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「偽善者ぶって席譲るの?」電車で席を譲った私に嫌味を言う乗客。だが、他の乗客の言葉で状況が一変

  • 2026.7.11
「偽善者ぶって席譲るの?」電車で席を譲った私に嫌味を言う乗客。だが、他の乗客の言葉で状況が一変

譲った席に飛んだ舌打ち

仕事帰りの満員電車だった。

ドアの近くで揺られていると、杖をついた70代くらいの女性が、人をかき分けるように乗り込んできた。

近くの席は、どこも埋まっている。私はとっさに立ち上がって、自分が座っていた席を空けた。

「よかったら、座ってください」

女性は何度も頭を下げながら、ゆっくりと腰を下ろした。それだけのことだった。

ところが、斜め前に立っていた若い男が、大きく舌打ちをした。

乗り降りのたびに肩がぶつかると、これ見よがしにため息をつく人だった。

その男が、こちらをちらりと見て言い放った。

「偽善者ぶって席譲るの?」

一瞬、耳を疑った。周りの視線が、すっと私に集まるのがわかった。

見知らぬ人がかばってくれた

顔が熱くなった。何か言い返そうとしても、言葉が喉で固まって出てこない。

男は続けた。

「どうせすぐ降りるんでしょ。人に見せたいだけじゃん」

うつむきかけたそのとき、座ったばかりの女性が、はっきりとした声で言った。

「全部見てたわよ」

男の動きが、ぴたりと止まった。

女性は杖を握りしめ、まっすぐに男を見上げていた。

「この人は、私が乗った瞬間に立ってくれたの。あなたこそ、席に座ったまま見てたわよね」

男は「は?」と気色ばんだが、女性はまるでひるまない。周りの何人かが、はっと顔を上げた。

「……ありがとうございます」

私がやっとの思いで小声を返すと、女性は小さく首を振った。車内の空気が、ぴりっと張りつめていくのがわかった。

小さくなって降りた背中

すると、少し離れた場所にいた会社員風の男性も、静かに口を開いた。

「さっきから聞いてれば、ずいぶんな言い草だな」

すぐそばの年配の男性も、新聞から目を上げて頷く。近くにいた学生らしき二人も、こちらを見て小さくうなずいていた。

加勢の声は、一つ、また一つと増えていった。

男の顔から、みるみる余裕が消えていく。さっきまでの薄笑いは、どこにもなかった。

男は何か言いかけて、口をつぐんだ。目を泳がせ、それ以上は誰とも視線を合わせようとしない。

「もう、降りたら?」誰かの冷ややかな声が、車内に落ちた。

次の駅に着くと、まだ降りる素振りもなかったはずの男が、逃げるように人混みをかき分けて降りていった。ホームに出たその背中は、ずいぶん小さく見えた。

ドアが閉まると、女性がこちらを見上げて、そっと微笑んだ。

「気にしなくていいのよ。あなたは、いいことをしたんだから」

その一言で、こわばっていた肩から力が抜けた。誰も見ていないようで、ちゃんと見てくれている人がいる。次の駅で私が降りるとき、女性はもう一度、深く頭を下げてくれた。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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