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「隣の畑から流れてきたのに…」大雨の“泥水”で愛車に被害、相手に修理代を請求できないケースも

  • 2026.9.11
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

大雨が降った際、隣の畑から泥水や土砂がマンションの敷地に流れ込み、大事な愛車が汚れたり傷ついたりしてしまったら……。「隣の土地から流れてきたのだから、当然相手に責任があるはず!」と思うかもしれません。

しかし、法律上、隣地の所有者や管理者にどこまで損害賠償を請求できるのか、その境界線は意外と知られていません。

実は、大雨による泥水の流入には、法律(民法)で定められたルールや、責任が発生するかどうかの重要な分岐点が存在します。

今回は、大雨で隣の畑から泥水や土砂が流れ込んだ場合の損害賠償責任や、事前のトラブル対策について、弁護士の寺林智栄さんに詳しく解説していただきました。

隣の畑から泥水や土砂が流入!車の損害賠償は必ず請求できる?

---大雨の際、隣接する畑からマンションの敷地内に泥水や土砂が流れ込み、駐車していた車などに損害が出た場合、畑の所有者や管理者に損害賠償を請求することはできるのでしょうか?

寺林智栄さん:

「大雨によって隣接する畑から泥水や土砂がマンション敷地内に流れ込み、駐車していた車などに損害が生じた場合でも、畑の所有者や管理者が当然に損害賠償責任を負うわけではありません。

まず、民法上、土地の所有者は、隣地から自然に流れてくる水を妨げてはならないとされています(民法214条)。そのため、通常の地形や自然な水の流れによって大雨の際に水や土砂が流入したというだけでは、直ちに違法とはいえません。

一方、畑の造成や排水設備、擁壁などに問題があり、本来想定される以上の泥水や土砂が隣地に流れ込んだ場合には、所有者や管理者の過失による不法行為(民法709条)が成立する可能性があります。また、土地に設置された擁壁や排水設備などに設置・保存上の瑕疵があり、それによって損害が生じた場合には、民法717条の『土地の工作物責任』が問題となることもあります。

したがって、責任の有無は、降雨量だけでなく、畑の地形、排水設備や擁壁の状態、過去にも同様の土砂流入があったか、所有者や管理者が適切な対策を講じていたかなどを踏まえて判断することになります。」

想定外の豪雨と事前の指摘。損害賠償の判断を分けるポイントとは?

---「想定を超える大雨だった場合」と「以前から泥水が流れ込む可能性が指摘されていた場合」では、責任の有無にどのような違いが生じますか?

寺林智栄さん:

「『想定を超える大雨だった場合』と『以前から泥水が流れ込む可能性が指摘されていた場合』では、損害賠償責任の判断に違いが生じる可能性があります。

一般に、記録的な豪雨など、通常予想される降雨量を大幅に超える自然災害によって土砂が流入した場合には、土地の所有者や管理者がその危険を予見することが困難であり、必要な対策を講じていたのであれば、過失が否定される方向に働きます。もっとも、『想定を超える大雨だった』という事情だけで、直ちに責任が否定されるわけではありません。

これに対し、以前から同じ場所で泥水や土砂が流れ込むことがあり、その危険性について近隣住民などから指摘されていた場合には、所有者や管理者が危険を予見できたにもかかわらず、排水設備の整備や土留めなどの対策を怠ったとして、過失が認められやすくなります。

したがって、責任の有無については、実際の降雨量だけでなく、過去の被害状況や危険についての指摘、土地の管理状況などを総合的に考慮することが重要です。」

被害を防ぐために!事前に隣地の所有者へ対策を求めることは可能?

---隣の土地から泥水や土砂が流れ込むおそれがある場合、被害を受ける前に対策を求めることはできるのでしょうか?

寺林智栄さん:

「隣接する土地から泥水や土砂が流れ込むおそれがある場合、状況によっては、土地の所有者に対して排水設備の整備や土留めなど、被害を防止するための対策を求めることができます。

民法では、土地の所有者は、隣地から自然に水が流れてくることを妨げてはならないとされています。一方で、人工的な排水設備の設置などによって水の流れを変え、隣地に損害を与えることは許されません。そのため、土地の造成や排水設備の設置状況などによって、通常の自然な流水を超える泥水が隣地に流れ込んでいる場合には、改善を求められる可能性があります。

また、土砂の流出などによって将来具体的な被害が生じるおそれがあり、土地の管理方法に問題がある場合には、妨害の予防や損害の発生を防ぐための措置を求めることができる場合もあります。

ただし、どのような対策を求められるかは、土地の高低差や地形、排水設備の状況、予想される降雨量などによって異なります。まずは被害状況や過去の流入状況を記録し、必要に応じて専門家に相談することが重要です。」

泥水・土砂トラブルへの備えとして、私たちが「明日からできること」

隣の畑から泥水や土砂が流れ込んできたからといって、すべての場合で相手に責任を問えるわけではありません。そこには自然の流水を巡る民法の基本ルールがあり、実際の降雨量や過去の危険の指摘、土地の管理状況といった複数の要素から総合的に判断されることになります。

もし、将来的に隣地からの流入被害が懸念される場合は、泣き寝入りを避けるためにも、まずは被害状況や過去の流入状況をしっかりと記録することから始めましょう。その上で、状況に応じて専門家に相談しながら、適切な対策や改善を求めていくことが大切です。


監修者:寺林智栄

2007年弁護士登録。札幌弁護士会。てらばやし法律事務所。2013年頃よりネット上で法律記事の執筆・監修を開始。Yahoo!トピックスで複数回1位獲得。読む方にとってわかりやすい解説を心がけています。"

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