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「これはおかしい」お盆に家族5人でキャンプ→山道で後ろから“ゴトゴト”と異音が…40代男性の愛車に起きた異変

  • 2026.8.12
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

お盆や夏休みの帰省、キャンプでは、普段より多くの荷物を車に積む家庭も多いでしょう。しかし、「荷物が載るから大丈夫」と考えていると、タイヤや足回りに想像以上の負担がかかり、高額な修理につながることがあります。今回は、私が自動車整備工場に勤務していた頃に対応したお客様の事例をご紹介します。

家族5人分の荷物を積んだ車に起きた異変

私が自動車整備工場に勤務していた頃、お盆休み中にレッカー搬送されてきたお客様、Fさん(40代男性)がいました。Fさんは家族5人でキャンプへ出掛けており、車内にはテントやタープ、クーラーボックス、折りたたみ自転車、キャンプ用品などがぎっしり積まれていました。

「全部積めたから問題ないと思っていたんです」

そう話すFさんでしたが、高速道路を走っている間は特に違和感はなかったそうです。ところが、キャンプ場へ向かう山道に入ってしばらくすると、

「後ろからゴトゴトという音が聞こえるようになってきたんです」

最初は荷物が動いているだけだと思ったそうですが、徐々に音は大きくなり、段差では車体が大きく揺れるようになりました。

「これはおかしい」

そう感じて近くの駐車場で確認しましたが、荷物に異常は見当たりません。その後も慎重に走行を続けましたが、不安が強くなり、ロードサービスを利用して当社へ搬送されることになりました。

点検で分かった、タイヤだけではない負担

早速点検を行うと、原因は一つではありませんでした。まずリアタイヤには偏摩耗が見られ、さらに積載量に対して空気圧が不足していました。ショックアブソーバーも劣化が進み、荷重によって通常以上に沈み込んでいたため、本来のサスペンション性能を十分に発揮できない状態でした。さらにブレーキを確認すると、通常よりも大きな熱が加わった痕跡も見られました。

私はFさんへ、

「荷物が原因というより、荷物によって今まで隠れていた足回りの劣化が一気に表面化した状態ですね」

と説明しました。

実は、車は荷物が増えるほどタイヤが大きくたわみます。たわみが大きくなるとタイヤ内部では熱が発生しやすくなります。しかも真夏のアスファルトは60℃近くまで上昇することもあり、その熱がさらにタイヤへ加わるため、負担は想像以上です。

また、重くなった車体を支え続けるショックアブソーバーにも大きな荷重がかかります。劣化が進んでいる車では、その負荷に耐えきれず、本来の減衰性能が不足して異音やふらつきが発生することも珍しくありません。今回はタイヤ交換だけでは済まず、ショックアブソーバーを含む足回り部品の交換とアライメント調整まで必要となりました。

Fさんは修理内容を聞いて、

「荷物を積んだだけでここまで影響するなんて思いませんでした」

と驚かれていました。

「積めるだけ積める」は「安全に走れる」とは限らない

今回のようなケースは、キャンプや帰省シーズンになると決して珍しい話ではありません。車は荷物を積めるよう設計されていますが、それは適切な空気圧や車両状態が維持されていることが前提です。普段と同じ感覚で、満載の状態で走行すると、タイヤや足回り、ブレーキへの負担は大幅に増えてしまいます。

人数や荷物が増える予定がある場合は、出発前にタイヤの空気圧を確認しましょう。車種によっては、運転席ドア付近のラベルや取扱説明書に「積載時」の推奨空気圧が記載されていますので、その基準値に合わせて調整することが大切です。記載が1種類のみの場合でも、空気圧が基準値を下回らないよう確実に出発前にチェックしておきましょう。

また、重い荷物はできるだけ荷室の床付近や車体中央寄りに配置すると、重心が安定し、車への負担も軽減できます。反対に、高い位置や後方へ重い荷物を集中させると、足回りへの負担が大きくなるだけでなく、走行安定性も低下します。さらに長距離移動では、サービスエリアや道の駅などで休憩する際に、タイヤを目視で確認したり、異臭や異音がないかをチェックしたりするだけでも、トラブルの早期発見につながります。

「まだ積めるから大丈夫」と考えてしまいがちですが、乗用車にも設計上の許容重量があるため、空間的に「積める量」と「安全に走れる量」は必ずしも同じではありません。夏のレジャーを安心して楽しむためにも、荷物を積む前に、車への負担もぜひ意識してみてください。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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