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「なぜ教えない?」父親を探す女と同居する情報屋の男…「嫌なヤツ」だらけの物騒な世界で繰り広げる嘘つき男の心理戦【作者に聞く】

  • 2026.8.8
父を殺したいほど憎んでいるサイレンス。 桜月(@k_sakurazuki)
父を殺したいほど憎んでいるサイレンス。 桜月(@k_sakurazuki)

父親の行方を追う殺し屋の女と、彼女から依頼を受けた謎多き情報屋の男。2人の間に交わされる言葉には、嘘と真実が入り混じっている――。漫画家・桜月(@k_sakurazuki)さんが描く「傍観者は嘲笑う」は、父親を探す殺し屋・サイレンスと、彼女に雇われた情報屋・スレッドの関係を描いた作品である。不機嫌で感情を表に出さないサイレンスは、何を考えているかわからないスレッドに父親探しを依頼する。しかし、スレッドはすでに父親の居場所を突き止めていた。それでも彼が真実を伝えない理由とは――。

殺し屋と情報屋、奇妙な2人の物語

傍観者は嘲笑う_P001 桜月(@k_sakurazuki)
傍観者は嘲笑う_P001 桜月(@k_sakurazuki)
傍観者は嘲笑う_P002 桜月(@k_sakurazuki)
傍観者は嘲笑う_P002 桜月(@k_sakurazuki)
傍観者は嘲笑う_P003 桜月(@k_sakurazuki)
傍観者は嘲笑う_P003 桜月(@k_sakurazuki)

サイレンスは、父親を殺すためにその行方を追っていた。一方、情報屋であるスレッドは依頼を受けながらも、彼女には本当の情報を渡さないまま時間だけが過ぎていく。やがて、ひょんなことから2人は同居することになる。互いに相手を信用しきれないまま、同じ屋根の下で過ごす日々。その中で少しずつ見えてくるのは、単純な敵味方では語れない関係性だった。

本作を手掛けたのは、『結婚しない同盟』を「アルファポリス」で連載していた漫画家・桜月さん。もともとは別作品のキャラクターとして登場させる予定だったスレッドが、物語の中心人物へと変化していったという。

「もともとは別作品の主人公の仲間として出そうと考えていたキャラでした。しかし、話が全然まとまらず…。じゃあ、この情報屋のキャラを主人公にして作品を作ってみようと考えてみたら想定外にうまくまとまった…という裏話があります」

当初は1話だけの予定だった作品だったが、気付けば12話まで続き、番外編まで描くほど広がっていった。

“嫌なヤツ”たちが織りなす裏社会の物語

物騒な世界を舞台にした本作のテーマは、意外にも「嫌なヤツ」だという。「作品のテーマは『嫌なヤツ』です。なので、出てくるキャラはみんなちょっと嫌なヤツばかりになっています」

一見すると殺し屋と情報屋という危険な関係だが、桜月さんが描きたかったのは、恋愛だけではない特別なつながりだった。「恋愛的な愛ではなく別の何かで深くつながる男女ものを描いてみたかった…というのもあり、裏の世界の物語にしたというのもあります」

相手を疑いながらも、どこかで理解し合っているようにも見える2人。その複雑な距離感が作品の大きな魅力となっている。

読者を惑わせる4つの結末

全12話で完結した本作だが、桜月さんはSNSで別パターンの最終話も公開している。「別パターンの最終話として4パターン描いていて、どれも『ボツ最終話』としてpixivで読めるように無料公開しています。読者のみなさんにはいろいろな結末を楽しんでいただけたら幸いです」

4種類の結末の中で、桜月さんが気に入っているのはその1「バレて怒られる」と、その2「普通に仕事を終える」だという。「私はその1『バレて怒られる』とその2『普通に仕事を終える』が気に入っているのですが、後味が悪すぎるなと思いボツにしました」

また、その4の「結婚エンド」は読者の期待を想像して描いたものだった。「望んでいる人がいるかもしれない!と思って描いたのですが…。望んでいた方がいらっしゃったのかはわからないです…」

スレッドがサイレンスに父親の居場所を伝えなかった理由。それは、殺し屋でありながら最も殺したい相手を殺せずにいる彼女の姿を“傍観”し、最高のタイミングで真実を明かしたときの表情を楽しむためだった。しかし、本当に理由はそれだけなのだろうか。

平然と嘘をつき、その中にさりげなく真実を混ぜ込む情報屋・スレッド。彼の言葉のどこまでが嘘で、どこに本心が隠されているのか。読者は彼のセリフの中から、その答えを探すことになる。

■取材協力:桜月(@k_sakurazuki)

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