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「1円玉も、お金ですので」落としてしまった小銭。だが、別の売り場の店員の対応に心温まった瞬間

  • 2026.7.26
「1円玉も、お金ですので」落としてしまった小銭。だが、別の売り場の店員の対応に心温まった瞬間

窓際に並ぶ白い大机

開店直後の店内は、レジの列がゆっくり流れます。その日も、常連の女性のお客様の会計を済ませたところでした。

「ありがとうございました」

お客様は窓際へ歩いていきます。

うちの店では、大きな白い机が並んだ場所で、買った品物を袋に詰められます。

硬貨が床に散る音が聞こえたのは、次のお客様の商品を通しているときです。

顔を上げると、その女性が机の前にしゃがみ込んでいました。

「どうされましたか」

声をかけたのは、私ではありません。

通路を挟んだ向こう側、電気コーナーの男性店員でした。

「レジ袋に入れる途中で、落としました」

「お財布ごとですか」

「小銭だけ、全部です。机の下まで転がってしまって」

白い机が動いた

その机は、大人が両手で抱えてやっと動く大きさです。脚の奥は暗く、腕を伸ばしても指先が届きません。

男性店員は袖をまくって、机の端に手をかけました。

「少し失礼します」

一つ目の机が、ゆっくり横へずれていきます。床には十円玉と五円玉が散らばっていました。

「こちらにありました」

「そんな、そこまでしていただかなくても」

「いえいえ」

二つ目、三つ目と、机は同じ手順で動かされます。見つかるたび、硬貨はお客様の手のひらへ返されました。私は持ち場を離れられず、かがんだ背中を見ていることしかできません。

最後の一枚が出るまで

三つの机が元に戻るころには、お客様の手のひらは硬貨でいっぱいでした。

「もう十分です。あとは1円玉くらいですから」

「1円玉も、お金ですので」

男性店員はそう言って、今度は窓の下の細い溝に指を入れました。壁と床のあいだの、わずかな段差です。

「ありました」

つまみ上げられたのは、確かに1円玉です。

「これで全部だと思います」

お客様はしばらく、手のひらの硬貨を見つめていました。

「ここまでしてくださる方、いませんよ」

「落ちていたら、拾うだけですから」

隣で袋詰めをしていた別のお客様が、こちらを向いて言いました。

「いい店員さんがいるね」

男性店員は机の位置を確かめてから、電気コーナーへ戻っていきます。帰り際、女性のお客様がレジの前で足を止めました。

「また、ここで買い物します」

自動扉が閉まったあと、通路の向こうを見ました。男性店員はもう別のお客様の前で、棚の商品を指して説明を始めています。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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