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違和感を無視され「母親の物語化」された子どもたち。表情のない彼らが訴えること【著者インタビュー】

  • 2026.7.21

【漫画】本編を読む

誰でも気軽にSNSや動画で日常を配信できる今の時代、問題視されているのが親が子どもの写真や動画をアップする「シェアレンティング」だ。一度ネットに流れた写真や動画は、完全に削除するのが難しい。その危険性を、私たちは本当に理解しているだろうか。『子どもをネットにさらすのは罪ですか?』(まきりえこ/KADOKAWA)は、そんな社会問題に切り込んだセミフィクションのコミックエッセイだ。

主人公は、モラハラ夫との離婚を目論む山田あずさ。窮屈な日常から抜け出すため、動画配信サービス「デイチューブ」でこっそり配信を始めたところ、予想以上の反響を得た。もっと人気になりたい――。そう思うようになったあずさは、視聴者から好評だった娘・ふうかの出演を増やすように。歪んだ承認欲求は、やがて親子関係に暗い影を落としていく。

自身も母親である著者は、なぜこのテーマを描こうと思ったのか。また、作品を通して読者に伝えたかった想いとは…? 制作の裏側や親という立場であるからこそ感じた葛藤を、著者のまきりえこさんに伺った。

――我が子の写真をネットにアップすることの是非を問う本作は、「子どものプライバシー」と「親の表現の自由」の境界線が描かれているとも感じました。まきさん自身は、どう線引きしていますか?

まきりえこさん(以下、まき):子どもの安全は何よりも守られるべきだと思いますし、将来、子どもに「あれは嫌だった」「もう今さら取り返しつかないけど」なんて言われたら謝っても、謝り足りません。

ただ、私自身は誰もが積極的に発信できる時代が来たことには肯定的です。親がネット文化の実態を把握することは、子どものネットリテラシーを育むことにもつながりますし。

――本作では、親に自分の日常を発信されてしまっている子どもたちが登場します。彼らの表情が次第に失われていく様子がとても印象的でした。

まき:本作に登場する親たちは、我が子に対してSNS受けする演技を要求しています。あずさのママ友・貴山の息子は、そうした投稿に映る自分を「おれじゃないおれ」と表現しています。

「私は我が子に演技は要求していない」「自然体の日常を発信しているよ」と言う人もいるかもしれません。しかし人は、自分の人生を他人に物語化されること自体をあまり好まないのではないでしょうか。発信者である親側は、そのことを頭の片隅に入れておくといいのかなと思います。

たとえ愛情と好意で包んで子どもの行動を発信したとしても、子ども側には取りこぼされた別の感情があるはずです。違和感を無視され、母親の目を通した物語として発信されるのは、子どもにとって嫌なことではないでしょうか。

――本作ではそうした苦しさを、あずさの娘・ふうかの視点から描いていますね。

まき:章を重ねる中で私はふうかにも感情移入していったので、彼女の気持ちを描くのがつらかったです。ふうかは幼く、素直で母親が大好き。でも、親に都合のいい素直さを脱ぎ捨てる成長段階が訪れかけています。しかし彼女の母であるあずさは、自分の抱える問題に忙殺され、娘のその変化を見落としてしまうんです。

――そのような子ども心を考慮して描かれたからこそ、本作は多くの保護者に響いたのでしょうね。ラストも衝撃的でした!

まき:ラストの展開は、かなり早い時期に決めていました。私はあのラストを「希望」だと思って描いています。

取材・文=古川諭香

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