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「高速道路で急に白い湯気」お盆の帰省でレッカー搬送…40代男性が直面した“30万円の誤算”

  • 2026.8.10
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

「冷却水が少し減っているだけだから、補充すれば大丈夫」

そんなふうに考えてしまう方は少なくありません。しかし、冷却水が減ること自体が、冷却系統の異常を知らせるサインであるケースもあります。

私が自動車整備工場に勤務していた頃、修理を担当した常連のお客様、Sさん(40代男性)は、冷却水漏れをきっかけにお盆の帰省中にオーバーヒートを起こし、約30万円もの修理費がかかってしまいました。今回は、その事例をもとに、冷却水漏れを放置する危険性についてお伝えします。

「少しの冷却水漏れ」が高額修理の始まりだった

私が自動車整備工場に勤務していた頃、長年お付き合いのある常連のお客様、Sさん(40代男性)から、お盆休み明けに一本の電話が入りました。

「高速道路で急に水温計が上がってしまって。白い湯気も出てきたので慌てて路肩に寄せて停車しました」

幸い事故には至りませんでしたが、車は自走できず、そのままレッカーで工場へ搬送されました。車を点検すると、原因はウォーターポンプからの冷却水漏れでした。漏れは以前から少しずつ進行していたと考えられますが、日常の短距離走行では大きな異常として現れず、気付きにくい状態だったようです。

しかし、お盆の帰省では片道400kmもの長距離走行に加え、気温は35℃を超える猛暑。さらに高速道路では渋滞が続き、エアコンもフル稼働という、冷却系統にとって非常に厳しい条件が重なっていました。こうした環境が、小さな冷却水漏れを一気に深刻なトラブルへと発展させてしまったのです。

真夏の長距離走行で冷却性能は一気に限界を迎えた

高速道路を順調に走っているときは、走行風によってラジエーターが効率よく冷却されます。しかし渋滞になると、走行風はほとんど得られず、冷却は電動ファンに頼る時間が長くなります。加えて、猛暑の中ではエアコンのコンデンサーからも大量の熱が発生するため、ラジエーター周辺の温度はさらに上昇します。そこへウォーターポンプからの漏れによって冷却水が減少すると、冷却系統は本来の性能を発揮できなくなります。

実は冷却系統は密閉された状態で圧力を保つことで、冷却水の沸点を高くしています。ところが漏れが進むと圧力が維持できず、冷却水は通常より低い温度でも沸騰しやすくなります。その結果、エンジンの熱を十分に逃がせなくなり、水温は急激に上昇します。水温計が上がり始めた頃には、すでに冷却能力は限界に近く、Sさんの車はオーバーヒートを起こしてしまいました。

工場で分解してみると、シリンダーヘッドには熱による歪みが発生し、ヘッドガスケットも損傷していました。本来ならウォーターポンプの交換だけで済んでいた可能性がありますが、

・シリンダーヘッド脱着
・ヘッド面研磨
・ヘッドガスケット交換
・ウォーターポンプ交換
・冷却水交換

などの大掛かりな修理が必要となり、修理費用は約30万円になってしまいました。修理完了後、Sさんは苦笑いしながら、

「冷却水が少し減るくらいなら大丈夫だと思っていました」

と話されていたのが印象に残っています。


「冷却水が減る」は異常のサイン。旅行前こそ冷却系統の点検を

冷却水はエンジンを適正な温度に保つために欠かせない重要な液体です。そのため、目に見えて冷却水が減っている場合は、「補充すれば済む」と考えるのではなく、「どこかで漏れが起きているのではないか」と考えることが大切です。

冷却水は密閉された冷却系統の中を循環しているため、通常使用で大きく減ることはほとんどありません。減少が確認できるということは、ウォーターポンプやラジエーター、ホース、ラジエーターキャップなど、どこかに異常が隠れている可能性があります。

また、夏場は1年の中でも最も冷却系統への負荷が大きい季節です。猛暑の中での長距離走行や渋滞、エアコンの連続使用は、冷却系統の小さな不具合を一気に悪化させる要因になります。お盆や夏休みに遠出を予定している場合は、冷却水の量だけを見るのではなく、

  • リザーバータンクやラジエーター内の冷却水量
  • ラジエーターホースのひび割れや膨らみ
  • ウォーターポンプ周辺の冷却水のにじみ
  • ラジエーター本体からの漏れ
  • ラジエーターキャップの劣化

まで点検してもらうと安心です。

冷却系統のトラブルは、「壊れてから直す」のではなく、「漏れ始めた段階」で対処することが、結果的に修理費を抑え、大切な旅行や帰省を予定どおり楽しむことにもつながります。「冷却水が少し減っているだけ」と軽く考えず、小さな異変のうちに点検・修理を行うことが、大きな出費や旅先での思わぬトラブルを防ぐ一番の近道です。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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