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ガブリエラ・ハーストが“チーム・ウルグアイ”のユニフォームに込めた思いとは?

  • 2026.7.10
Helena Goñi

「なんて素晴らしいの! 全員女性なのね。きっとすてきな仕事ができるわ。」

スペイン版『ELLE』編集部のメンバーと初めて顔を合わせたとき、ガブリエラ・ハースト(1976年、ウルグアイ・パイサンドゥ生まれ)が最初に口にしたこの言葉は、彼女らしさをよく表している。編集部は 実際、全員女性で構成されている。このラグジュアリーファッション界を代表するデザイナーの一人である彼女は、女性の才能を心から愛し、高く評価しているのだ。

そして彼女は、ニューヨークのチェルシー地区にある自身のスタジオへ私たちを迎え入れ、キャリアの中でも最も胸が高鳴るプロジェクトの一つを独占取材させてくれた。それは同時に、彼女にとってまったく新しい分野への挑戦でもある。

2015年に自身の名を冠したブランドを立ち上げ、それと並行して2020年から2023年まで「クロエ」のクリエイティブ・ディレクターを務めたガブリエラ・ハーストは、2026年6月11日~7月19日にかけてカナダ、アメリカ、メキシコで開催されるFIFAワールドカップ2026に向け、ウルグアイ代表サッカーチームの公式ユニフォームをデザインする大役に抜てきされた。

「新しい道を切り拓くことが大好きなの」と語る彼女のこの挑戦には、もう一人の刺激的な女性リーダーが加わっている。ウルグアイサッカー協会(AUF)のエグゼクティブ・ディレクターであり、ハースト起用を力強く後押ししたヴィクトリア・ディアスだ。

ニューヨークのスタジオにて。パーソナライズされたウルグアイ代表のサッカーユニフォームを身にまとったガブリエラ・ハースト(左)と、ガブリエラが手がけたドレスに身を包んだヴィクトリア・ディアス(右)。 Helena Goñi

「この素晴らしい経験をするまでは、サッカーは好きだったけれど、熱狂的なファンというわけではありませんでした。でも今では選手全員のことを知っていますし、もちろん応援するのはウルグアイ代表です!」

まったく異なる分野で活躍してきた二人のプロフェッショナル。しかし、サッカーと祖国への深い愛によって結ばれた二人は、このプロジェクトを私たちへぜひ紹介したいと考えた。

「私たち、最初はWhatsAppで知り合ったんです」とガブリエラ・ハーストは振り返る。「AUF会長のイグナシオ・アロンソが、昨年12月に『この企画が実現可能かどうか話し合ってみてほしい』と私たちを引き合わせてくれたんです」

一方のヴィクトリアは、「あなたが『ガブリエラ・ハースト』になる前から、ずっと追いかけていましたよ」と意味ありげに語る。それは、ガブリエラが2004年にニューヨークで二人の共同創業者とともに立ち上げた最初のブランド「カンデラ」のことを指している。その共同創業者の一人こそ、現在の夫であるオースティン・ハーストだ。

「彼女がいなければ、このプロジェクトは実現しませんでした。本当に多くの男性たちを説得して、『これは実現すべき企画だ』と理解してもらわなければならなかったんです」とガブリエラは感謝を込めてそう付け加える。

そして彼女は再び笑いながらこう語る。「この素晴らしい経験をするまでは、サッカーは好きだったけれど、熱狂的なファンではありませんでした。でも今では選手全員のことを知っていますし、もちろんウルグアイ代表を全力で応援しています!」

さらに彼女は、自国におけるサッカーについてこう続ける。「ウルグアイでは、サッカーはまるで宗教のような存在なんです。それが素晴らしいのは、人と人を結びつけてくれるから。そして、人々をつなぐものは、今の世界にこそ本当に必要だと思います」

自身が手がけたスーツをまとい、スタジオでポーズをとるガブリエラ・ハースト。誰もが気軽に立ち寄れるその空間には、数多くの本や写真、そして家族の思い出の品々があふれている。 Helena Goñi

15年以上にわたりウルグアイのフェンシング代表選手として活躍した経験を持つヴィクトリアは、このプロジェクトが、ウルグアイが世界に誇る二つの分野――サッカーとファッション――を結びつけるものだと強調する。彼女はガブリエラの考えにも深く共感し、こう語る。

「調査によると、ウルグアイでは人々は政治よりもサッカーに関心を持っています。そしてスタジアムは、あらゆる社会階層、宗教、価値観、世代の人々が一堂に会する唯一の場所なんです。これ以上ないほど民主的な空間だと思います」

ガブリエラ・ハーストがデザインしたユニフォームは、洗練された美しさを備えているだけではない。素材には、この南米の小さな国を象徴するもう一つの存在である、ウルグアイ産メリノウールが使用されている。

持続可能なラグジュアリーファッションの先駆者でもある彼女は、誇らしげにこう説明する。「自国を、この土地ならではの素材で表現できることには、とても大きな意味があります。この素材は世界へ発信されるべきものなんです。ポリエステルやコットンが主流になる以前、スポーツウェアはウールで作られていました。私たちの選手やスタッフには、エレガントでありながら通気性にも優れたユニフォームが必要でした。大会はとても暑い環境で行われますからね。そして、ウルグアイ北部で採れるウールに勝るものはありません。このことは世界中の人に知ってもらいたいです」

そして冗談交じりにこう続ける。「マイアミでは、私たちの選手たちがウールを着ると聞いただけで汗をかきそうになる人もいるかもしれませんね」。しかし彼女はきっぱりと付け加える。「実際には、とても軽量なジャカード織りの生地なんです。そして、一着一着オーダーメイドで仕立てられ、選手それぞれの名前とウルグアイ代表のエンブレムがあしらわれています」

「ガブリエラ・ハースト」のウェアをまとい、FIFAワールドカップ2026に向けたウルグアイ代表チームのユニフォーム制作に取り組むガブリエラ・ハーストとビクトリア・ディアス。 Helena Goñi

世界最大のサッカーの祭典において、ウルグアイという国の価値観を体現するアンバサダーとして、この二人以上にふさわしい存在を想像するのは難しい。ガブリエラはこう語る。「アメリカに暮らし、世界中を旅していると、ウルグアイにはもっと世界に知られるべき魅力があると実感します。質の高さ、誠実さ、人の温かさ、そして飾らないシンプルさです。何年か前までは、地図のどこにある国なのかさえ知らない人が多かった。でも今では、サッカーを通して世界に認識されるようになりました」

「それに、私たちの選手たちはたいてい、振る舞いも素晴らしいですからね」とヴィクトリアが言葉を引き継ぐ。「この前パリでUberの運転手さんに『どこの国の人ですか?』と聞かれたんです。『ウルグアイです』と答えたら、『ああ、カバーニ!』と言われました」と彼女はほほ笑みながら続ける。「エディンソン・カバーニは本当に人柄の良い人です。そして、それはウルグアイのサッカー選手たちに共通する特徴でもあるんです」

俳優や著名人、歌手、ダンサーたちと仕事をすることには慣れているガブリエラだが、アスリートたちとの仕事はどのような経験だったのだろうか。彼女は今なお興奮が冷めやらぬ様子で振り返る。「私たちはちょうどパリでのショーを終え、アカデミー賞の仕事をこなし、映画『ハムネット』のためにクロエ・ジャオの衣装を担当して戻ってきたところでした。そんな中で突然、新しいミッションが舞い込んできたんです。たった2日間で、役員から選手まで40人全員の採寸とフィッティングを行わなければなりませんでした」

そして彼女は笑顔で続ける。「私のチームは決して大所帯ではありません。でも、お互いの連携がとてもよく取れていて、心も一つになっているので、スムーズに進めることができました」

ガブリエラ・ハーストのオフィス。 Helena Goñi

ヴィクトリアも付け加える。「選手たちはスーツを試着するのを本当に楽しみにしていました。サッカー選手って洋服は大好きなんです。でも、試着はあまり好きじゃないんですよ(笑)」

その日の様子を思い出しながら彼女は語る。「みんなでマテ(南米の伝統的なお茶)を飲みながら、おしゃべりしたり、お互いの姿を見比べたりしていて……中には、スーツを脱ぎたがらない選手までいました」

一方ガブリエラは、彼らに会ってうれしい驚きがあったと打ち明ける。「本当に親切で、礼儀正しくて、品のある若者たちでした。本当の意味で偉大な人だけが持つ謙虚さを、彼らは自然に備えていたんです」

そのとき、不意にガブリエラの携帯電話が鳴る。「ごめんなさい、これだけは出ないと。娘からなの」そう言うと彼女は電話に向かって優しく話しかける。「無視してるわけじゃないのよ。今、撮影中なの。またあとで電話するね。愛してるわ」
電話を切ると、17歳になる双子の娘、ミアとオリビアについてこう説明してくれた。
「今、どの大学へ進学するか決めているところなんです」

末っ子のジャックは2015年生まれだという。そして彼女は冗談めかして笑う。
「思春期の娘を持つことは、有害なボーイフレンドがいるようなものなのよ」さらにこう続ける。「娘から電話がかかってきたら、何をしていても全部中断しなきゃいけない。そうしないと、『ママ、私のこと無視してるでしょ』って責められるんだから」

同じくティーンエイジャーの子どもを持つ母親であるヴィクトリアも、笑いながらうなずく。「でも、こっちが20回電話しても、あの子たちは出てくれないのよね」。それを受けてガブリエラは、しみじみと語る。「女性は本当にたくさんのことを抱え、面倒を見なければいけません」

ヴィクトリアも続ける。「サッカー協会では、私はいつも物事を整理し、運営し、火消し役になり、誰かが落ち込んでいないか、困っている人はいないかを気にかけています。私たち女性には、人を思いやる力があります。物事への向き合い方も男性とは少し違います。そして困難に直面したときには、より勇敢になり、相手の気持ちにも配慮しながら解決策を見つけようとする傾向があると思います」

「私には一つの持論があるんです。『ガビー理論』って呼んでいるんですけどね」と、ガブリエラはユーモアを交えてそう切り出す。「男性は育ってきた環境の影響もあって、向かいに男性が座っているほうが、ビジネスをしやすいと感じる傾向がある、という理論です」。そして彼女は続ける。「それに、女性を支援している国ほど経済的な成果が高いことは、すでに証明されています。一人の女性が成功すると、その人だけでなく、地域社会全体が引き上げられるんです」

さらに、考古学者マリヤ・ギンブタスの研究を引き合いに出す。「ぜひ読んでいただきたいのですが、考古学者のマリヤ・ギンブタスは、女性が権力を握っていた時代には社会はうまく機能していたと論じています。先史時代、女性は崇拝され、社会の運営や農業を担っていました。私たちは豊穣(ほうじょう)の女神だったのです。ところが、男性が自然を支配するようになると、同時に女性も支配するようになりました」。そして、自身の経験を振り返る。「私が性差別を実感したのは、成功してからのことでした。『君は黙っていたほうがよかったのに』と言わんばかりの男性たちの言葉を耳にするようになったんです」

アトリエには、ダイアナ元妃の写真が飾られている。 Helena Goñi

話題は自然と、「女性のリーダーシップ」というテーマへ移っていく。目の前には、いまだ男性優位の色濃く残る分野で道を切り開いてきた二人の女性がいる。ヴィクトリアはこう語る。「リーダーシップとは、人に刺激を与え、社会に貢献することです。リーダーになるために、必ずしも上司である必要はありません。大切なのは、どんな立場にいても物事をうまく進め、周囲の人たちが力を発揮できるよう支えること。そして、自らが模範を示すことです」

一方、ガブリエラにとってのリーダーシップとは、「人を鼓舞すること。そして、たとえ自分自身が何千もの個人的な問題を抱えていたとしても、その日にオフィスへ持ち込む“空気”や“エネルギー”に責任を持つことです。私にとってチームは、家族でもあるの」

二人はまた、ラテンアメリカの才能、とりわけ女性たちの才能が世界的に高く評価されている現在についても語る。ガブリエラは笑顔で語る。「世界中の人たちは、私たちを結びつけている価値観を理解しています。家族、食べ物、音楽、人生を楽しみ、感情を豊かに表現する力、言葉……そしてポンチョ! あれは大陸全体を結びつける服なんです」。そして力強く続ける。「私たちは皆、どこで生まれたかに関係なく魂を持っています。私たちは苦難を経験しながらも、それを乗り越えてきた文化の中で育ちました。そして最後には、いつだって色彩と喜びが勝つのです」

最後に、二人は願いを口にする。「ワールドカップで一番セクシーで、一番洗練された選手たちが、私たちウルグアイ代表でありますように。そして世界中の人が『わぁ、あの人たちは誰なんだ?』と言ってくれますように……」とヴィクトリアがいたずらっぽく笑いながら言う。するとハーストも笑いながら応える。「私のデザインは、服そのものよりも、それを着る人が輝くことを目指しています。彼らはきっと、ジェームズ・ボンドのように見えるはずよ」

ピッチの上では優勝を手にすることはできなかった。しかし、エレガンスと格好よさという点では、ウルグアイに勝るチームはいなかった。

※本記事はスペイン版『ELLE 』からの転載です。なお、読みやすさを考慮し、一部編集・要約しています。

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