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【60代エンタメ】4年ぶりに浅草へ!「平成中村座 十月大歌舞伎」製作発表 勘九郎初役の助六、七之助初役の戸無瀬に注目

  • 2026.7.31

10月、浅草寺本堂裏に4年ぶりに帰ってくる「平成中村座 十月大歌舞伎」。その製作発表記者会見が、7月28日に東京都内で行われました。
 
「平成中村座」は、江戸三座の筆頭である中村座を現代によみがえらせたいという十八世中村勘三郎さんの思いから、2000年に浅草に誕生した芝居小屋です。舞台と客席が近く、俳優と観客が一体となる特別な空間は、多くの歌舞伎ファンを魅了してきました。
 
今回の公演では、中村勘九郎さんが初役で助六を勤める『助六曲輪初花桜』、中村七之助さんが女方の大役・戸無瀬に初めて挑む『仮名手本忠臣蔵 九段目 山科閑居』など、注目の演目が並びます。
 
会見には、中村勘九郎さん、中村七之助さん、中村勘太郎さん、中村長三郎さんが登壇。それぞれの役への意気込みを語りました。

「平成中村座 十月大歌舞伎」第二部『助六曲輪初花桜』特別ビジュアル

第一部は華やかな舞踊と名作、そして親子三人の『連獅子』

第一部は、成駒屋三兄弟の襲名披露以来の上演となる舞踊『初帆上成駒宝船』で幕を開けます。
 
勘九郎さんは「とても洒落た舞踊で、僕自身とても楽しみにしています」と期待を寄せました。
 
続く『仮名手本忠臣蔵 九段目 山科閑居』は、平成20(2008)年10月の「平成中村座」で、十八世中村勘三郎さんが初役で戸無瀬を勤めた、中村屋にとって思い出深い演目です。
 
今回は、戸無瀬を七之助さん、大星由良之助を勘九郎さん、お石を中村扇雀さん、加古川本蔵を中村座初出演となる中村鴈治郎さんが勤める、充実の配役が実現しました。
 
そして第一部を締めくくるのは『連獅子』。
 
令和3(2021)年に勘太郎さん、令和6(2024)年に長三郎さんが、それぞれ歌舞伎座で父・勘九郎さんと踊ってきた『連獅子』。今回は初めて、勘九郎さん、勘太郎さん、長三郎さんによる親子三人の『連獅子』が披露されます。

「平成中村座 十月大歌舞伎」第一部『連獅子』特別ビジュアル

勘九郎さんは、「この3人で『連獅子』を踊るのは初めてですが、『平成中村座』で『連獅子』が上演されるのも初めてです。あの空間で三人が毛振りをどう見せられるのか、とても楽しみです」と笑顔。
 
さらに、「父からは、『連獅子』を通して、目上の人と踊る時の礼儀や心構えも教わりました。その精神を息子たちに伝えていきたい」と語り、「勘太郎に背を抜かれて、父の気持ちが少しわかったような不思議な感覚があります」と、親としての思いものぞかせました。

中村勘太郎さん

勘太郎さんは、「前回『連獅子』を踊った時には、『連獅子五箇条』を作っていただき、それや映像資料を見ながら稽古したことが印象に残っています」と振り返ります。

中村長三郎さん

一方、長三郎さんは、「僕は3年ぶりの『連獅子』です。祖父、父、叔父(七之助さん)が勤めていた“三人連獅子”に、こんなにも早く挑戦できることに驚いています。一生懸命頑張りたいです」と意気込みを語りました。

「平成中村座 十月大歌舞伎」製作発表記者会見に登壇した、左から中村長三郎さん、中村七之助さん、中村勘九郎さん、中村勘太郎さん。

15歳の勘太郎さんが『鈴ヶ森』白井権八に初挑戦

第二部は、歌舞伎十八番のひとつ『御存 鈴ヶ森』から始まります。
侠客・幡随院長兵衛を中村芝翫さんが勤め、相対する美男の白井権八には、15歳の中村勘太郎さんが初役で挑みます。
 
勘太郎さんは、「ずっと憧れていた役です。小さい頃から立廻りの場面を何度も見てきました。動きも多く大変だと思いますが、一生懸命頑張ります」と、初役への意欲を語りました。

勘九郎さんが念願の初役『助六』へ

続く『助六曲輪初花桜』は、浅草を舞台にした歌舞伎屈指の人気演目です。
 
花川戸を間近に望む浅草寺本堂裏の平成中村座は、『助六』の世界そのものともいえる場所。

中村勘九郎さん

今回、勘九郎さんは、祖父・十七世中村勘三郎さんから助六を受け継いだ片岡仁左衛門さんから指導を受けての初役です。さらに、仁左衛門さんは10月23日から25日までの3日間に特別出演。助六の兄・白酒売新兵衛を勤めます。
 
「助六は本当に華やかな作品ですし、お芝居としても面白い。古典なのに、とても新しく感じられる不思議な魅力があります」と、勘九郎さん。
 
「父の追善公演で、仁左衛門のおじ様が助六を勤められ、私は白酒売新兵衛で出演しました。その時に『なんて格好いい役なんだろう』と思ったことが始まりでした」
 
勘九郎さんにとって『助六』には、もうひとつ大きな意味があります。
 
「父は『平成中村座で助六を演じる』ことを夢のひとつにしていました。その夢は叶いませんでしたが、父が果たせなかった思いを、自分の体を通して舞台にぶつけたいと思っています」

七之助さん「これ以上ない特別な『助六』になる」

助六の恋人・三浦屋揚巻を勤めるのは七之助さん。

中村七之助さん

七之助さんは笑顔を見せながら、こんな秘話を披露しました。
 
「実は私は、兄は助六をやらないものだと半分諦めていました。父が生きていた頃、『俺が助六をやるから、お前は揚巻ができるようになっておけ』と言われたことがありました。こうして兄が助六に挑戦してくれることになり、本当にうれしく思っています」
 
「盤石の『助六』になると思っていたところへ、仁左衛門のおじ様までご出演くださる。本当に盆と正月が一度に来たような気持ちです。これ以上ない特別な『助六』になるのではないでしょうか」
 
中村屋に受け継がれてきた思いが重なる『助六曲輪初花桜』は、今回の「平成中村座 十月大歌舞伎」を象徴する舞台となりそうです。

七之助さんが初役で挑む『九段目』 父との忘れられない思い出

今回、七之助さんが初役・戸無瀬に挑む『仮名手本忠臣蔵 九段目 山科閑居』上演のきっかけは、
11月に歌舞伎座で『仮名手本忠臣蔵』が通し上演されることでした。
 
「通常の通し上演でも、時間の都合で八段目、九段目、十段目は省略されることが多いんです。そのなかでも、私は九段目がいちばん素晴らしい場面だと思っています。11月の通し上演でも九段目が上演されないと聞き、『それなら平成中村座でぜひやろう』と、一瞬で決まりました」
 
七之助さんは、戸無瀬の稽古にまつわる忘れられない思い出を披露しました。
「父が中村座で戸無瀬を初役で勤める時、母方の祖父(七世中村芝翫さん)のところへ一緒に習いに行きました。祖父は、義太夫も含めて一幕すべてを口で語ってくださったんです。DVDも映像資料もない時代に、役者が体一つで芸を受け継いできた、その底力に本当に驚きました」
 
帰りのタクシーの中で父子で「すごいね」と語り合った思い出を振り返りながら、「その九段目を平成中村座で勤められることを、本当にうれしく思っています。一生懸命務めたいです」と決意を語りました。

左から、中村勘九郎さん、中村七之助さん

『楽しもう』『見てみよう』と思わせてくれる「平成中村座」

勘九郎さんは、平成中村座だからこそ舞台と客席に生まれる空気があるといいます。
 
「歌舞伎座とまったく同じ演出で上演しているのに、お客様から『分かりやすいですね』と言っていただくことが本当によくあります。何か特別なことをしているわけではありません。ただ、お客様が『楽しもう』『見てみよう』と劇場に来てくださる。その気持ちが作品をより身近にしてくれるんです」
 
そして、「一度あの舞台に立ったら、役者はやめられない。それくらい特別な劇場です」と笑顔。
 
七之助さんも、「揚巻の姿で花道に立ち、ふと振り返った時に見える中村座の景色を想像するだけで、今から胸が高鳴ります」と語ります。
 
さらに、「みんなで一つの舞台をつくるという気持ちがもう楽屋からあふれています。役者同士だけでなく、お客様も家族のようになってくださる。それが平成中村座なんです」と、その特別な空間への思いを明かしました。
 
十八世中村勘三郎さんが「江戸の芝居小屋を現代によみがえらせたい」という夢から始まった平成中村座。その夢は今、勘九郎さん、七之助さん、そして勘太郎さん、長三郎さんへと確かに受け継がれています。
 
 
『素敵なあの人』11月号では、中村七之助さんに「平成中村座」の見どころや、女方として今抱いている思いをたっぷりとうかがいました。誌面ならではのロングインタビューも、どうぞお楽しみに。

平成中村座

■日程:
令和8(2026)年10月1日(木)~25日(日)
■会場:平成中村座(浅草寺境内・仮設劇場)
■前売:
8月7日(金)午前10時より電話予約・WEB 受付開始
チケットホン松竹 0570-000-489(午前10時~午後5時)
チケット Web 松竹(24時間受付) ほか各種プレイガイドにて
■ご観劇料(各部・税込):
松席(1階平場席)16,500円/竹席(1・2階長椅子席)16,500円
梅席(2階長椅子席)13,000円/桜席(2階長椅子席)11,000円
お大尽席(2階特別席)36,000円
■公演情報:歌舞伎公式サイト「歌舞伎美人」 https://www.kabuki-bito.jp/theaters/other/play/982
■製作:松竹株式会社
■主催:松竹株式会社/フジテレビジョン
■特別協賛:エステー株式会社
■企画協力:ファーンウッド/ファーンウッド21
■後援:台東区/浅草観光連盟

この記事を書いた人 杉村道子

カルチャー系を中心にインタビュー記事を執筆しています。趣味は歌舞伎、落語、ミュージル、ストレートプレイに小劇場と、ひたすら雑食舞台鑑賞。年に何本見ているのか、最近は怖くて数えていません。

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