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「『ゴジラ』やレイ・ハリーハウゼンの映画から受けた衝撃はいまも覚えている」ミニオンズの生みの親、ピエール・コフィン監督が語る映画製作秘話

  • 2026.7.24

世界中で大ヒットを続ける「怪盗グルー」「ミニオンズ」シリーズ最新作『ミニオンズ&モンスターズ』が8月7日(金)より公開される。日本でも人気を博し、ユニバーサル・スタジオの顔として親しまれているミニオンズが今作で挑むのは、ハリウッドでの映画作り。いつものかわいい大騒動に友情ドラマ、ロマンスや地球存亡をかけたスペクタクルまで盛りだくさんの物語だ。そんな本作を監督したのが、ミニオンズの生みの親でその声優も担当しているピエール・コフィン。監督としては9年ぶりの復帰となるコフィン監督に、作品に込めた想いやその舞台裏を聞いた。

【写真を見る】仲睦まじいジェームズとヘンリー、エドの“ミニオンズ”トリオ

最強最悪のボスを求めて旅を続けるミニオンズは、ハリウッドに流れ着く。そこで大物プロデューサーに目をかけられた彼らは、一躍ショウビズ界の人気者に!そんななか、物語を作ることが大好きなジェームズは親友のヘンリーやエドを巻き込んで、モンスター映画を企画する。準備が着々と進むなか、足りないのはモンスターだけ。そんな彼らの前に現れた人懐っこいモンスターのグーミーは、モンスター探しを手伝ってくれたのだが…。

「ハリウッドにミニオンズを放り込んだら、彼らはどんなふうに過ごすだろう?」

『ミニオンズ』(15)をはじめ、シリーズで多くの監督を務めるピエール・コフィン Alex J. Berliner/AB Images for Universal Pictures
『ミニオンズ』(15)をはじめ、シリーズで多くの監督を務めるピエール・コフィン Alex J. Berliner/AB Images for Universal Pictures

本作のお題は「ミニオンズの映画作り」。このアイデアは、イルミネーションの創設者で「怪盗グルー」シリーズのプロデューサー、クリス・メレダンドリからもたらされた。

「クリスから電話があり、ミニオンズがモンスター映画を作るお話はどう?と聞かれたんです。構成やキャラクターを含め、これまでのシリーズとは違うものを作りたいと思っていたので、自由に脚本を書かせてもらうことを条件に監督を引き受けました。ハリウッドという小さな宇宙にミニオンズを放り込んだら、彼らはどんなふうに過ごすだろう?どうすればおもしろく、エモーショナルになるだろう?と物語を膨らませていきました」。

物語の舞台となったのは、1920年代のハリウッド。その理由は、映画作りが産業として確立した時期だから。「20年代はスタジオが映画を量産しはじめた、つまり大変革の時代でした。そこに設定したことで、いくつもの作品が同時に撮影される様子をワンカットで見せるなど、エキサイティングな長回しに挑戦できました。当時の映像の質感や音楽、音響、照明の当て方など、様々な要素からからインスピレーションを膨らませ、さらに女性の参政権や禁酒法といった社会的な出来事も織り交ぜることにしました。おかげでこれまでの“ミニオンズ映画”とは一線を画すものになったのです」。

「ミニオン語だけでミニオンズの友情をどう伝えるか」

【写真を見る】仲睦まじいジェームズとヘンリー、エドの“ミニオンズ”トリオ [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
【写真を見る】仲睦まじいジェームズとヘンリー、エドの“ミニオンズ”トリオ [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

そんな本作の核になるのが、映画作りを通して絆を深めていくジェームズとヘンリー、エドの友情だ。しかしミニオン語だけで話す彼らの友情を描くのは、チャレンジだったという。

「彼らは言葉を話さないので、その関係性は視覚的に表現するしかありません。私たちはいつも6か月間のテストをしながら構想を練っていますが、今作の目標のひとつがミニオンズの友情をどう伝えるかでした」。そして思いついたのが“ミニオンズは子どもと同じ”という発想だった。「ジェームズたちの関係性を描く最善の方法は、自分の子ども時代の記憶を呼び起こすことでした。喧嘩をしても、すぐに仲直りして一緒に笑い合った、あの感覚です。それを思いついたことで可能性がいっきに広がりました。ミニオンズは、子どもらしさをとても表現しやすいキャラクターですからね」。

解き放たれたモンスター、フィリップスとハワード [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
解き放たれたモンスター、フィリップスとハワード [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

タイトルどおり、モンスターが重要なポジションを占める本作。劇中にはフィリップスとハワードというモンスターが登場するが、これは1920~30年代のホラー作家で「クトゥルフ神話」の創始者として日本にも多くのファンを持つH・P・ラヴクラフトからの命名だ。「私はラヴクラフトのファン。長年付き合いのある仕事仲間がラヴクラフト風クリーチャーを描くのが好きで、恐ろしいものからキュートなものまでたくさん描きためているんです。モンスター映画がテーマと聞いた時、彼のデザインを使えたらすばらしいと思い、今回それを実現しました(笑)」。

また、怪獣映画からもインスピレーションを受けたという。「私は子どものころ、モンスター映画が大好きでした。『ゴジラ』やレイ・ハリーハウゼンの映画から受けた衝撃はいまも覚えています。特にハリーハウゼンの『世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す』は幼心にSF映画の最高峰だと思っていたので、この映画に円盤を出すことにしました」とうれしそうに語った。

「強い情熱を注いでいる時は視野が狭くなるもの」

ハリウッドの映画監督マックスに気に入られるミニオンズ [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
ハリウッドの映画監督マックスに気に入られるミニオンズ [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

劇中でモンスター映画に着手したジェームズは、制作に没頭しすぎて周囲が見えなくなってしまう。そんな本作の制作中、コフィン監督は周囲から「ジェームズは君そのものだ」と言われたそう。「自分を重ねたわけではなく、深い情熱を持つゆえに、自分を孤立させてしまうような人物としてジェームズを描いたんですが(笑)。自分はそこまで周囲を遮断しているとは思いませんが、その気持ちはわかります。もっともミュージシャンにしろ、彫刻家、作家にしろ、強い情熱を注いでいる時は視野が狭くなるものです。それはクリエイティブなプロセスに潜む本質のようなもの。執着のあまり、現実世界との繋がりを少し見失ってしまうことがありますね」。

本シリーズのお楽しみである、コフィン監督が自ら声を演じている「ミニオン語」も見逃せない。トレーラーでも使われている「ヤキオニギリ」や「ダイフク」、そして「カイジュウ」など本作には数々の日本語が登場する。言葉選びのポイントを聞くと、“しっくりくるか”だという。「一見突飛に思える言葉を、ものすごくシリアスで重大なことのように言うんです。本来のコミカルな言葉が文脈を無視して重々しく放たれる、そのギャップが笑いを生むんです。たくさんの日本語が出てくるシーンがありますが、そのきっかけは私がモンスターのことをずっと“カイジュウ”と呼び続けていたことで、そこから自然発生的に生まれました」。

モンスター映画作りに励むジェームズとヘンリーとエド [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
モンスター映画作りに励むジェームズとヘンリーとエド [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

第1作『怪盗グルーの月泥棒』(10)からシリーズを手掛けてきたコフィン監督。しかし『怪盗グルーのミニオン大脱走』(17)を最後にシリーズの監督から離れていた。本作は9年ぶりの復帰となったが、離れていたことで変化があったようだ。「体重が増え、肉体はガタがきました…(笑)。監督というプロセスは、非常に体力を消耗するんです。私は少し完璧を求めすぎるのかもしれませんね。でもミニオンズの声優としていつも参加していましたし、制作面でもなにかあるたびにアイデアを求められました。『ミニオンズ フィーバー』(22)でもギャグのブラッシュアップには深く関わって、私のシーケンスはほとんどが本編で使われました」。

「未来を担う1番若い世代の彼らを心からハッピーにすることだけを考えた」

長編アニメーションから離れていた間、短編プロジェクトに関わっていたというコフィン監督。そのなかで最も楽しかった作品は、2024年パリでのオリンピック開会式のミニオンズの映像だという。「特別な経験でした。この手の国家的な式典は子どもたちのことなど考えず、大人向けになりがちです。だからこそ、私は未来を担う1番若い世代の彼らを心からハッピーにすることだけを考えました」。ミニオンズたちが様々な競技に打ち込む爆笑のショートムービーは、YouTubeのオリンピック公式ページなどで見ることができる。

コフィン監督の復帰作であり、彼の作家性が色濃く出た『ミニオンズ&モンスターズ』。今後もこのシリーズで監督を続けていくか聞いてみた。「将来のことを言うには、まだ早すぎますよ(笑)。でも今作には本当に満足していますし、自分がこれまでに作ったなかで最高の映画だと思っています!ぜひ楽しんでほしいですね」。

『ミニオンズ&モンスターズ』は、8月7日(金)より公開! [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
『ミニオンズ&モンスターズ』は、8月7日(金)より公開! [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

取材・文/神武団四郎

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