1. トップ
  2. 自分がアルコール依存症になった一番の原因は? 当時を振り返って思うこと【著者インタビュー】

自分がアルコール依存症になった一番の原因は? 当時を振り返って思うこと【著者インタビュー】

  • 2026.7.10

【漫画】本編を読む

「たった一杯だけ」と出勤前に手を出したカルーアミルク。その一杯からアルコール依存症になり、苦しんだ日々を綴ったのが『人生が一度めちゃめちゃになったアルコール依存症OLの話』(かどなしまる/KADOKAWA)だ。著者・かどなしまるさんが、会社の人間関係のストレスをきっかけにアルコール依存症となり、その回復までを描いたコミックエッセイである。駅のトイレなどでお酒を飲んでからの出勤が常習化。仕事にも双子の妹との生活にも支障が出ているのに、それでもお酒がやめられない……。そんな明らかに異常だった日々と、回復するまでの道のりが生々しく語られている。かどなしまるさんに、アルコール依存症だった当時の心境や、振り返ることで見えてきた根本的な原因、自身の性格について語ってもらった。

※本作品はアルコール依存症に関する内容となっており、作品は一部センシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

――本書を読むと、職場の人間関係が理由でアルコール依存症になったとあります。どんな上司・先輩がいたのでしょうか?

かどなしまるさん(以下、かどなし):自分の傷にだけ敏感な先輩や、気に入らないことがあるとロッカーを蹴飛ばす先輩、空気を読まず「自分が正しい」と信じて疑わない上司もいました。

ただ、振り返ると漫画はかなり被害者的に描いてしまった部分もあるなと思っています。お酒に頼るようになった大きな理由は、自分自身の思考にあったと思うんです。自分で自分を責めたり、無意識に「自分はこういう人間だ」とラベリングしたり。先輩や上司に対して気になっていた反応も、自分の中に似た部分があったからだと思います。自分が受け止められていなかった感情や抑え込んでいた部分だったからこそ、他人に対して過剰に反応していたんだなと。「繊細ぶるな」「怒っちゃいけない(感情を出すべきではない)」「空気を読まなきゃいけない」「私はわきまえて存在しなきゃいけない」……今思うと笑ってしまうくらい、自分を抑圧していました。

――あとがきに、当時の職場は「入社できた唯一の会社」とありました。就職活動も苦労されたのでしょうか?

かどなし:学生の頃はとにかく人への過緊張が強くて……。テレビドラマで見るようなイメージの、社内外の人とコミュニケーションを取らなければならない仕事が恐ろしくてたまりませんでした。そのためひとりで作業することが多そうなイメージがあった製造職や品質管理業務ばかり受けていました。実際はひとりで作業することってないんですけどね。大学で勉強していたこととあまり関係がない職種だったため志望動機もうまくまとめられず、自己PRできることも皆無だったので苦労はしましたね。

――アルコール依存症になったあとも、お酒を飲んでいることは隠してメンタルクリニックに通い続けていたとのことですが、そもそもメンタルクリニックにはなぜ通い始めたのでしょうか? お酒を飲むようになってからはお薬を中断していたのでしょうか?

かどなし:職場の先輩も通院していて、勧められたのがきっかけのひとつだったと思います。当時は「薬を飲めば、お酒みたいに現実をすっ飛ばせるんじゃないか」という期待がどこかにあって。本当に危険なことですが薬は中断せず、お酒と一緒に飲んでしまっていました。

――お酒を飲んで会社に行っていたことを、社内の人は気づいていたと思いますか?

かどなし:気づいていた人もいたような、いないような……。最後まで誰からも何も言われませんでした。明らかにテンションが違う日もあったので、周りから見て多少違和感はあったと思います。腫れ物のように扱われていたというか、「触れないほうがいいもの」として見られていたのかもしれません。気づいても言いにくいし、どう関わっていいかわからないですよね。

小規模な会社で、人事部のような相談できる仕組みもなかったのですが、あったとしても知られるのが恐ろしすぎて相談できなかったと思います。当時はひとり爆弾を抱えている心地でした。とんでもないことをしている自覚はありました。

取材・文=原智香

元記事で読む
の記事をもっとみる