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「本当に続けてきてよかった」30年以上“ウッディの声”を演じる唐沢寿明、「トイ・ストーリー」愛を語る

  • 2026.7.11

世界初の長編フルCGアニメーション映画として1995年に誕生して以来、スピンオフや短編映画も含め、世界中で愛され続けている「トイ・ストーリー」シリーズ。その最新作にして、世界各国ですでに大ヒットしている『トイ・ストーリー5』が公開中。このシリーズで30年以上、ずっとカウボーイ人形・ウッディの声を担当してきたのが唐沢寿明だ。

【写真を見る】どことなく雰囲気が似ている?ウッディの人形をもってにっこりな唐沢寿明

「ピクサーが作る話が毎回すばらしいから、ここまで続いたと思う」

「ウッディを演じるのは7年ぶりなんですよ。もう少しコンスタントに演じられると本当はありがたいけれど、こればっかりは仕方ないですからね(笑)。でも今回はジェシーが中心の話で、物語で重要なカギを握るキャラクターですからね。ちょっと楽させてもらっちゃった感じでした」と語る唐沢。

最新作で描かれるのは、想像力が豊かで内気なボニーの元に、最先端タブレット、リリーパッドがやってきたことで始まる騒動。ボニーとおもちゃたちの関係が変わっていくことに危機感を抱いたジェシーのSOSに応えて、ウッディは再びボニーの部屋へ戻ってくることに。

試写室では、号泣して立ち上がれなくなる20代〜30代の女性も出るほど感動の嵐を巻き起こしていた今作だが、唐沢自身は鑑賞してどんな感想を持ったのだろうか。「さすがにもういい年齢だし、泣きはしなかったけれど、感動しましたよ。特にジェシーにまつわる話なんかはちょっとジーンとなりました。それからウッディやバズたちをアンディのあとに引き継いだボニーの話も見応えがある。今回はほかの子たちと仲良くするために子ども用の最先端タブレット・リリーパッドを使うことになるわけだけど、本当のところはおもちゃで遊びたいという思いが強い」。

最先端タブレットに立ち向かうウッディ&バズ(『トイ・ストーリー5』) [C]2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
最先端タブレットに立ち向かうウッディ&バズ(『トイ・ストーリー5』) [C]2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

「けれどもいまの時代では、そういうアナログな遊びが好きな子どもが少なくなっているというのは、とても現実的な話。それを含めた葛藤とか、本当にストーリーがおもしろく作られていると感じました。結局ピクサーが作る話が毎回すばらしいんですよ。だからここまで続いたんだと思うし。1作目の時点でウッディとバズはもちろんですが、ハムとかレックス、ポテトヘッド、スリンキー、エイリアンなど、脇に至るキャラクターたち全員のバランスがすばらしくいいと思うんです。そのうえでどんどん増えた新しいキャラクターたちも皆すばらしいし。僕らはただ声を入れさせていただいているだけですけど、本当にいつもよくできているなあと感心させられます」。

「トイ・ストーリー」シリーズは、どの世代でも楽しめる作品だと自負する唐沢 撮影/Jumpei Yamada(ブライトイデア) スタイリスト/勝見宜人(Koa Hole inc.)
「トイ・ストーリー」シリーズは、どの世代でも楽しめる作品だと自負する唐沢 撮影/Jumpei Yamada(ブライトイデア) スタイリスト/勝見宜人(Koa Hole inc.)

シリーズがスタートしてもう30年以上。唐沢も、1作目の声の吹き替えをした時は、まさかここまで続くとは思っていなかったという。「エンタテインメント作品というのは、どれだけ計算して作っても、それが確実なヒットには繋がらないというのが難しいところだと思うんです。誰もヒットの方程式というものがわからない。『トイ・ストーリー』も同様で、幕を開けたら大ヒットしたってことですからね。でもこれだけ長く続いてくると、もう第1作の時は子どもだった方が、大人になって、自分たちの子どもに『トイ・ストーリー』シリーズを見せるということになってくるわけで。もう親から子へと引き継いでいくという意味では、ほぼサザンオールスターズ状態じゃないですか(笑)。どの世代でも楽しめる作品になっているということですからね」。

そういう観点からすると、第5作では『ファインディング・ニモ』(03)、『ウォーリー』(08)の監督であり「トイ・ストーリー」全作品でストーリー制作に携わって来たアンドリュー・スタントン監督と、本作が監督としてはデビュー作となるケナ・ハリス共同監督という新旧コンビが手掛けているが、作品全体に関していままでのシリーズとなにか違うニュアンスを感じているだろうか?

「テイストは以前より、大人っぽくなっているイメージがありますね。子どもが観ていても楽しいだろうけど、より大人が楽しめる作品になった感触。ランディ・ニューマンさんのおなじみの楽曲はもちろんすばらしいけれど、テイラー・スウィフトさんの歌が最後に入ってくると、なんかもう『トイ・ストーリー』を観ているというより、実写の映画を観ているような雰囲気にもなってきてしまうというか。でも不思議と1作目に戻ったというような感覚もあるんですよ」。

「仲間のみんなで力を合わせていく感覚は変わらない」

ウッディ&バズの名コンピが復活!(『トイ・ストーリー5』) [C]2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
ウッディ&バズの名コンピが復活!(『トイ・ストーリー5』) [C]2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

その感覚はウッディとバズの関係性にあるのだという。「いろいろな困難を乗り越えてきたウッディとバズは、仲良くしようという意識はあるんだろうけれど、今回もやっぱり揉めるんです(笑)。というか揉めてないとおもしろくないしね。そのいつも通りの揉め方とか、仲間のみんなで力を合わせて物事を成し遂げていく感覚とか、そういう部分は初期のころと本当に変わっていないし、安心して見られる部分じゃないかな」。

唐沢寿明が30年間のウッディへの感謝を語る! 撮影/Jumpei Yamada(ブライトイデア) スタイリスト/勝見宜人(Koa Hole inc.)
唐沢寿明が30年間のウッディへの感謝を語る! 撮影/Jumpei Yamada(ブライトイデア) スタイリスト/勝見宜人(Koa Hole inc.)

では逆にウッディのキャラクターはどうだろうか。予告編にも使われているように、髪が薄くなっているなど、30年の重みを感じさせる場面などもあるが…。「ウッディの声を担当してきたトム・ハンクスさんのインタビューを読んだら、ウッディの頭がハゲてしまったのは、帽子の着脱のせいで塗料が剥げてしまったからだそうです。あとお腹が出てきたという表現は、経年劣化でお腹に詰められた綿が下がってきたせいらしくて。基本的にはおもちゃは年を取らないから、あえて年を取ったというような表現を僕自身はしていません。むしろ困ったジェシーが、いまはボー・ビープたちと外の世界で自由に暮らしているウッディに助けを求めてきたのを見て、相変わらずみんなから頼られていることに驚きました。本当に頼もしいヤツなんだなと。残してきたバズはどうなんだという話にもなりますけどね(笑)。バズがちゃんとやれよと言いたい部分もあるけれど、なんとなくうまくやらないのがこれまたバズっぽいし。だからウッディとバズはいいコンビってことにもなるんでしょう」。

ピクサー初の長編アニメーション作品『トイ・ストーリー』 『トイ・ストーリー』ディズニープラスにて見放題独占配信中[C]2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
ピクサー初の長編アニメーション作品『トイ・ストーリー』 『トイ・ストーリー』ディズニープラスにて見放題独占配信中[C]2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

ちなみに唐沢としては、シリーズを振り返ってみたら、一番苦労したのはどのシーンになるのだろうか。「シーンというより、一番大変だったのはやっぱり第1作の時です。そもそも声を当てるという仕事をしたことがなかったし、映像を見ながらそのスピードや間に合わせて自分の感情をはめ込んで喋るというのが、すごく難しかった。本当になかなかOKが出なくて、あまりに進まないので、終わらないんじゃないかと思ったくらいでした。第2作の時は歌を歌ったりもしたし。あれで歌のシーンは全部歌っているのかと勘違いされたりもしましたが。やっぱり僕は俳優だし、俳優としてのアプローチしかできないんです。だから『トイ・ストーリー5』でもリリーパッドをウッディが指差して喋るシーンがありますが、僕もつい指差しながら(声を)録音していたり。自然と身体が動いてしまう。やはり声だけに特化して演技をする声優さんとは違うし、かといって声優さんのようなアプローチをするのも無理だしね」。

「ウッディの声を本当に続けてきてよかった」

アンディからボニーにおもちゃが譲り渡される(『トイ・ストーリー3』) [C]2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
アンディからボニーにおもちゃが譲り渡される(『トイ・ストーリー3』) [C]2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

そもそも日本では何年も前から、声優という職業が独自で確立されてきた。「それこそ苦労した第1作のころは、本当にこの大変さを難なくやりとげる声優さんってすごいと思ったし、声優さんならもっと簡単にサラッと終えてしまうんだろうな…なんて考えていたんです。録音の時にトム・ハンクスさんの声をあんなに聞いているのに、彼は僕と同じ“俳優”だっていうことをあまり考えてこなかったんです。それを最近になって意識しまして。やっと、自分も俳優なんだから声優をやってもよかったんだって思えるようになったんです」。

唐沢は「トイ・ストーリー」のウッディ役が自身の代表作になったと話す 撮影/Jumpei Yamada(ブライトイデア) スタイリスト/勝見宜人(Koa Hole inc.)
唐沢は「トイ・ストーリー」のウッディ役が自身の代表作になったと話す 撮影/Jumpei Yamada(ブライトイデア) スタイリスト/勝見宜人(Koa Hole inc.)

第1作から30年以上を経過したいま、ここまで長く同じ人物を演じるなんて、そうないことだと改めて感じているという唐沢。「俳優は次から次へといろんな役になり、いろんな人の人生を生きていくものですからね。多分ですけど、僕が死んだら、絶対にスポーツ新聞に“『トイ・ストーリー』のウッディの声”という一節が代表作として書かれると思うんです。僕たちは死んだあと、この代表作が最後にもらえる勲章みたいなものですから。そういうシリーズになったってことは喜ばしいことですよ。本当に続けてきてよかったなって思います。だって最初に20代の女性で号泣していた人がいたと聞いたけれど、彼女たちが生まれる前からウッディを演じているわけですからね(笑)。それを成し得たというのは、ちゃんとピクサーやディズニーがお客さんに向けて映画を作っているってことの証。教育的にも子どもたちの成長にもひと役買っているってことだし。しかもおもちゃは成長の際にいらなくなるかもしれないけれど、映画はそういう風にはならないですからね。本当に関われたきっかけは偶然でしかないけれど、声を当てることができてよかったなと、いまは素直に感じています。ぜひ、最新作もまずは劇場で楽しんでいただきたいですね」

取材・文/横森文

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