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70代男性「急に心臓がドキドキしてきた」救急要請→「持病はない」と答えるも…“救急隊の質問”で発覚した事実

  • 2026.8.21
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。ライターのとしです。

救急現場では、傷病者本人から持病や治療歴を聞き取ります。

ところが、「病気はありません」という答えが返ってきても、本当に何の治療も受けていないとは限りません。

今回は、動悸を訴えた70代男性に質問の仕方を変えたことで、大切な情報が見えてきた事案をご紹介します。

「動悸がする」と救急要請

70代男性から、動悸がするとの救急要請が入りました。

現場へ到着すると、男性の意識ははっきりしており、救急隊からの質問にも落ち着いて答えられる状態でした。

男性は胸に手を当てながら、「急に心臓がドキドキしてきた」と話します。

救急隊は、動悸が始まった時刻や症状の変化、胸の痛みや息苦しさがないかを確認しました。

続いて、これまでに治療を受けた病気について尋ねます。

「何か病気はありますか」

すると、男性は迷うことなく「特にありません」と答えました。

薬について聞くと答えが変わった

救急隊は、さらに質問を続けました。

「普段、何か薬は飲んでいますか」

すると男性は、「血圧の薬なら飲んでいる」と答えたのです。

ほかにも薬がないか確認すると、血液を固まりにくくする薬も服用していることが分かりました。

先ほどまで「病気はない」と話していた男性ですが、血圧を下げる薬を飲んでいるのであれば、高血圧などで治療を受けていることが考えられます。

また、血液を固まりにくくする薬が処方されている背景には、心臓や血管の病気に加え、脳梗塞などの脳血管障害の治療歴がある可能性もあります。

ただ、男性が意図的に隠していたわけではありません。

薬を毎日飲むことが当たり前になり、自分では「病気がある」と認識していなかったようでした。

聞き方を変えることで見えてくる情報

救急現場では、「病気はありますか」という質問だけでは、必要な情報を得られないことがあります。

症状が落ち着いていたり、長年薬を飲み続けていたりすると、本人の中では病気という意識が薄くなっている場合があるためです。

そのため救急隊は、普段飲んでいる薬や通院先、過去に入院したことがないかなど、聞き方を変えながら確認します。

薬の名前が分からなくても、お薬手帳や薬の袋を見せてもらうことで、治療内容が見えてくることもあります。

今回の男性についても、服薬状況は動悸の原因や心臓の病気の可能性を考えるうえで、重要な情報になりました。

救急隊は血圧や脈拍、血液中の酸素の値を測り、心電図も確認しました。
その時点では、これらを含む観察結果に大きな異常は見られませんでした。

検査では大きな異常なし

観察時に目立った異常はありませんでしたが、男性が実際に動悸を感じていたことや年齢、服薬状況を踏まえ、医療機関へ搬送することになりました。

搬送中も意識状態や脈拍、心電図などを確認しましたが、容体に大きな変化はありませんでした。

そのまま医療機関へ到着し、発症時の様子や服用している薬、観察結果を伝えて無事に引き継ぎました。

医療機関で詳しく検査を受けた結果、大きな異常は確認されなかったそうです。

結果だけを見れば、深刻な病気ではありませんでした。
それでも、動悸の原因を確認し、重大な異常がないと分かったことは、男性にとって安心につながったと思います。

傷病者から「病気はない」と言われても、そこで聞き取りを終わらせない。

薬や通院状況について質問を変えることで、本人も意識していなかった治療歴が見えてくることがあります。

正確な状態を知るためには、何を聞くかだけでなく、どのように聞くかも大切だと感じた事案でした。


ライター:とし
元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。


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