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欧州ロイヤルが愛する、華麗なる夏の離宮7選|英国王室のバルモラル城やマヨルカ島の宮殿も

  • 2026.8.1
Getty Images

ヨーロッパ各国の王族は毎年夏になると、代々受け継がれてきた特別な場所で束の間のバカンスを過ごす。とはいえ、その滞在は純粋な休暇とは限らない。国王や王妃が首相を迎えたり、くつろいだ雰囲気のなかで公式レセプションを開いたりと、公務を兼ねることも。自ら料理や皿洗いをする英国王室の過ごし方から、一般公開される北欧の宮殿まで。歴史や知られざるエピソードとともに、ロイヤルたちの優雅な避暑地をのぞいてみよう。

バルモラル城(スコットランド)

1960年、バルモラル城で撮影されたエリザベス女王一家。 Getty Images

ヨーロッパにある王室の夏の離宮のなかで、最も有名なのはバルモラル城かもしれない。スコットランドのアバディーンシャーに広がる約5万エーカーの領地内にあり、170年以上にわたって英国王室お気に入りの避暑地となってきた。

1867年、バルモラル城で愛犬シャープと一緒に写るヴィクトリア女王。 Getty Images

王室とのつながりが始まったのは1852年。スコットランドとその田園風景を愛していたヴィクトリア女王への贈り物として、夫のアルバート公がこの土地を購入した。当時あった邸宅は王室一家が滞在するには小さすぎると判断され、敷地確保のために旧邸宅を取り壊し、1856年に新たな城が完成した。現在、この領地には合計約150棟の建物がある。

その後、エリザベス女王は毎年8月から9月にかけてここで過ごし、バルモラルは女王の治世を象徴する場所のひとつとなった。Netflixドラマ「ザ・クラウン」では、複数のエピソードの舞台として登場する。

バルモラル城の敷地内で1972年に撮影されたフィリップ王配とエリザベス女王。 Getty Images

バルモラル滞在中 、王室のメンバーは「ある程度までは普通の人々のように振る舞う」と王室一家の元専属カメラマン、リッチフィールド卿は1972年に語っている。彼らは敷地内では自らレンジローバーを運転し、食事を作り、皿洗いまでしていたという。トニー・ブレア元首相もかつて、「冗談だと思うかもしれませんが、本当です。彼らは手袋をはめ、流しに手をつっこんでいるのです。女王は食事が終わったかどうかを尋ねると、皿を重ねて流しへ運んでいきます」と明かした。

2013年、バルモラルで公務を行うエリザベス女王の様子。 Getty Images

2022年9月8日、エリザベス女王はこのバルモラル城で亡くなった。現在、チャールズ国王も伝統を受け継ぎ、夏を同地で過ごしている。通常はスコットランドのケイスネスにあるメイ城に滞在した後、8月末ごろにバルモラル入りするという。王室一家の滞在中以外の時期には一般見学が可能。近年は城内を巡るガイドツアーも導入され、ギフトショップでは敷地内で作られたさまざまな食品も販売されている。

グローステン宮殿(デンマーク)

デンマーク南部のユトランド地方にあるグローステン宮殿。 Getty Images

英国王室と同じく、デンマーク王室も数多くの不動産を所有している。ドイツとの国境に近いグローステン宮殿は、1935年に当時のフレゼリク皇太子とイングリッド妃に提供されて以来、デンマーク王室の夏の住まいに。

王室の公式サイトによると、この場所には16世紀半ばに小さな狩猟用の館が建てられたが、火災で焼失し新しい建物に建て替えられた。その建物は後に大規模なバロック様式の宮殿へと拡張されたものの、1757年に再び火災に見舞われ、残ったのは宮殿内の礼拝堂といくつかのパビリオンだけだった。現在の宮殿は、1759年に南棟が再建され、1842年に中央棟が増築されたものだ。

1954年7月、宮殿の階段で娘のマルグレーテ王女の髪を整えるフレゼリク9世国王と、笑いながらその様子を見守るオランダのベアトリクス王女。 Getty Images

宮殿は数世紀にわたり所有者を変えた後、1920年の南ユトランド再統合を経てデンマーク政府の所有に。大規模な修復工事を終えた1935年、王室に提供された。

現在、グローステン宮殿は特に夏の王室行事と深く結びついている。王室一家が夏の滞在を始める際には、伝統的に市民による歓迎式典が開かれている。今年はフレデリック10世国王とメアリー王妃に連れられて、15歳の双子、ヴィンセント王子とヨセフィーネ王女、そして兄のクリスチャン皇太子が到着歓迎式典に出席し、注目を集めた。

2026年、フレデリック10世国王とメアリー王妃が3人の子どもたちを連れて到着。 Martin Sylvest Andersen / Getty Images

ヘット・アウデ・ロー城(オランダ)

ヘット・アウデ・ロー城と満水の堀の眺め。 Getty Images

オランダ王室は、ハーグのハウステンボス宮殿とアムステルダムのロイヤルパレスという2つの主要な都市型宮殿を使用している。しかし、田園地帯で静かな時間を過ごしたいときには、それほど遠くない場所にもうひとつの選択肢が。

ヘット・アウデ・ロー城は、オランダ語で「古い森」という意味に近い名称を持つ15世紀の城で、オランダ中部のアペルドールンにあるヘット・ロー宮殿の敷地内に位置している。もともとは狩猟用の館として建てられ、周囲を堀に囲まれている。

1845年のものとされる、 ヘット・アウデ・ロー城を描いた版画。作者不詳。 Getty Images

1684年、オラニエ公ウィレム3世が城と周辺の土地を購入。その後、近くにより大規模なヘット・ロー宮殿を建設したため、古い城は薬局など実用的な施設としての補助的な役割を担うように。19世紀初頭にはルイ・ボナパルトの手に渡り、城を囲む堀が埋め立てられた。1813年にオラニエ=ナッサウ家がオランダへ戻ると、建物はウィレム1世の所有となった。堀は後に、現在のウィレム・アレクサンダー国王の曾祖母にあたるウィルヘルミナ女王によって復元された。

2005年、 ヘット・アウデ・ロー城で撮影されたオランダ王室のホリデーカード写真。 Getty Images

オランダ政府は1968年にこの城を取得し、1973年には国の文化遺産に指定した。同時に、大きなヘット・ロー宮殿は一般公開される博物館へと生まれ変わった。一方、ヘット・アウデ・ロー城は現在も王室専用の住居兼迎賓館として使われている。最近では、ウィレム=アレクサンダー国王とマキシマ王妃が天皇皇后両陛下を招き、6月に行われたワールドカップのグループステージ、日本対オランダ戦をともに観戦した。

マリベン宮殿(スペイン)

パルマ・デ・マヨルカにあるマリベン宮殿。 Getty Images

スペイン王室は一年の大半をマドリードのサルスエラ宮殿で過ごすが、飛行機でほど近いリゾート地、マヨルカ島にも夏の宮殿が。マリベン宮殿はパルマ・デ・マヨルカの南西端にある崖の上に建ち、地中海を一望できる。

1970年代にバレアレス諸島自治州政府がフアン・カルロス1世国王にこの建物を提供して以来、この城はスペイン王室の夏の離宮として使われてきた。「マリベン」という名前は、カタルーニャ語で「海と風」を意味する。

2017年、フェリペ国王とレティシア妃、レオノール王女、ソフィア王女。 Getty Images

宮殿は、画家で美術収集家のフアン・デ・サリダキスの依頼により、1923年から1925年にかけて建設された(彼の死後、建物と敷地は美術館として利用することを条件に地元自治体へ寄贈されたが、1973年に王室へ提供されたことから、サリダキスの妻が後に訴訟を起こしている)。

宮殿内部は完全に非公開だが、周囲の庭園は王室一家が滞在する数週間を除き無料で一般公開されている。 庭園にはカタルーニャ出身の芸術家ジョアン・ミロによる12点のブロンズ彫刻が配置されている。

2010年、米国のミシェル・オバマ大統領夫人とその娘サーシャを迎えるスペイン王室。 Getty Images

王室一家は通常、8月上旬に到着すると宮殿でレセプションを開き、500人を超える地元当局者や住民を歓迎する。昨年の式典では、フェリペ6世国王がテニス界のレジェンド、ラファエル・ナダルに爵位を授け、ナダルは初代リェバント・デ・マヨルカ侯爵となった。

オスカーシャル宮殿(ノルウェー)

2025年、オスカーシャル宮殿の前で撮影されたソニア王妃。 Getty Images

ノルウェー王室は、オスロ周辺にある2つの邸宅を拠点としている。ハーラル5世国王とソニア王妃は、市内中心部にある王宮で暮らしながら公務を行い、主要な王室レセプションや国家行事の多くもそこで催される。一方、ホーコン皇太子とメッテ=マリット皇太子妃は、オスロの西に位置するアスケーの公邸スクーガムが拠点だ。

ノルウェー王室が夏を過ごすオスカーシャル宮殿は、夏の休暇用コテージとして知られている伝統的漁師小屋「ロルブー」とはまったく異なる姿。アイボリー色のネオゴシック様式の宮殿で、3階建ての本館に細長い八角形の塔が付属。オスロ・フィヨルドを望むこの城は、オスカル1世国王とジョゼフィーヌ王妃のために1847年に着工した。

1869年のオスカーシャル宮殿の図版。 Getty Images

王室の公式サイトによると、宮殿は同国の芸術や工芸を紹介する場として建設された。しかし、建設費が当初の見積もりの約3倍に膨らみ、建築家たちは宮内長官からたびたび批判を受けたという。1852年の完成以降、一般公開されている。

2005年、オスカーシャル宮殿に集まったノルウェー王室とスウェーデン王室。 Getty Images

そのほか近隣には、1305年以来ノルウェー王室と深く関わってきた土地に建つ非公開の離宮、ビグドイ王室農場もある。この建物は長期間使用されなかった後、2007年に修復され、現在はハーラル5世国王とソニア王妃が夏を過ごしている。

シエルニョン城(ベルギー)

ベルギーのアルデンヌ地方にあるシエルニョン城。 Getty Images

ブリュッセル郊外の広大な敷地に建つラーケン王宮を主な住まいとしているベルギー王室は、夏になるとアルデンヌ地方に位置するシエルニョン城へ。約2世紀にわたり、ベルギー王室の避暑地兼休暇用の別邸として使われてきた。

この土地は1840年、妻のルイーズ=マリー王妃の希望を受けたレオポルド1世国王が購入したと伝えられている。最初に建てられたのは狩猟用の館で、深い谷とレス川を見下ろす台地に位置していた。現在の城は後にレオポルド2世国王によって建てられたもので、設計は宮廷建築家のアルフォンス・バラが担当。バラはベルギー王室に関わる数々の重要な建築を手がけている。

1960年、シエルニョン城でのボードゥアン国王と、王妃となるファビオラ・デ・モラ・イ・アラゴン 。 Getty Images

シエルニョン城は、ベルギー王室史に残る重要な出来事の舞台にもなってきた。1960年には、この地でボードゥアン国王と当時婚約者だったファビオラ・デ・モラ・イ・アラゴンが、メディアに向けて正式に婚約を発表した。

2008年にシエルニョン城で行われたエレオノール王女の洗礼式。中央はエレオノール王女のゴッドペアレントの一人であるスウェーデンのヴィクトリア王太子。 Getty Images

現在の君主であるフィリップ国王の子どもたちは、いずれも城内の礼拝堂で洗礼を受けた。建物はベルギー王室財産信託が私有し、これまで一度も一般公開されていない。ただし、シエルニョンの町へ続く道路から城を見ることができるといわれている。

ソリデン宮殿(スウェーデン)

スウェーデン・ボリホルムにあるソリデン宮殿。 Getty Images

スウェーデンの夏を象徴するのが、6月に行われる夏至祭「ミッドサマー」。太陽がなかなか沈まない白夜のなかで祝う、幻想的な祭りだ。そしてもうひとつの恒例行事が、7月14日に行われるヴィクトリア王太子の誕生日の祝賀イベント。

この祝賀行事は年々規模を拡大し、現在ではエーランド島で数日間にわたって開催され「ヴィクトリア・デイ」として知られている。中心となるのは、王室の夏の住まいであるソリデン宮殿周辺。野外コンサートや地域イベント、近隣の町ボリホルムを通る王室のパレードなどが行われる。宮殿の庭園は夏季に一般公開されるが、邸宅内部は非公開。また、多くの王室施設とは異なり、国有財産ではなく、カール16世グスタフ国王が個人で所有している。

2017年のカール16世グスタフ国王とシルヴィア妃。 Getty Images

ソリデン宮殿の王室の夏の離宮としての歴史は20世紀初頭に始まった。グスタフ5世国王の妻ヴィクトリア王妃が宮殿を取り囲む公園と庭園の造営を依頼し、複数の植栽様式が融合した独特の景観を作り上げた。宮殿そのものはイタリア風の建築で、北欧の王室邸宅に多く見られる様式とは一線を画している。もっとも、ストックホルムは数多くの水路を持つことから「北欧のベネチア」と呼ばれることもあり、両文化にはより深いつながりがあるのかもしれない。

2020年、ヴィクトリア王太子とダニエル王子、そして子どもたちのエステル王女とオスカル王子。 Getty Images
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