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「あんたのお金を勝手に使ったの」母から告げられた小学生時代の思わぬ事実。だが、怒りよりも先に出てきた気持ちとは

  • 2026.7.30

四男の口座

私は、四人兄弟の末っ子です。上に三人の兄がいて、家の中ではいつも一番下でした。

子どもの頃、なぜか私の銀行口座にだけ、まとまったお金が入っていたそうです。

お年玉や祝いを、親がこまめに預けていたのだと、あとになって聞きました。

上から二番目の兄が県外の大学へ進むことになったのは、私がまだ小学生の頃です。

実家を離れて暮らすには、まとまったお金がいります。

長男の兄も、いくらか援助したと聞いています。

そのときの私は、自分の口座のことなど何も知りません。

ただ、兄が遠くの学校へ行くらしい、とだけ思っていました。

20代後半で聞かされた夜

その話を知ったのは、私が20代後半になった頃です。

仕事帰りに実家へ寄った夜、母が思い出したように切り出しました。

「あんたに、言っておきたいことがあってね」

湯呑みを置いて、母は少し言いにくそうにしています。

「あんたのお金を勝手に使ったの」

二番目の兄の学費が足りなかったとき、私の口座からも一部を出していたのだといいます。

小学生だった私の貯金です。金額を聞いて、思っていたより大きいことに驚きました。

「勝手に使って、ずっと言えなかった。ごめんね」

母は、そう頭を下げました。責める気持ちが湧かなかったと言えば、嘘になります。

ただ、あの頃の家の台所事情を思えば、母を一方的に責める気にもなれませんでした。その夜は、そうだったんだ、と返すのが精一杯だったのです。

兄が選んだ返し方

その頃、二番目の兄とは、なかなか会う機会がありませんでした。

お互い暮らす土地も離れて、法事で顔を合わせるくらいです。

使われたお金のことを、兄と話す機会もないままでした。

流れが変わったのは、二年ほど前です。兄のほうから、連絡がきました。

「あのときのお金、少しずつでも返させてくれ」

それから兄は、毎月きちんと返しに来てくれます。

無理のない額を、欠かさずに。会うたびに、子どもの頃の話や、昔の家のことを少しずつ話すようになりました。

完済まで、あと二年ほど。正直なところ、返ってくる金額そのものより、毎月顔を出してくれる律儀さのほうが、私にはうれしいのです。

黙って使われたことより、こうして向き合ってくれる今のほうが、ずっと近くに兄を感じています。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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