1. トップ
  2. 【エディターズレター】情熱を纏う、イタリアのデザイン──『ELLE DECOR JAPAN』2026年8月号

【エディターズレター】情熱を纏う、イタリアのデザイン──『ELLE DECOR JAPAN』2026年8月号

  • 2026.8.3
LORENZO PENNATI(LIVING INSIDE)

デザインには、私たちの価値観や人生への視線さえ変える力があります。その本質を改めて見つめ直したときに辿り着いたテーマが、“イタリア的、自由と情熱”でした。その象徴が、1980年代に突如現れたデザイン集団「メンフィス」。エットレ・ソットサスを中心に結成された彼らは、当時重視されていた合理性や機能主義に疑問を投げかけました。鮮やかな色彩、大胆なパターン、遊び心あふれる造形──家具に対する固定観念を軽やかに飛び越え、世界のデザインシーンに大きな衝撃を与えたのです。

LORENZO PENNATI(LIVING INSIDE)

本特集では、メンフィスを実際に支えたメンバーの言葉に耳を傾けました。ソットサスが遺した「インスピレーションをくれるのは、色彩の歴史」という言葉は、感性に目を向けることの大切さを思い出させてくれます。また、ミケーレ・デ・ルッキは、建築家・伊東豊雄との対談の際に「デザインは美しさのためではなく、笑顔のため、心地よさのため、そして楽観的な気持ちをもたらすためにある」と語っています。ここには、デザインを人間らしく生きるための文化として捉える、イタリアならではの思想が凝縮されているのです。

近年、ファッションから派生し、インテリアの世界でもクワイエットラグジュアリーが定着しています。控えめで洗練された美意識は確かに魅力的。でも、そればかりでは個性や遊び心が失われてしまうことも。だからこそ今、イタリアのデザインが持つ“自由さや大胆さ”、そして“人間らしいユーモア”に学ぶ意義があるのではないかと思うのです。この引き算の美学とは一線を画す、情熱に満ちた空間として今号の表紙を飾ったのが、パトリシア・ウルキオラが手掛けた葉山の新ホテル。そこには自由で大胆なクリエイティビティが息づいています。

Hearst Owned


さらには、ミラノデザインウィーク2026も総力取材。街全体が実験室と化した、あの情熱の渦の中で生まれた最新スタイルや素材を通して、インテリアの未来を予測します。

効率が最優先されがちな今だからこそ、情熱や直感を信じてみる。その選択が、暮らしをドラマティックに変えてくれるはずです。

Hearst Owned

『エル・デコ』2026年8月号



元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ