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「内孫が先よ、あんたは後にして」法事の食卓で手を止められた従姉に、大人になった私が返した一言

  • 2026.7.24
「内孫が先よ、あんたは後にして」法事の食卓で手を止められた従姉に、大人になった私が返した一言

祖母の家に集まった日

祖父の法事の日、親戚一同が祖母の家に集まりました。

祖母にとって孫は3人です。長男の娘である私と、父の妹の子である従姉が2人。年はどちらも私より上でした。

「また背が伸びたね」

「今度うちに遊びにおいでよ」

従姉たちは会うたびにそう言って、私を子ども部屋へ連れていってくれる人でした。内孫だの外孫だのという言葉があることを、私はその日まで知りません。

読経が終わり、座敷に祖母の手料理が並びます。煮しめ、いなり寿司、大皿に山になった唐揚げ。

子どもは同じ卓と決まっていたので、私と従姉2人は並んで座りました。

同じ皿に伸びた手

唐揚げの皿に、手が二つ同時に伸びました。

私の手と、いちばん上の従姉の手です。

「あ、先にどうぞ」

従姉がそう言いかけたとき、祖母の手が横から出てきて、従姉の腕の手前で止まりました。

「内孫が先よ、あんたは後にして」

座敷の話し声が、一拍だけ途切れます。

(内孫って、なんだろう)

意味の分からない私は、言われるまま唐揚げを取りました。

従姉は笑って箸を膝に下ろし、何事もなかったように漬物の小鉢へ手を伸ばします。大人たちは誰も何も言いませんでした。

嫁いだ娘の子は外孫、跡取りの子は内孫。

その順番が祖母の世代の当たり前だったと知ったのは、ずいぶん後のことです。

十五年後の同じ座敷

祖母の法事で、同じ座敷にまた親戚が集まりました。

並んでいるのは仕出しの折詰で、卓の真ん中には誰かが持ってきた唐揚げの大皿があります。

従姉と私の手が、また同じ皿の上で重なりました。

「あ、ごめん」

従姉がとっさに手を引きます。上座から伯父の笑い声が飛んできました。

「ばあちゃんなら、内孫が先だって言うところだな」

座敷が笑いに包まれかけて、従姉はうつむいたまま箸を置きました。

膝の上に手を下ろすしぐさが、あの日とそっくりです。私は皿を持ち上げて、従姉の前にそっと置きました。

「順番は、もうないよ」

伯父の笑い声が途中で止まりました。何か言いかけて、湯呑みに口をつけます。しばらくして、隣にいた伯母が小さくうなずきました。

「そうね。おばあちゃんの時代の話よね」

従姉は唐揚げを一つ取って、それから私の取り皿にも一つのせてくれました。

「先にもらっちゃった」

「どうぞ、いくらでも」

伯父は皿が回ってくると、黙って自分の分だけ取って、そのまま隣へ回しました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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