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「黙って正座して、話を聞け」結婚の挨拶で一時間も厳しく説教した義父を、彼が間に入って止めた朝

  • 2026.8.6

正座で始まった顔合わせ

結婚の挨拶で、初めて相手の実家を訪ねた日のことです。玄関を上がると、奥の薄暗い座敷に通されました。

そこで待っていたのは、長年職人として腕をふるってきた、彼の父親でした。

畳の上に、私は膝をそろえて正座します。

「まあ座れ。話がある」

低い声に、私は背筋を伸ばしました。彼も隣に座りましたが、父親の前ではどこか小さく見えます。

出されたお茶に手をつけていい雰囲気でもなく、私は湯呑みを見つめたまま、次の言葉を待ちました。

「正座して、話を聞きなさい」

そう切り出されると、部屋の空気がぐっと重くなりました。

挨拶の言葉を返す間もなく、話は始まっていきます。

「うちに来るからには、覚悟はあるのか」

問いかけというより、値踏みされているような響きでした。

私は「はい」と答えるのが精一杯です。

「職人の家に入るってのが、どういうことか分かってるのか」

「甘い気持ちで飛び込んでこられても、こっちが迷惑するんだ」

逃げ道をふさぐような言葉が、次から次へと私に向けられます。

その一つ一つが、重く畳に落ちていきます。私はうつむいて、ただ聞いていることしかできませんでした。

感覚のなくなった足

説教は、いつ終わるとも知れずに続きました。

時計の針は、もう一時間近く回っていたはずです。

「生半可な気持ちなら、やめておけ」

厳しい言葉が重なるたび、私の膝の下では、足の感覚が少しずつ遠のいていきました。

正座を崩すことも、足を横に流すことも、この張りつめた空気の中では、とても許されそうにありません。

「はい、頑張ります」

冷や汗をにじませながら、私はそう繰り返すよりほかにありません。

隣の彼は、父親の勢いに気圧されてか、ずっと黙ったままでした。

「あんたのためを思って、あえて言ってるんだ」

その一言に頷きながら、私は膝の上の指先だけが、やけに冷たくなっていくのを感じていました。

(助けて、と何度心の中で呼びかけたことでしょう。)

けれど、待っていたはずの一言は、彼の口から最後まで出てきませんでした。

「まあ、そういうことだ。分かったならいい」

ようやく父親がそう言って、長い話は終わりを告げました。

私は緊張がほどけて、そっと立ち上がろうとします。

ところが、足にまるで力が入りません。痺れを通り越して、感覚そのものが消えていたのです。

「あの……すみません、少しだけ」

畳に手をついたまま、私はしばらく動けませんでした。

あの日、痺れた足の冷たさだけが、今もはっきりと残っています。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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