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【小瀧望(WEST.)】演出・藤田俊太郎と念願のタッグ!幻の井上ひさし戯曲『うま』で演じる“爽快な悪人”の魅力とは

  • 2026.8.7

WEST.のメンバーとして活動を続け、舞台人としても高く評価されている小瀧望さん。20代最後の夏、井上ひさしの未上演戯曲の稀代のピカレスク・ヒーローに挑む彼に迫る。

Profile
小瀧 望
こたき・のぞむ 1996年7月30日生まれ、大阪府出身。WEST.のメンバーとして音楽、バラエティー、ドラマなど幅広く活動。第28回読売演劇大賞で杉村春子賞と優秀男優賞をW受賞した『エレファント・マン』や『梨泰院クラス』など話題の舞台に多数出演。


自分のことしか考えていない 悪い役だけど魅力を感じた

舞台『うま-馬に乗ってこの世の外へ-』は、井上ひさしが24歳の時に執筆するも未上演だった戯曲。小瀧さんが演じるのは、病身の母を連れ、馬一頭と村へやってくる主人公・太郎。 「最近、舞台でもドラマでも、いい人やったり、リーダーやったり、王子様やったり、そういう役が続いていたので、バランスを取りたかったんです。今回は徹底的に、最後まで自分のことしか考えていないような悪い役。このお話をいただいた時は、もう飛びつくような思いでした。自分のことそんないい人じゃないよって思うし(笑)、役者として幅広くいろんな役に挑戦してみたかったんです」 小瀧さんにとっては、久しぶりのストレートプレイであり、初めて挑む井上戯曲。さらに演出は、以前から一緒に仕事をしたいと願っていた藤田俊太郎さん。20 代最後から30代の幕開けにかけて挑む作品として、特別な予感がある。 「井上ひさしさんとタイトルと、自分の役目とか、全てが気持ちよくぶっ刺さっていく感覚があります。演出は藤田さんで、しかもずっと立ちたかったPARCO劇場で。条件が揃いすぎですよね。難しいこともこれからめちゃくちゃあるんでしょうけど、それさえも楽しめるんじゃないかなっていうのはありますね。間違いなくターニングポイントになる挑戦だと感じています」 役作りのため、小瀧さんは物語ゆかりの地である山形県川西町にも足を運んだ。井上ひさしさんの書斎が再現された施設を訪れ、土地の空気を感じたことは、太郎という人物を考えるうえでも大きな時間になったという。 「すごい盆地だったんです。山に囲まれて、結構閉鎖的な空間だったんだなって。今はトンネルもあるし、どこでも行けますけど、その頃って馬とかで山越えするのはきつかったでしょうね。太郎自身の生きづらさとか、ストレスとか、コンプレックスみたいなものを感じました。役作りの参考になったので、行ってよかったです」

太郎は、嘘と欲望で村の人々を翻弄していく人物。決して善人ではない。けれど小瀧さんは、その姿に不思議な爽快感と生命力を感じている。 「ただの悪人じゃないんです。悪を悪と思っていない。生きるために欲望するしかない。台本を読んだ時は、すがすがしかったですよ。ここまでいったら、かっこいいなって。今まで読んだ台本で一番、生気を感じました。体温がすごく台本に残っていて、『生きてるんだ、この太郎』って。最後の最後まで徹底的に人を騙していく姿は、かっこいいと思っちゃいました」 1560年代、羽前の国・小松郷を舞台に繰り広げられる、若き井上ひさしの言葉と生命力に満ちた物語。小瀧さんは、その中心でピカレスクヒーロー、太郎を全力で生きる。 「午年の今年、“うま”というタイトルの新作舞台に立たせていただけることに運命的なもの感じています。ポスターなどのビジュアルは重々しいですが、太郎と村人とのやりとりはコメディータッチになっていて、結構ユニークだと思います。初演なので、お客さまも笑うタイミングに迷われるかもしれませんが(笑)、ラフに観てもらえたらうれしいですね。信頼できるキャストの皆さまと、全力で太郎を演じますので、楽しみにしてください!」

Information

PARCO PRODUCE 2026
『うま-馬に乗ってこの世の外へ-』

1560年代、舞台は羽前の国・小松郷。病身の母と村にやってきた青年、太郎が、巧みな言葉で村の男たちから金を巻き上げ、女もものにしていく。男たちは太郎を殺そうとするが……。7月8日~28日東京PARCO劇場、8月6日~12日大阪SkyシアターMBSにて上演。

Photograph=JOJI 〈RETUNE rep〉 Styling=Tomoya Murata 〈SMB International.〉 Hair & Make-up=Ayami Sanda Text=Text=Miku Sugishima

※InRed2026年8月9月合併号より。情報は雑誌掲載時のものになります。
※画像・イラスト・文章の無断転載はご遠慮ください。

この記事を書いた人

杉嶋未来

舞台の制作を経てライターへ。女性誌、インタビュー誌、劇場用パンフレットやwebサイトで音楽、映画、舞台、ドラマなどエンタメ系のインタビューやレポートを執筆。著書に『ぜんぶ! 海外ドラマ』がある。

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