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仕事でメンタルを崩し専業主婦になるも、普通の生活ができなくなっていた…そんな彼女を救ったのは、特別でもなんでもない毎日の料理だった【書評】

  • 2026.7.18

【漫画】本編を読む

特別な素材や調理法で作ったものではなくても、温かな料理を口にすると、どこかほっとして張りつめていた気持ちがゆるむだろう。『心曇る日は ご自愛ごはんを』(うめやまちはる/KADOKAWA)は、そんな普通の料理を通して自分の心と体に向き合う女性の姿を描いたコミックエッセイだ。

著者・うめやまちはる氏は、憧れの仕事に就き、忙しくも充実した毎日を送っていた。ところがある日、小さなミスをきっかけにして転がるように体調が悪化していく。病気を患い、思うように働けなくなったために止むなく退職。そして結婚し専業主婦になったあとも、「普通の生活ができない」ことへの苦しさから、自分に自信を持つことができない日々が続いていた。

そんな著者を変えるきっかけになったのが毎日食べる普通の料理だった。昼過ぎに起き、何もできないまま半日が終わってしまったある日、料理を作る気力も起きずにおにぎりだけでもと用意してみる。しかし、そのおにぎりを目にした瞬間に会社員時代のつらい記憶が蘇ってしまう。そんな後ろ向きになった気分を変えるため、お吸い物の素を使っておにぎりを雑炊にリメイクしてみたところ、温かな湯気とともに嫌な過去の記憶が少しずつ遠ざかっていく。料理とはただ空腹を満たすためだけではなく、体にも心にも元気をくれることに気づくのだ。

このように本作には特別なごちそうは登場せず、味噌汁や目玉焼き、きんぴらなど、身近な料理ばかりだ。しかしその一品一品に向き合う時間は、著者が自分自身を見つめ直す特別な時間になっていく。スーパーには並ばない、いびつな形をした規格外の野菜であっても、味は変わらずおいしく食べることができる。その事実に触れた著者が「自分を活かせる道がきっとある」と前を向くシーンも印象的だ。

本作は、毎日の忙しさで体と心を後回しにしてきた人の心に優しく寄り添ってくれるだろう。頑張ることに少し疲れてしまったとき、自身をいたわるために手に取ってほしい作品だ。

文=つぼ子

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