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患者「この匂いちょっと気分が悪くなるんです」病棟で突然の申し出→原因となった悪気のない職員に、看護師が伝えたこととは

  • 2026.9.5
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

病棟看護師のもなです。

病棟では、患者さんが少しでも安心して過ごせるように、治療だけでなく環境にも気を配っています。

そんなある日、患者さんから思いがけない言葉をかけられました。

「このにおい、ちょっと……」

その一言を聞いたとき、何のことか一瞬分かりませんでした。

普段から香りのあるものに触れる機会が多く、私自身は香りに慣れてしまっていました。

「そう感じる人もいるんだ」

そう思った私が、その後どんな対応を選んだのか。

今回は、そんな小さな出来事から、「自分基準」と「相手基準」について考えた経験をお話しします。

患者さんから突然の申し出

患者さんから突然、

「あの人の匂い、ちょっと気分が悪くなるんです」

と言われました。私は一瞬、言葉に詰まりました。

病棟では、職員から匂いや香りがすることがあります。

ハンドクリームを使う際は、強い香りにならないように気をつけたり、患者様と接するときは控え、休憩中や退勤後に使うなど気をつけていたため、私自身には特に気になるものではありませんでした。

看護師同士でも、いい香りのハンドクリームや、洗剤を使っている人がいると、

「それどこの!?」

と聞いて、同じものを買うこともあります。ところが、その香りを患者さんは負担に感じていたのです。

患者さんは怒っているというより、困ったような表情で話していました。

実際に気分が悪くなっているのであれば、簡単に片づけることもできません。

一方で、ハンドクリームをつけてしまっていた職員にも悪気があったわけではありません。

「このまま患者さんに我慢してもらうわけにもいかない」

そう考え、まず患者さんに、どんなときに気分が悪くなるのかを聞きました。そのうえで、職員にも状況を伝えました。
その職員自身もつけすぎには気をつけてはいたものの、確かに人によっては香りが気になるかもしれない、と感じました。

それぞれの話を聞きながら、どうすればよいかを考えていくことにしました。

「どうすれば過ごしやすい?」を考えた

このとき私が一番に考えたのは、『今、この患者さんがどうすれば過ごしやすいか』ということでした。

香りは目に見えません。だからこそ、気にならない人には、相手がどれほどつらく感じているのか想像しにくいものです。

私自身も、最初は「自分は平気だから」と思っていました。

でも、もし自分が体調を崩していたらどうでしょう。普段は気にならない香りまで、つらく感じるかもしれません。そう考えると、まず患者さんの気持ちを聞くことが大切です。

つぎに、具体的にできることを考えました。職員は、香りを控えるなど、できる対応を一緒に考えました。

結果として、職員は患者さんの状況を理解し、柔軟剤やハンドクリームなど香りのついているものを控えることになりました。

「同じ空間で過ごす患者さんが、どうすれば気持ちよく過ごせるか」

そこに目を向けることが、今回の対応では大切でした。

香りだけじゃない。「自分には平気」を一度疑ってみる

この経験をしてから、私は香りに限らず、「自分にとっての普通」を相手にも当てはめないよう意識するようになりました。

職場では、音や室温、話し方など、自分には気にならなくても、誰かには負担になることがあります。

例えば、通勤中の電車やバスで感じる強い香り。職場での大きな話し声も同じです。「これくらいなら大丈夫」と決めつけるのではなく、「相手はどう感じるだろう」と、一度立ち止まる。

私自身も、何かをするときには「相手にとってはどうだろう」と考えるようになりました。

相手の立場に立つために、今日からできること

「自分は平気」が、相手にとっても平気とは限りません。

職場でも家庭でも、長く過ごしていると、「これくらい普通」「今まで問題なかった」と、自分の基準で判断しがちです。

近年は、柔軟剤などの香りで体調を崩してしまう『香害』も社会的に認識されるようになってきました。医療現場に限らず、私たちが普段生活する公共の場でも同じことが言えるかもしれません。

自分は平気だからこそ、香りや声の大きさ、話し方など、身近なことを一つだけ、「相手にとってはどうだろう」と考えてみる必要があります。

自分の当たり前を少しだけ疑ってみることが、周りへの配慮につながるのだと思います。


ライター:もな|病棟看護師・看護師ライター

看護師歴7年。急性期・整形外科、地域包括ケア病棟、訪問看護を経験。現在も看護師として勤務しています。日々の看護で出会う患者さんやご家族とのやり取りをもとに、医療現場で感じた「小さな気づき」や、働く人が少し前向きになれる学びを発信しています。


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