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スマホが壊れた5日間、娘への返事を便箋に書いては消していた私

  • 2026.8.7
ハウコレ

便箋に書き始めた娘への返事は、何度も書き出しで止まりました。待ちきれなくなった私は、電話台のメモを繰って、娘の番号を固定電話から押すことにしたのです。

台所の隅で充電だけを続けているスマホの画面には、細かいひびが走ったままでした。

電話を切った直後のこと

娘と口論になったのは、転職の報告を受けた電話でした。

「そんなに遠くへ行かなくてもいいじゃない」

私が繰り返すほど娘の声は硬くなり、最後には「お母さんには関係ないでしょ」と言われ、通話は切れました。動揺したまま台所へ戻る途中、エプロンのポケットからスマホが滑り落ち、床の角で画面が割れてしまったのです。電源は入るのに、触れても何も反応しませんでした。

便箋の上の書き直し

修理店が遠いこと、費用のことを言い訳にしながら、私は数日をやり過ごしました。本当の理由は別にあります。直した画面に、娘からの怒りの続きが並んでいたら。そう考えると、修理店へ向かう気持ちがしぼんでしまうのです。

代わりに私は、便箋に娘への返事を書き始めました。謝りたいのか、まだ言い足りないのか、自分でも分からないまま、書き出しを書いては消す日が続きました。

待てなくなって回した番号

5日目、ようやく持ち込んだ修理店で、部品の取り寄せに時間がかかると言われました。受け取りを待つ間も、娘が今どうしているのかばかり考えてしまいます。家に戻った私は、電話台のメモを繰り、娘の番号を固定電話から押しました。

「壊れたの、スマホ。ずっと読めなかったの」

事情を話すうち、こわばっていた娘の声が少しずつやわらいでいきます。「本当はね、直すのが少し怖かったのよ」と打ち明けると、娘は「私も、電話すればよかった」と返してくれました。

そして...

戻ってきたスマホには、「この前は言いすぎました。ごめんなさい。」という1通が届いていました。私が怖がっていた怒りの続きなど、どこにもなかったのです。書きかけの便箋は畳んで引き出しにしまい、「私も言いすぎました。今度、ゆっくり話しましょう」と、直った画面から返信を送りました。反対したい気持ちは、今も消えていません。それでも次は、言葉を選びながら聞こうと思っています。

(50代女性・パート)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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