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「場違いじゃない?」法事なのに浮いた装いで現れた親戚。だが、お坊さんの優しい一言で状況が一変

  • 2026.7.29
「場違いじゃない?」法事なのに浮いた装いで現れた親戚。だが、お坊さんの優しい一言で状況が一変

檀家に続いてきた法事

私の家は、代々続く檀家の家系です。親戚の法事といえば黒い喪服か、それに近い地味な装いが当たり前で、誰に言われるでもなく、みなが自然とそうしてきました。

その日も、故人を偲ぶ大切な法要でした。

本堂には親戚が静かに集まり、線香の香りがゆるやかに漂っています。誰もが背筋を伸ばし、始まりの時をじっと待っていました。

場に浮いた装い

そこへ、ひとりの親戚が入ってきました。

おじの妻にあたる人で、普段から少し変わった言動が多く、親族のなかでもどこか距離を置かれている人です。

その日の装いに、私は思わず息をのみました。

黒いベールのついた、大ぶりの帽子をかぶっていたのです。

(場違いじゃない?)

弔いの場には、あまりに華やかすぎる装いでした。

周りの親戚も気づいてはいましたが、誰ひとり言葉が出ません。指摘して波風を立てるのも、故人に申し訳ない。みな黙って顔を見合わせるばかりでした。

本人はどこ吹く風で、平然と席に着こうとしています。とがめる声もあげられないまま、重い沈黙だけが本堂に広がっていきました。

お坊さんの穏やかな一言

そのとき、法要を執り行うお坊さんが、静かに歩み寄りました。

とがめる調子はまるでなく、あくまで穏やかな声でした。

「せっかくお越しくださったのですから、そちらのお帽子は、どうぞこちらでお預かりいたしましょう」

差し出された手に、その人も断る理由が見つからなかったのでしょう。

少し戸惑いながらも、素直に帽子を外して手渡しました。

その人も、はっとした表情で我に返ったようでした。悪気があったわけではなく、ただ場の雰囲気に気づいていなかっただけなのかもしれません。

周りに向かって、小さく会釈をしていました。

とげのない一言のおかげで、誰も恥をかかず、その人の面目もつぶれずに済みました。張りつめていた空気が、すっとやわらいでいくのが分かります。

それからは何ごともなかったように、法要は静かに始まりました。読経の声が本堂に満ちるころには、先ほどの気まずさもすっかり消えていたのです。

ひとつ間違えれば、角の立つ騒ぎになっていたかもしれません。それを穏やかに収めてくださったお坊さんの心くばりに、私は深く頭が下がる思いでした。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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