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「お箸は5膳、お願いできますか」必要な数以上に持っていく客。駐車場で私に見せた顔に恐怖

  • 2026.7.29

レジから聞こえた注文

近所のスーパーで買ったものをエコバッグに詰めていた時です。

目の前のレジから、店員さんの声が聞こえてきました。

「お箸はどうされますか」

答えたのは、私と同じくらいの年格好の女性でした。

「お箸は5膳、お願いできますか」

見えたかごの中は、弁当がひとつと日用品ばかりです。ずいぶん多いな、とは思いました。

店員さんは少し間を置いてから袋に入れます。

「かしこまりました」

それで会計は終わりました。誰も何も言いません。私もです。

女性は私の隣の台に荷物を置いて、詰め始めました。ここまでは、どこにでもある光景です。

おやと思ったのは、その後でした。

台の端に、ご自由にお使いくださいと書かれた袋立てがあります。

薄いビニール袋が、束になって差してありました。

女性は両手を伸ばして、それをつかみます。

数えて取るのではありません。束のままグルグルと巻き取って、エコバッグの奥へ押し込んだのです。

手が止まりません。5枚、10枚までは数えましたが、その先は分からなくなりました。

私は思わず自分の手元に目を落としました。見てはいけないものを見た気がしたのです。

出口までの数十歩

詰め終えた女性が、エコバッグを肩にかけて歩き出します。

ところが、隣の台の前で足が止まったのです。

そこにも、同じ袋立てがありました。

女性はまた両手を伸ばし、さっきと同じように巻き取ります。

たっぷりおかわりをして、エコバッグの奥へ。

周りには買い物客も、カートを戻す店員さんもいます。それでも隠すそぶりはありませんでした。

私も荷物を持って出口へ向かうと、自動ドアの前で並ぶ形になりました。

ドアの横にはフリーペーパーのラックがあり、求人や住宅の冊子が何種類か重ねてありました。

女性は、そこで三度目に足を止めました。そして、片っ端から手に取ったのです。

一種類ずつではありません。上から順に、残っていた分をそのまま。

ラックが、空になりました。

冊子を胸で押さえて、女性は駐車場へ出ていきます。私も少し離れて同じ方向へ歩きました。

車のドアに手をかけたところで、女性がこちらを向きました。

目が合いました。

その瞬間に分かったのです。この人は、私が最初から見ていたことに気づいていた、と。

台の前でも、袋立ての前でも、ラックの前でも。

女性は、にっこりと笑いました。そして、こちらへ小さく会釈をしたのです。

とがめられるとも、隠さなければとも思っていない顔でした。

悪い感じのする人には見えません。あの笑顔と会釈が何だったのかは、今も分からないままです。

車は静かに駐車場を出ていきました。私はしばらく、その場から動けませんでした。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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