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500円高いタクシーで、降り際に聞いた一言

  • 2026.7.27
ハウコレ

「あの、いつもよりだいぶ長かった気がして…」と降り際に口にした私に、運転手はメーターを見て短く事情を話しました。疑いは、以前の記憶からも来ていた気がします。

メーターの数字が、いつもの金額を500円ほど超えたあたりで、私は運転席のミラーに目を上げました。

行き先を告げたあと、助手席で続くこもった声

出張帰りで、駅前のタクシー乗り場から泊まっているホテルまでは、これまで何度も乗ったルートです。行き先を告げて、私はスマホの通知に返信しかけていました。信号を2つほど越えたあたりで、カーラジオではない、こもった声のやりとりが助手席の方から聞こえてきました。

短い案内を、私は生返事で聞き流した

まもなく運転手さんがミラー越しに何か短く声をかけてきましたが、画面から目を上げないまま、私はうなずいた覚えもなく返事もしませんでした。

車が右に折れて、また左に折れて、見覚えのない住宅街に入ったと気づいたのは、そこからしばらくしてのことです。窓の外は、看板の少ない路地ばかりが流れていきます。メーターの数字は、私が普段目にする金額をゆっくり超えていきました。

以前、1人で乗ったときだけ高かった記憶

以前、上司と2人でこの駅から同じホテルへ乗ったときは、確か1000円台の前半で着いた気がします。1人で乗った別の日には、少しだけ遠回りされたような気もして、けれど疲れていて聞けずに終わったことがありました。

今日もそうかもしれない、と思ううちに、ホテルの明かりが見えてきました。メーターは、いつもより500円ほど高い数字で止まっていました。

そして...

料金を支払うとき、私は引っかかっていたことを思い切って口にしました。

「あの、いつもよりだいぶ長かった気がして…」

運転手さんはメーターを1度見て、こちらに向き直りました。

「大通りで工事がありまして、遠回りに見えたかもしれませんね。すみません」

低い、少しかすれた声でした。ホテルの入口で領収書をしまいながら、運転手さんの言葉をようやく思い出しました。あの生返事のとき、「大通りが混んでますので、少し裏を通りますね」と告げられていたのです。

(30代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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