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6年前、何度も“トレンド入り”の大反響「沼ったの思い出した」新作公開前の“再配信”で再び熱視線【水曜ドラマ】

  • 2026.8.14
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左が吉高由里子、右が柄本佑(C)SANKEI

映画『白鳥とコウモリ』の公開を記念し、TVerでは出演者たちの関連ドラマを期間限定で無料配信中。そのラインナップのひとつが、柄本佑出演の『知らなくていいコト』だ。吉高由里子演じる週刊誌記者・真壁ケイトの元恋人、尾高由一郎を演じた柄本。その静かな色気と包容力は放送当時から大きな反響を集め、“尾高沼”なる言葉まで生み出した。映画公開を前に、あらためて柄本佑の魅力が詰まった一作を振り返りたい。

※以下本文には放送内容が含まれます。

週刊誌記者が抱える“矛盾”

2020年に日テレ系で放送されたドラマ『知らなくていいコト』。主人公は、週刊誌『週刊イースト』で数々のスクープをものにしてきた敏腕記者・ケイトだ。

仕事に恋に忙しい毎日を送っていたケイトの日常は、映画翻訳家として活躍してきた母の突然の死によって一変する。母が最期に残した言葉を手がかりに自らの出生を調べ始めた彼女は、やがて実の父親が、かつて世間を震撼させた殺人事件の犯人・乃十阿徹(小林薫)ではないかという疑惑にたどり着く。

他人の秘密を追い、時には本人が隠しておきたい真実さえ世間へ届ける週刊誌記者。そのケイト自身が、誰よりも“知られたくない秘密”を抱えてしまう。この皮肉な構図こそ、本作の妙だろう。

さらに、婚約を考えていた恋人・野中春樹(重岡大毅)との関係にも変化が訪れる。自分の出自を理由に拒絶されたことで傷つきながらも、ケイトは記者として仕事を続けていく。
何を知るべきで、何を知らないままでいるべきなのか。そして、誰かの過去を知ることで、その人を見る目は変わってしまうのか。タイトル通りの“知らなくていいコト”をめぐる問いは、ケイト自身の人生と、彼女が追いかけるスクープの双方に重なっていく。

尾高が実現する、優しさと現実味の共存

そんなケイトのそばにいるのが、柄本佑演じる尾高だ。
動物カメラマンとして活動する尾高は、ケイトの元恋人。現在は家庭を持っているが、ケイトの過去や弱さをよく知る理解者でもある。
この尾高が、なんともずるい。

ケイトが苦しいとき、必要以上に励ましたり、正論で導こうとしたりするわけではない。何かを無理に聞き出すこともなく、ただ静かに彼女の話を聞く。その絶妙な距離感が、ケイトだけではなく視聴者の心まで解いていく。
低く穏やかな声、ケイトを見る眼差し、言葉を発する前のわずかな間。大きな身振りや派手なセリフではなく、そこにいるだけの佇まいそのものから感情が伝わってくる。だからこそ、尾高の優しさには妙な現実味があるのだ。

一方で、彼を単純な“理想の男性”として見ることができないところも、このドラマの厄介なところ。尾高にはすでに家庭がある。それでもケイトへの思いを完全には断ち切れない。誰かに優しくすることが、別の誰かを傷つける可能性もある。
包容力と危うさ。理性と感情。その狭間で揺れる大人の男性を、柄本は安易に格好よく見せようとせず、迷いや弱さまで含めて演じている。

放送当時、そんな尾高に魅了される視聴者が続出し、“尾高沼”という言葉まで誕生し、何度もトレンド入りした。今回の配信をきっかけに作品を見返した人からも、SNS上では「沼ったの思い出した」「やっぱり好き」といった声があがっている。年月を経て見返しても、やはり尾高は魅力的だ。

期待したくなる、“見る芝居”

そんな柄本が映画『白鳥とコウモリ』で演じるのは、警視庁捜査一課の刑事・五代努だ。
東野圭吾の同名長編小説を映画化した本作は、善良な弁護士・白石健介(中村芝翫)が殺害された事件から始まる。捜査の末、倉木達郎(三浦友和)が犯行を全面的に自供。しかし、倉木の息子・和真(松村北斗)と、被害者の娘・美令(今田美桜)は、それぞれの父親を知っているからこそ、その結末に違和感を抱く。加害者の息子と被害者の娘。本来なら交わるはずのない二人が、事件の奥に隠された真実へ近づいていく。

柄本演じる五代もまた、容疑者の自供を鵜呑みにせず、事件に残された小さな違和感を追う人物だ。前原滉演じる所轄刑事・中町とのコンビで、足を使いながら真相へ迫っていく。

『知らなくていいコト』の尾高と、『白鳥とコウモリ』の五代。元恋人を静かに見守るカメラマンと、事件を追う刑事では、役柄は大きく異なる。しかし、どこか共通して期待したくなるものもある。それは、柄本の“見る芝居”だ。
尾高がケイトを見つめるだけで、その胸中を想像させたように、五代が事件の向こう側にいる人間をどのように見つめるのかにも注目したい。

『知らなくていいコト』を見返して、ふたたび“尾高沼”へ落ちるのも悪くない。そしてその余韻のまま映画館へ向かえば、今度はまったく違う顔をした柄本佑に出会えるはずだ。


出典:水曜ドラマ『知らなくていいコト』日本テレビ公式サイトより
映画『白鳥とコウモリ』の公開記念!出演者関連ドラマをTVerで期間限定配信中

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_

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