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32名で力を合わせ、世界初上演の新作を演じ切る! ネルケプランニング「夏休み!オン・ワークショップ2026」レポート【最終日】

  • 2026.8.6
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ネルケプランニング「夏休み!オン・ワークショップ2026」最終日の様子 クランクイン!

ネルケプランニングのWELCOME KIDS PROJECTによる演劇ワークショップ&体験会「夏休み!オン・ワークショップ2026」が、6日目の最終日を迎えた。小学1年生から中学3年生までの32名が、演出・脚本を手がける劇団おぼんろ・末原拓馬とともに、数日間かけて一つの舞台を作り上げてきた。集大成となる成果発表会の様子をレポートする。

【写真】みんな立派な俳優さん! ネルケプランニング「夏休み!オン・ワークショップ2026」最終日の様子

◆「緊張してない!」と笑顔 役者の顔つきで迎える開幕

迎えた最終日。パーテーションで区切られた楽屋には、自分たちで作ったTシャツに天使の羽、天使の輪をつけた子どもたちの姿があった。鏡前で衣裳をチェックしたり、パーテーションの隙間から客席の保護者を確認したり。どこかソワソワとしながらも、どの子も笑顔で楽しそうなのが印象的だ。何人かに緊張しているか聞いてみたが、みんな口を揃えて「緊張してない!」と答える。

とはいえ、少しずつ落ち着かない空気が漂いはじめる。すると、スタッフから「お客さんのことは気にしないで、集中するよ!」と声がかかった。全員で上演前の円陣を組むと、「やるぞ!」という気合いや高揚感を残しつつも、浮ついた熱がすっと引いていく。まさに、本番前の役者の顔つきだ。講師の末原のかけ声を受け、子どもたちの声が会場に響き渡った。

「今回の演目は、ここが世界初上演の新作です」。プロジェクトリーダーの下泉さやかからのそんな挨拶の後、いよいよ開幕する。

末原が書き下ろしたのは、天界を舞台にした物語。審査に落ちてしまった天使の卵=“落第もどき”、審査に受かったものの天使学校で挫折し、天使より高位の存在である悪魔になれなかった“合格もどき”。完璧ではない、できそこないの存在たち。そんな彼らが、自分を認め、自らの願いを祈る。そして、誰もがそうあれる世界を願う物語だ。ほんのすこしの苦みを、子どもたちの笑顔とパワーが希望へと変えていく。末原らしい一作である。

ステージと、そこから伸びる3本の花道、さらに壇上も使った複雑な動線に、歌やダンスもある。つい5日前に、本読みが始まったばかりで、セリフを発するにも自信なさげだった子どもたち。そこからわずか数日で、これほどまでに見違えるとは。子どもたちは登場シーンから、紙吹雪と祈りを書いた紙飛行機が舞うクライマックスまで、全32名が堂々とステージに立ち続け、拍手を浴びる姿は、まさに役者そのもの。全員が、やりきったという充実の表情を見せてくれた。

カーテンコールで、末原は「今日が6日目です。普通であればあり得ないことが、こうして実現しました。いろんな可能性を感じる、楽しい時間でした」とワークショップを振り返る。下泉も「演劇は、すべての過程、関わるひとりひとりの仕事のすべてに意味がある世界です。このワークショップを通して、全部のことが無駄ではなく、誰一人欠けてはだめで、すべてが今につながるということを感じて持ち帰ってもらえたら」と、保護者に向けて感慨深く語りかけた。

◆末原拓馬「子どもは楽しむ天才」 本企画をライフワークに

ワークショップは、成果発表をして終わりではない。公演後の振り返りでは、講師陣がそれぞれ子どもたちに声をかけていく。「うまくできたときと、できなかったとき、何が違ったかを考えてほしい」と伝えるのは末原だ。6日間をともに過ごした講師陣の言葉を受け止める子どもたちの表情は、公演を終えてホッとしながらも、まだどこか気を張った面持ちのまま。そこには、作品を創り上げた役者としての自覚が滲んでいた。その後、子どもたちは通常の舞台と同じくバラシと打ち上げを終えて、ワークショップの全日程を終える。

公演を終えた末原に、今年のワークショップについて聞くと、まず口をついたのは「初日は本当にどうなるかと思った」という言葉だった。昨年は、末原が過去に上演した作品の再演。全員が同じ役で、主要な相手役はほとんど末原や、同じく劇団おぼんろ所属のわかばやしめぐみが担う、簡略化された構成だったという。それでも手応えを得た末原は、今年、新作を書き下ろし、あえて難度を上げた。小学1年生から中学3年生までという年齢差のあるカンパニーで、末原が出ないシーンを作り、子どもたちのセリフを増やし、物語も複雑にした。「子どもたちが自立しないといけないし、挑戦でした」。しかも日程は昨年より1日少ない。挑戦は、いくつも重なっていた。

ところが、子どもの成長は大人の想像を上回る。「彼らは自分の限界をまだ知らないから、どんどん伸びていく。昨日まで不安だったシーンが、翌日には見違えるほど仕上がっていて、その連続でした」と末原は振り返った。

「子どもは楽しむ天才」と末原は語るが、末原はその楽しさを引き出す天才だろう。そんな彼が徹底したのは「全部のシーンを楽しくすること」。「動きが硬いなと思ったら、そのシーンに喜びがないんです。じゃあここはこうしてみようって、どんどん色を塗っていってあげる」。その積み重ねが、子どもたちのキラキラとした表情を引き出していた。

「子どもと作品を作るとき、普段はオーディションで歌って踊れる子が集まる。でも、このワークショップはそうじゃなく、いろんな子が集まって、“こんなに素敵なものができる”と提示する場でもある。それ自体が、僕らにとってのアートだなという気持ちで作っていました」。できそこないたちが自分を認め、祈る物語は、そのまま、まだ完璧ではない可能性を秘めた子どもたち32名がひとつの舞台を作り上げる姿にも重なっているように思えた。

最後に、今後の展望を尋ねると、末原は「これはもうライフワーク」と即答した。思い描くのは、子どもたちが一年中逃げ込んでこられる遊び場だ。「来て、大きな声で歌って、お芝居をして、解散する。そういう場所を作っていくことが、これから5年、10年の自分の人生かなと思っています」。

6日間という短い日程で、32名の子どもたちはひとつの舞台を作り上げ、堂々と演じきった。「子どもたちは仲良くなるのに、理由なんていらない」末原の言葉通り、この短い期間が、確かにひとつのカンパニーを生み出していた。初日、床に輪になって台本を読んでいた彼らは、いま役者の顔でこの場所を後にする。この夏の記憶が、いつか彼らのなかで大きな花を咲かせる日を、楽しみに待ちたい。(取材・文・写真:双海しお)

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