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【菊の花言葉】色別・種類別に解説|高貴な由来と意味、和モダンに楽しむ切り花の扱い方

  • 2026.8.7
Alicia Llop / Getty Images

菊の代表的な花言葉

高貴
高潔
高尚

いずれの花言葉も、菊の凛とした花姿や、日本で古くから格式ある花として大切にされてきた歴史に由来するようです。菊というとお供え花や仏花の印象もありますが、本来は日本の秋を代表する花で、長寿や無病息災を願う存在としても親しまれてきました。皇室の紋章にも用いられるように、品位や清らかさを象徴する花のひとつです。

菊の色ごとの花言葉

yuanyuan yan / Getty Images

黄色い菊の花言葉

黄色の菊の花言葉は「長寿と幸福」「わずかな愛」などです。

明るい黄色は暖かな秋の光を思わせ、長寿の祝いにも通じるおめでたい印象があります。

一方で、黄色い菊には「破れた恋」「破れた心」といった、少し寂しい花言葉もあるとされます。贈りものにする際は黄色だけでまとめるより、白やオレンジ、ピンクなどほかの色の花と合わせ、明るく華やかな印象に仕立てると安心です。

白い菊の花言葉

白い菊の花言葉は「真実」「誠実な心」などです。

白い菊は清らかで、潔い美しさがあります。その印象が、花言葉につながっているのでしょう。

ただし、日本では白い菊はお供え花として使われる機会が多いため、お祝いの場面では注意が必要です。白い菊を贈る場合は、昔ながらの仏花を思わせる仕立てではなく、花の形に丸みのあるものを選び、淡いピンクやグリーンなどの花と合わせた花束やアレンジメントにすると、弔事の印象が和らぎます。

ピンクの菊の花言葉

ピンクの菊の花言葉は「甘い夢」などです。

やわらかな色合いのピンクの菊は、菊のもつ格式ばった印象をほどよくほぐし、可憐で優しい雰囲気を添えてくれます。

丸い形のものや、小花がいくつも咲くタイプの菊を選ぶと、花束やアレンジメントにも取り入れやすくなります。誕生日や結婚記念日、ちょっとしたお礼の花としても向く色です。

赤い菊の花言葉

赤い菊の花言葉は「愛情」「あなたを愛しています」などです。

赤い花には愛や情熱を表す花言葉が多くあります。バラほど直接的ではなく、どこか奥ゆかしい印象があるのが深い赤やえんじ色の菊の魅力。秋らしい落ち着きと華やかさを兼ね備え、大人の女性への贈りものにも向いています。

紫の菊の花言葉

紫の菊の花言葉は「私を信頼してください」「夢が叶う」「気品」などです。

紫は古くから高貴な色とされ、菊の端正な花姿ともよく調和します。紫の菊は華やかでありながら派手すぎず、品のよい印象を与えることから、目上の方への贈りものや長寿のお祝い、秋らしいしつらえに取り入れると静かな存在感を放ちます。

菊はどんな花?

分類:キク科キク属

原産地:中国を中心とする東アジア

英名:Chrysanthemum(クリサンセマム)

和名または別名:家菊(イエギク)

開花期 *1:7月〜11月

出回り期 *2:通年

*1 日本国内における自然状態での開花時期。気候や地域によって差があります。

*2 市場で流通し、生花店に並ぶ時期。地域によって差があります。

菊にはどんな種類がある?

somnuk krobkum / Getty Images

菊の特徴

菊はキク科キク属の多年草です。一般に秋の花として知られていますが、品種改良や栽培技術の発達により、現在では切り花としてほぼ通年で流通しています。日本国内では切り花類のなかで出荷量が最も多い品目です*3。

茎はまっすぐに立ち上がり、品種によっては途中で枝分かれしながら花を咲かせます。葉は茎に互い違いに生え、縁に深い切れ込みがあり、触れると独特の青い香りがします。

1輪の花のように見える部分は、じつは小さな花が集まったもの。外側の花びらのように見える部分と、中心部分の小さな花が組み合わさり、菊らしい整った花姿をつくり出しています。

花もちがよく形がくずれにくいことも、菊が仏花や贈答用の花として重宝されてきた理由のひとつです。

切り花では、1本の茎に大きな1輪の花を咲かせる「輪菊」、枝分かれした茎に複数の花をつける「スプレー菊」、小輪の花を多数咲かせる「小菊」などに分けられます。

*3 農林水産省「令和6年産花き生産出荷統計」より

和菊と洋菊

菊は大きく「和菊」と「洋菊」に分けて考えることができます。

和菊は、日本で古くから観賞され、品種改良されてきた菊です。花の大きさによって大菊(おおぎく)、中菊、小菊に分けられ、大輪の「国華」系品種のほか、江戸菊嵯峨菊伊勢菊肥後菊など、各地で独自に発達した「古典菊」もあります。格調高く、個性豊かな花姿が特徴です。

一方、洋菊は「マム」とも呼ばれ、中国からヨーロッパへ渡った菊をもとに、のちに日本の品種も取り入れながら、欧米で品種改良されたものです。花色や形が豊富で、花束やアレンジメントにも使いやすく、現代的でおしゃれな印象があります。

花束やアレンジメントで人気のマム

生花店で「マム」として親しまれている菊には、「スプレーマム」と「ディスバッドマム」があります。スプレーマムは、1本の茎が枝分かれして複数の花をつけるタイプ。ディスバッドマムは、脇のつぼみが摘み取られることで、1本の茎に大きな1輪を咲かせるタイプです。「ピンポンマム」は、ピンポン玉のように丸い花形をもつマムの呼び名です。

スプレーマムは自然なボリュームが出るため、花束やアレンジメントによく使われます。小輪のポンポン咲き*4で多くの花をつける「カリメロ」や「ドリア」などのシリーズがあります。

ディスバッドマムには、細長い花びらが広がる「アナスタシア」、幾重にも花びらが重なる「オペラ」、ピンクとグリーンの複色が特徴的な「ロサーノシャルロッテ」などがあります。ダリアのように華やかな品種もあり、モダンなアレンジメントにも向きます。

ピンポンマムは、愛らしく、和洋どちらの雰囲気にもなじむことから、七五三やお正月、結婚式の装花にも用いられます。白い「スーパーピンポン」や緑の「フィーリンググリーン」などが親しまれています。

*4 小さな筒状の花びらが密に重なり、こんもりと半球状になる咲き方。

菊の歴史

Masako Ishida / Getty Images

中国から日本へ

菊の原産地は中国とされ、古くから薬用や観賞用の植物として重宝されてきました。不老長寿を願い、邪気を払う花とも考えられ、菊の花を浮かべた酒を飲む風習もあったようです。

日本へは平安時代ごろまでに中国から伝わったとされ、平安時代の宮中で、9月9日の「重陽の節句」に菊を愛で、菊酒を飲んで長寿や無病息災を願いました。また、前日の夜に菊の花へ綿をかぶせ、翌朝、その露や香りを含んだ綿で体をぬぐう「着せ綿」の風習もありました。

この「菊の節句」とも呼ばれる重陽の節句は、現代でも五節句のひとつに数えられています。桃の節句や端午の節句ほど身近ではないものの、菊に健康と長寿への願いを託してきた、趣深い行事です。

鎌倉時代には、菊を好んだ後鳥羽上皇が身のまわりの調度などに菊の文様を用いたことから、菊は皇室と深く結びついていきました。江戸時代になると園芸文化の広がりとともに菊づくりも盛んになります。大輪の花を咲かせる仕立てや、一本の株に多数の花を咲かせる技術など、観賞のためのさまざまな工夫が凝らされました。こうした菊づくりの文化は現代にも受け継がれ、各地で開かれる菊花展は秋の風物詩となっています。

ヨーロッパへの広がり

菊は17世紀末に中国からヨーロッパへ伝えられましたが、本格的な栽培と品種改良が始まったのは18世紀末のこと。1789年、フランス・マルセイユの船長ピエール=ルイ・ブランカールが中国から菊を持ち帰ったとされます。そのうち紫色の花を咲かせる株が生き残り、のちにパリやロンドンへ伝わりました。

19世紀には日本で改良された色や形の豊かな菊もヨーロッパへ伝わり、園芸家たちの注目を集めます。中国や日本の菊をもとに欧米でさらに品種改良が重ねられ、現在「マム」と呼ばれる多彩な洋菊へとつながっていきました。

知ると面白い、菊の花名の由来

Best View Stock / Getty Images

「菊」という名は中国から植物とともに伝わり、「キク」は漢字「菊」の音読みです。漢字の「菊」は、植物を表す草冠と、音を示す「匊」を組み合わせた形声文字。一説には、花の少なくなる秋の終わりに咲くことから、「窮極」、すなわち「ものの終わり」を表す語に通じるともいわれます。別名の「家菊(イエギク)」は、野に自生する野菊と区別して、観賞用に栽培される菊を指す呼び名です。

英名のChrysanthemum(クリサンセマム)は、ギリシャ語で「黄金」を意味するchrysos(クリソス)と、「花」を意味するanthemon(アンセマム)に由来するといわれます。その名は「黄金の花」を意味し、古くから知られていた菊に黄色い花が多かったことに由来するとされます。生花店で見かける「マム」はChrysanthemumを短くした呼び名で、英語圏でも「Mum(マム)」と略されます。

菊は日本の国花?

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菊は桜と並び、日本を象徴する花として親しまれています。ただし、日本には法律で定められた国花はありません。菊と桜は、あくまで慣習上、国を代表する花とされているものです。

菊が日本の象徴とされる背景には、皇室の紋章に用いられていることがあります。現在も、日本のパスポートの表紙には十六弁の菊花紋が描かれています。

菊はどう贈る?

Viktoriya Skorikova / Getty Images

菊を贈るときは、まず品種選びを意識するとよいでしょう。仏花の印象を避けたい場合は、昔ながらの白い輪菊だけでまとめるのではなく、スプレーマムやピンポンマム、ディスバッドマムなど、ギフト向きの洋菊を選ぶのがおすすめです。

色は、ピンクやオレンジ、グリーン、紫などを取り入れると、明るく洗練された印象になります。白い菊を使う場合も、ほかの色の花やグリーンと合わせることで、清楚でモダンな雰囲気に仕上がります。

敬老の日や長寿祝いには、菊がもつ「高貴」「高潔」という花言葉や、長寿を願う花としての意味がよく合います。重陽の節句に合わせて贈るのも素敵です。

結婚記念日やブライダルでは、ピンポンマムやスプレーマムを使うと、丸い形や重なり合う花びらが華やかで、和装にも洋装にもなじみます。七五三やお正月の花として飾れば、季節感とお祝いの雰囲気を添えることができます。

菊を贈るときに気をつけたいこと

菊全体の花言葉は「高貴」「高潔」「高尚」など、前向きで品格のあるものです。ただし、黄色の菊には「わずかな愛」「破れた恋」といった少し寂しい花言葉もあるとされ、白い菊は弔事を連想させることもあります。

とはいえ、花言葉だけで判断する必要はありません。品種や色合わせ、アレンジメントの雰囲気まで含め、贈る相手や場面にふさわしいものを選ぶことが大切です。

菊は、選び方によって印象が大きく変わる花です。仏花というイメージだけにとらわれず、その花姿や歴史に宿る品格を生かして贈りたいものです。

参考図書

牧野富太郎著『新分類 牧野日本植物図鑑』北隆館

川崎景介監修『すてきな花言葉と花の図鑑』西東社

二宮孝嗣著『美しい花言葉・花図鑑』ナツメ社

宍戸純監修『いちばん探しやすい フローリスト花図鑑』世界文化社

花福こざる著『お花屋さんに聞く!マンガ 切り花図鑑』誠文堂新光社

※花言葉は国や地域、宗教によって諸説あります。ここでは代表的なものを選んで紹介しています。

文・構成=宮脇灯子 編集=大坪千夏

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