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「荷物、もう送らなくていいよ」と母に告げた私が、箱の底の封筒の中身を見つけた日

  • 2026.8.7
ハウコレ

箱の底に貼られていた封筒には「困ったら開けてね」の文字。開けた私が見つけたのは、仕送りのお金ではありませんでした。母の字を、私は読み返します。

玄関で受け取った段ボールには、先週と同じ缶詰と、頼んだ覚えのないタオルが詰まっていました。

断っても届き続ける荷物

春に実家を出て、1人暮らしを始めました。母は昔から過保護な人です。遠足の前日には持ち物を何度も確認し、進学先にも就職先にも口を出してきました。実家を出ると決めた時も、最後まで渋い顔をしていた人です。引っ越してからは、それが荷物に変わりました。缶詰、レトルト、洗剤、タオル。頼んでいない物が毎週のように届き、付箋には「ちゃんと食べてる?」の文字。まるで離れた場所から生活を見張られているようで、私は届いた箱を開けもせずに、部屋の隅へ積み上げるようになっていました。

かみ合わなかった電話

電話で、思い切って伝えました。「荷物、もう送らなくていいよ」と。送料だってかかるし、置き場所もない。私はもう子供じゃない。そう続けようとした私に、母は「余ってるだけだから、気にしないで」とだけ言って、天気の話に変えてしまいました。結局こうやって、私の言い分はいつも流されてきたのです。通話を切った部屋で、積み上がった箱だけが母の言い分のように居座っていました。

箱の底に貼られた封筒

それから届く荷物は、目に見えて小さくなりました。数週間後に届いた箱は片手で持てるほど軽くて、中身は乾物が少しだけ。底に、白い封筒がテープで貼りつけてありました。表には母の字で「困ったら開けてね」。今度は現金で黙らせるつもりだろうか。そう身構えて開けると、出てきたのは手書きのカードの束でした。肉じゃが、からあげ、豚汁。どれも、子どもの頃から私が一番好きだったおかずです。分量の横には「うちの味。あなた好みに甘め」と添えられていました。

そして...

最後の1枚には、レシピではなく短い一言がありました。「作れるようになったら、送るのはやめるね」見張られていると思っていた荷物は、手を離す準備だったのかもしれません。文句を並べていた自分が急に子どもっぽく思えて、母には敵わないな、と思いました。私はその夜のうちに電話をかけて、「今度、家帰るね」と伝えました。私が料理作れるの見せてあげる、と言い添えると、電話の向こうで母が笑いました。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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