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「気持ちだけ受け取っておきます」でお菓子を断り続けた私が、同期に頭を下げた理由

  • 2026.7.27
ハウコレ

先輩から「同期があなたのこと心配して相談してきたのよ」と聞かされたのは、電話のフォローが片付いたあとのことでした。

断り続けてきた相手の顔が、頭から離れませんでした。同期がまた菓子箱を抱えて、フロアの席を1つずつ回っていました。

休憩室を回る同期の姿

私は同期の彼女と同じ営業事務のチームに配属されて、3年目になりました。彼女は旅行のたびに人数分のお菓子を買ってきて、休憩室で「よかったらどうぞ」と配るのが習慣になっていました。周りは「気が利くね」と受け取り、私は「気持ちだけ受け取っておきます」と断り続けていました。

理由は自分でもいくつかありました。個包装のお菓子1つで、業務の評価とは別の親しさが職場で流通するのが、私には引っかかっていました。彼女の資料の締め切り管理は私より甘い部分もあって、その甘さがお菓子で許されているようにも見えたのです。私は自分の仕事で認められたくて、菓子箱の前を通り過ぎ続けました。

「そこは自分で確認します」

半年後、彼女とペアで取引先向けの提案資料を組むことになりました。彼女は席まで来て、過去の案件を聞いてきました。私は画面から目を離さず、「そこは自分で確認します」と返しました。

仕事の話であっても、彼女に席まで来て話しかけられること自体が、また距離を詰められているように感じて、身構えたのです。「一緒にやりましょう」と続く声にも、手を止められませんでした。

会議でも彼女は柔らかい提案ばかり出して、私はそれを短くうなずいて聞いていました。心の中では、こういう空気で仕事を進める彼女に、追い越されたくないと思っていました。菓子箱で職場を回るような働き方に、負けたくなかったのです。

先輩から聞かされた一言

締め切りの2日前、私は取引先へのメールに、古い金額表を添付して送ってしまいました。担当者からの返信で気づいた時には、フロアの空気がざわついていました。頭の中では、上司にどう説明するかで埋まっていました。

そこへ来たのは彼女ではなく、私も面識のある先輩でした。「私から取引先に連絡するから、正しい金額表を今から作って」と告げて、フォローの電話まで代わってくれました。

話が片付いたあと、先輩はカップを片付けながら「同期があなたのこと心配して相談してきたのよ。あの子、口では言わないけど、あなたが受け取らないの、ずっと気にしてたわよ」とだけ言い残しました。

そして...

翌日、私は彼女の席まで行って頭を下げました。「あのとき助けてもらって、ありがとうございました」と伝えて、それから「お菓子を受け取らなかったのは、私の意地でした」と続けました。

彼女は「私はなにもしていないよ」と手を振りましたが、先輩に打ち明けてくれたのは彼女だと、私は知っていました。それから彼女は、休憩室で袋を配る代わりに、席まで来て私に一言添えるようになりました。

私はその袋を手のひらに乗せて、短くお礼を返します。認められる働き方が、1つではなかったのだと、今は思っています。

(20代女性・営業事務)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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