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『ガス人間』出演俳優の企画が“原案化”された連続ドラマ ネトフリ“ならでは”の真骨頂作品

  • 2026.8.16
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Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』(Netflixにて独占配信中)

2024年にNetflixで配信された全8話の連続ドラマ『忍びの家 House of Ninjas』(以下、『忍びの家』)は、現在、Netflixシリーズ『ガス人間』などへの出演で注目を集める賀来賢人が主演を務め、原案を担当したほか、共同エグゼクティブ・プロデューサーとしても携わった作品だ。

※以下本文には配信内容が含まれます

本作は、現代の日本で忍びとして生きる家族たちの物語。
俵家は服部半蔵の末裔の忍びとして、国の危機を防ぐ秘密組織・BNM(忍者管理局)の依頼を受けて様々な任務を請け負っていた。
しかし、6年前に長男の岳(高良健吾)が、誘拐された政治家の救出任務に失敗して命を落としてしまう。それ以降、父親の壮一(江口洋介)は任務を引退し、俵酒造の社長として過ごしていた。次男の晴(賀来賢人)も、自動販売機に飲み物を補充する仕事に就き、一般人として暮らしていた。

一方、長女の凪(蒔田彩珠)は、大学生活を送りながら、忍びの技術を用いて、博物館に忍び込み貴重品を盗んでは返すという行為を繰り返していた。そして、母親の陽子(木村多江)は、ストレス解消のために忍びの技術で万引きを繰り返していたがBNMに捕まってしまい、見逃すことと引き換えに、ある任務を引き受けることになる。

現代日本を舞台にした忍者と家族の物語

『忍びの家』は、現代の日本に忍び(忍者)が存在したら、どのような活躍をしているのかという設定の見せ方が、とても面白い。
俵家の人々は、国家のためにスパイのような諜報活動をおこなっている。
敵対する忍者と戦う際には、刀などの武器も用いるが、基本的には体術のみで戦う。
ただスマホのような現代的な小道具は使用しており、現代のテクノロジーと忍びの技術がうまく共存している。そのため、時代劇と現代劇の面白さが融合した不思議な世界観となっている。中でも面白いのが、アクションの見せ方だ。

最初に驚いたのが、仕事中に晴が、自動販売機に飲み物を設置する際に、軽く投げて次から次へと設置していく場面。その後も、博物館に潜入する際の凪の姿や、母親の陽子が万引きをする様子などが描かれるが、どれも地味な動きでありながら実は凄いことをやっているという渋いアクションが展開されていく。
後半に進むにつれて派手な見せ場も増えていくのだが、何より日常のすぐ隣で起きている、忍者たちの活動を、地味だが凄いアクションで見せる演出に引き込まれた。

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Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』(Netflixにて独占配信中)

また、本作はホームドラマでもあり、序盤は家族の物語がバラバラに進んでいく。
そのため、複数のドラマを同時に見ているような手触りがあるのだが、別々に進んでいた家族の物語が、やがて一つの物語に収斂されていく。 この構成が、長男を失ったことでバラバラになっていた家族が再生していく姿と重なっており、物語と見事にマッチしている。

このような複雑な群像劇を展開できるのは、全話一挙配信のNetflixならではの強みだろう。
週に1話ずつ放送するテレビドラマだと、人物相関図が複雑になりすぎると視聴者が混乱してしまうが、Netflixなら一気見できる。
同時に、わからないところがあれば、気になるところを簡単に見返すことができる。
だから、どれだけ複雑な展開になってもドラマが面白くなるのなら問題ないという作り手の強い確信を感じる。

Netflixの主力となりつつある、俳優主導の企画

本作は俳優の賀来賢人が持ち込んだ企画が原案となっており、賀来は主演と同時に共同エグゼクティブ・プロデューサーとしてもクレジットされている。Netflix作品は、出演俳優が積極的に関わっている企画が多く、たとえば『イクサガミ』では、主演の岡田准一がプロデューサーとアクションプランナーとして作品に深く関わっている。

俳優が作品制作に深く関わるNetflix作品を観ていて感じるのは、俳優の魅力を引き出すことにうまく成功しているということだ。
『忍びの家』もキャスティングが見事で、俵家の家族はもちろんのこと、晴と牛丼屋で知り合う雑誌記者・伊藤可憐を演じる吉岡里帆や、BNMに所属する沖正光を演じる柄本時生。そしてカルト教団の教祖で、俵家と敵対する風魔党の忍者たちを束ねるリーダーの19代目・風魔小太郎を演じる山田孝之など、出演者全員が素晴らしい演技を披露している。
また、撮影スケジュールの都合で、テレビドラマでは時間をかけて撮ることが難しいアクションシーンが多いことも、Netflix作品の大きな魅力だろう。

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Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』(Netflixにて独占配信中)

『忍びの家』でも、忍者同士の対決シーンを筆頭にアクションシーンがとても多いのだが、賀来賢人を筆頭とする以前からアクションに定評のある俳優だけでなく、蒔田彩珠もアクションシーンに初挑戦している。
是枝裕和の映画などの文学的な作品で見せる繊細な心情を表現する芝居を得意としている蒔田にとって、凪の役はアクションシーンも含め、新境地と言えるものだった。
おそらく俳優にとってNetflix作品は、自分の力を最大限に活かせる場であると同時に、新しいことに挑戦できる場でもあるのだろう。

だからこそ、Netflixの作品に出たいという俳優はとても多い。
『忍びの家』のような、俳優の魅力を引き出すアクション作品は、今後もNetflixで続々と作られていくのではないかと思う。


Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』Netflixにて世界独占配信中

ライター:成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)、『テレビドラマクロニクル 1990→2020』(PLANETS)がある。

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