦楽四重奏

開業10周年の節目に、ホテルが続けてきた音楽活動の新たな象徴として「グランバッハ・ストリングカルテット」が結成されました。若手演奏家を迎え、次代を担う演奏家の活躍を支援しながら、新たな音楽表現の場を創出する試みです。

世代や経験の異なる4人が奏でる、みずみずしさと奥行きを備えた弦楽四重奏。熱海をはじめ全国4カ所の「ホテルグランバッハ」(京都・四条、東京・銀座、仙台)を舞台に、音楽がもたらす安らぎと感動を届けていく、その始まりに心が弾みます。

「ホテルグランバッハ」の音楽活動の新たな象徴として誕生した「グランバッハ・ストリングカルテット」。国内外でソリストとして活躍し、首席コンサートマスターを務める第1ヴァイオリンの江里口奏子さん、在京オーケストラへの客演や音楽教室の主宰など活動の幅を広げる第2ヴァイオリンの甲斐涼太郎さん、オーケストラや室内楽、訪問演奏に取り組むヴィオラの酒地祥太さん、クラシックから放送・映画・ライブまで多彩な舞台で演奏するチェロの下山田珠実さんの4名です fujingaho

メンバーの選定は、オーケストラやコンサート、イベント、映像などさまざまな音楽プロデュースを展開する「オーケストラプレゼンター東京」指揮者の奥村伸樹さんが手掛けました。

「社会貢献や文化発信の一環として、音楽を気負わず滞在や暮らしのなかで楽しんでいただける一助となるようにと願っています。4名は、クラシックに精通し、確かな実力を備えた演奏家。約300年前に作曲されたバッハの音楽には演奏の“正解”がありません。現代にその魅力を伝えながら、ホテルとともに研究を重ね、新しい表現を生み出していくことも、このカルテットの大切な役割だと考えます」(奥村さん)

音楽と美食が響き合う滞在

なぜ「ホテルグランバッハ」は音楽を滞在の要としているのか──? その“音楽と滞在”の礎を築いたのは、「グリーンハウス」代表取締役社長の田沼千秋さんです。

学生時代からバッハを深く愛し、留学中の苦しい時期にもその音楽に支えられ、自宅にはヤマハの大型コンサートオルガンを迎えるほど、バッハやオルガン音楽とともに人生を歩んできたといいます。「食やサービスにとどまらず、もう一歩深い魂の癒やしを届けたい」。その思いから、自らの心を癒やしてきた音楽をホテルに取り入れたのだそうです。

ウェルカムエリアのグランドピアノの前には10周年を祝う華やかなディスプレイ。「グランバッハ」というブランド名は、バッハ一族のなかで「大バッハ」と称されるJ.S.バッハへの敬意から生まれました。しかしその世界はバッハだけに閉じられてはいません。クラシックを入り口に、ジャズやブルースまで、“音楽のある豊かな時間”へとしなやかに広がっています。 fujingaho
リニューアルを機に誕生した「ミュージック・シアタールーム」は、英国製「KEF」のスピーカーや130インチ画面を備えています。各種動画配信サイトへの接続やDVD、CD等の利用が可能。なんとカラオケもできるのだそうです。利用時間は15時~24時、料金は1時間3,500円。好きな音楽をよい音響で楽しみたいと思っている方はぜひ滞在中にご利用ください fujingaho

このホテルでは、音楽が飾りではなく、滞在の時間そのものに寄り添っているところが特徴です。「森のなかの音楽ホール」をイメージしたウェルカムエリアではピアノの生演奏がゲストを迎え、ディナーにも美しい旋律が重なります。

レストラン「風雅-FUGA-」では、相模湾、伊豆山、富士山麓など半径50km圏内の旬を使った本格フレンチ「熱海キュイジーヌ」を提供 fujingaho
ディナーコース、メインの一皿は、山形県の郷土料理“だし”にヒントを得てフレンチの技法で仕立てた蝦夷あわび。浜名湖ののりでサバイヨンソースに磯の風味を足して、セロリやディルで軽やかに仕上げています。フレンチの魅力と土地の旬の巧妙な掛け合わせに脱帽 fujingaho
旬のはもをメレンゲやビールでできた生地をまとわせて揚げたペニエ。赤ワインのソースで一段階深みを増しています。添えられたいちじくとライムのサラダは、同じくいちじくとライムの果汁を泡にしたエスプーマであえて、爽やかに夏らしさを演出 fujingaho

海と空を望むスパとサウナ

「SPA Crescendo(スパ クレッシェンド)」のトリートメントルームから望むのは、熱海の海と山の稜線、その先へ抜けるような空。カリフォルニア発祥の「エサレン」のケアを体感できます。

スパは全1室、ペアルームのみ(1名でも施術を受けられます)。ほぐしたり流したりという動きはあるのですが、そこが目的というより、“体と心の感覚を取り戻す”のが「エサレン」のマッサージの真髄。ボディワークや心理学まで踏まえて、手業が考え抜かれているのだといいます。全裸(!)のうつぶせのスタンバイから始まり、背面全体、次に仰向けになって全体をオイルマッサージ。特徴は足先から頭までワンストロークで流す大きな動き。トリートメントの最中に何度かこの大きな波があり、おのずと全身の巡りを意識させられます。トリートメントの行程にところどころストレッチが入り、関節を動かすのも印象的でした fujingaho
トリートメントに使われるオイルは香りの好みで選びます。オーラ、ウェルビーイング、アンチストレス、など名前がついていますが、一言で何の香りと表現しにくい複雑なアロマ。トリートメントは80分26,000円、120分34,000円 fujingaho

さらに、パノラマビューを眺める樽型のプライベートサウナ(1組6名まで)。ここには人目を気にせず、身体の声に耳を傾ける静かな時間があります。

空が曇ってしまいました……が、晴れるとサウナからも海と熱海の市街を一望できます fujingaho

世界へ開く、SLHへの加盟

2026年8月1日、「ホテルグランバッハ熱海クレッシェンド」は「Small Luxury Hotels of the World(SLH)」への加盟と予約を開始。

SLHは世界100か国以上、700軒超の独立系ラグジュアリーブティックホテルを集め、独自性やサービス品質、地域とのつながりを厳格に審査します。

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音楽と食を軸にしたブランド、土地の魅力を生かす滞在、16室ならではの細やかなホスピタリティへの評価──。SLHへの加盟は、「ホテルグランバッハ熱海クレッシェンド」の堅実さが客観的にも認められた証といえるでしょう。

大浴場からの眺めも満点。内湯と水風呂、ドライサウナがあります。カルシウム-硫酸塩温泉で源泉の温度は48.5度。泉質別適応症は、きりきず、抹消循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症 fujingaho
客室に置かれた大浴場やスパへ行くとき用のスパバッグが可愛い。「グランバッハ」のロゴ入りです。ご自由にお持ち帰りくださいとのこと fujingaho

ウェルビーイングのステイ

「ホテルグランバッハ東京銀座」には、これまで何度か足を運んできました。そのたびに心惹かれてきたのが、ウェルネスへの真摯なまなざしと、美食を支える確かな美意識です。

朝食はたっぷりのサラダと5種の小さなドリンク(左からビネガー、ニンジンとオレンジ、こまつな、ビーツとベリー、黒ごまときなこ)からスタート。続いてスープと好みのたまご料理が運ばれてきます。そのほかシャリュキュトリーや飲み物は好きなものを好きなだけオーダー fujingaho

今回、「ホテルグランバッハ熱海クレッシェンド」に滞在してあらためて気づいたのは、心地よい空間と健やかな美食に、音楽が重なることで生まれる、ほかにはない豊かさでした。環境と食が体を整え、それだけでは届かない心の領域を、音楽がそっと満たしてくれます。心身だけでなく、感性までもがうるおってこそ、本当のウェルビーイングと呼べるのでしょう。

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チェックアウト後は、ホテルから車で約5分のMOA美術館へ。滞在の余韻に包まれながらアートと向き合う午後は、旅の完成度を高めるひとときでした。美しいものに触れて、味わい、音に耳を澄ませる。こうして心を満たした週末のおわりは、体のすみずみまでみずみずしく整っているように感じられました。

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