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【ネタバレあり】『トイ・ストーリー5』で描かれた“おもちゃの衝撃の結末”。30周年記念作の核心に迫る映画レビュー&徹底考察

  • 2026.7.10
©2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

史上初のフルCG長編アニメーション映画『トイ・ストーリー』が誕生して30年。ついに新作『トイ・ストーリー5』が完成した。今も多くの人に愛され、ピクサーのアニメーション映画といえばこの作品! と熱愛するファンも少なくない。その新作というだけあって世界中が大注目、今年必見の1作といわれている。そこで今回はその魅力を大解剖してみたい。

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今だからこそ、おもちゃの悩みに共感できる

このシリーズの持ち味の1つは子どもたちがおもちゃに対して抱く、もしくは過去に抱いていた愛だけでなく、おもちゃたちの心境まで繊細に描き出していること。ウッディやバズが初代持ち主のアンディに対する深い想いから、カウガール人形のジェシーがかつての持ち主エミリーから捨てられたトラウマまで、克明に描き出してきた。

今作でもバズやジェシーたちは、新たな持ち主であるボニーのことを大切に思っている。しかしそんな彼らに新たな危機が訪れる。それはデジタル時代の到来。ボニーのもとには「リリーパッド」という名のタブレットがやってきて、彼女の興味や関心を独占してしまう。ボニーは朝から晩までリリーパッドに夢中。ゲームや友達とのチャットにのめり込み、おもちゃには目もくれなくなる。

©2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

ジェシーやおもちゃたちは、そんなボニーの変わりようにびっくりする。なんといってもボニーは想像力豊かで、スーパーアナログな女の子。4作目ではプラスチックのフォークを使って人形を作り、一人遊びしていたことを覚えている人も多いはず。その彼女がデジタルの世界にどっぷりハマってしまったことをジェシーは心配する。リリーパッドがボニーを幸せにしてくれるのならまだいいのだが、ジェシーの目には自分たちと「ごっこ遊び」をしていた頃のボニーの方が幸せそうに見える。どうにかしてボニーをデジタルの世界から取り戻さなくては、という思いを胸に、ジェシーたちは大奮闘する。

©2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

ジェシーの気持ちは、デジタル時代、SNS時代を一通り経験してきた現代人が自分たちに対して抱いている感覚にそっくり。多くの現代人がタブレットやスマホを手放さず、チャットやゲーム、動画で時間を溶かしている。そんな毎日に疲れている人、自分でもこれではいけないと思っている人もいるのでは? 今、デジタルデトックスに興味を持つ人が増え、ボードゲームをしたり本を読んだりといったアナログな遊びに回帰する動きが起きているのもその表れといえる。観客はタブレットに依存してしまうボニーの気持ちも、それに危機感を持つジェシーの心境も痛いほどよくわかる。子どもやおもちゃを描いているものの、今を生きる大人の心にしっかり寄り添ってくれているのが、この作品の魅力なのである。

© 2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

お馴染みのメンバーがパワーアップして戻ってくる

今回大活躍を見せるのがカウガール人形のジェシー。前作で彼女はウッディから保安官バッジを受け継ぎ、おもちゃたちのリーダーになった。もちろん適役だからこそ任命されたのだが、今作ではバッジに相応しい実力の持ち主であることを観客たちにしっかり証明している。ひょんな手違いからジェシーたちはボニーからはぐれて、迷子状態になってしまうのだが、彼女は家に帰るために大奮闘。それだけではない。ボニーのために真の友達を作ってあげようと走り回る。

さらにリリーパッドがピンチに陥ったときには、それまで対立していたにもかかわらず、デジタルの力も駆使して助け出してあげる。その活躍ぶりには手に汗を握りつつ、声援を送りたくなるほど。勇気と頭脳、そして自信を併せ持った新ヒロインの誕生である。

©2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

一方、ウッディとバズはちょっぴりおじさん化。ウッディは後頭部の塗装が剥げてしまってまさにハゲ頭になってしまっているし、お腹もちょっぴりぽっちゃり。久しぶりに再会したウッディの変わりようにおもちゃたちは戸惑う。またバズもスペースレンジャーのアクション人形としては時代遅れ。でもウッディとバズが再会したとき、そこにケミストリーが生まれる

コンビも5作目に入ると、やりとりは円熟味がアップ。連携プレーもほぼ完璧である。磨き上げられたチームワークでジェシーとボニーのために奔走する。1作目から育んできた友情がパワーに変わる瞬間が目撃できる

シュールな面白味が炸裂

感動のシーンばかりではなく、ふっと笑わせてくれる面白い場面が飛び出してくるのもこのシリーズの大きな魅力である。

今回も新キャラ、トイレトレーニング用のおもちゃ「スマーティー・パンツ」がトイレにまつわるギャグを披露してくれたりとコメディ色は健全である。また彼に負けず劣らず、笑わせてくれるのがスペースレンジャー軍団。今回スペースレンジャーのアクション人形たちは機能がグレードアップ。ハイテク化しているのだが、輸送中の事故で小島に流れついている。彼らは箱から出ると、全員で戦隊を組み島から脱出しようと頑張る。スペースレンジャーだから、ルックスは全員バズとほぼ同じ。そんな彼らがずらりと画面を覆い尽くし、同じ顔で同じポーズを決める様子はシュールの極み。見ているだけで楽しい気持ちになれる。

©2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

人生で大切なことをおもちゃたちが教えてくれる

ボニーはジェシーやバズの人形をつかって「ごっこ遊び」をするのが大好き。でもネットいじめに遭い、おもちゃを持ってること自体を恥じるようになってしまう。ネット社会の現代、SNSでのいじめやバッシング、仲間はずれは誰にとっても怖いもの。だからボニーが人の目を恐れ、自由に行動できない気持ちが手に取るようによくわかる。おもちゃが大好きなのにそれをひた隠しにしてしまうボニーの姿を見ていると、ネットいじめの残酷さを実感し、現代社会の問題点をリアルに理解できる。同時に好きなものを好きと言うこと、自分らしく生きることの大切さも改めて胸に迫ってくる。

©2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

これまでの作品を見ていた人は、ジェシーがかつての持ち主エミリーに捨てられたことで今も心に傷を負っていることを覚えているだろう。しかし今作ではジェシーは自信を取り戻し、さらにパワーアップするのである。

そのプロセスを見ていると誰かを愛し、愛されること、必要とし、必要とされることが持っているパワーを感じるはず。SNSで他の人のセルフィーや、充実した生活を送っている(ように見える)動画を見て、自分と比べてしまうのは現代人の病。その結果、自分の価値を見失いがちな人も増えている。そんな観客たちにジェシーの姿は自分がかけがえのない存在だと知ること、自分の価値を自分で信じることの大切さを実感するチャンスをくれる

ちなみに作品のエンドロールにはピクサーからの素敵なメッセージが流れる。ぜひ見逃さないで。

テイラー・スウィフトのエンディングテーマも必聴

プレミアではジェシーと2ショット。テイラー・スウィフト(Taylor Swift) Kevin Mazur / Getty Images

そのエンドロールでは、テイラー・スウィフトがこの作品のために書き下ろしたエンディングテーマ「I Knew It, I Knew You」を歌っている。テイラーの原点ともいえるカントリーミュージックで、テイラーの優しい歌声とほのぼのとしたメロディが観客の心を優しく包んでくれる。またテイラーの書いた歌詞もこの作品のメッセージにぴったり。「I remembered I loved you / Came back when it mattered, I saw you(あなたを愛していたことを思い出した。大切な瞬間に戻ってきてあなたを見つけた)」というフレーズが見終わったあなたの胸に沁みるはず。

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『トイ・ストーリー 5』詳細

想像力豊かで内気な女の子ボニーの成長を見守ってきたカウガール人形のジェシー。しかしタブレットの「リリーパッド」がやってきたことで、おもちゃの毎日もボニーの日常も大きく変わる。タブレットに夢中になる中で、笑顔を失っていくボニー。この一大事にジェシーはウッディに助けを求める。再びタッグを組んだウッディとバズとともに、ジェシーはボニーの心を取り戻すための作戦を考えだす。果たしておもちゃたちはボニーを再び幸せにできるのか!?

  • 監督・脚本/アンドリュー・スタントン
  • 共同監督・脚本/ケナ・ハリス
  • 制作/リンジー・コリンズ
  • 声の出演
  • ウッディ:唐沢寿明/トム・ハンクス
  • バズ:所ジョージ/ティム・アレン
  • ジェシー:日下由美/ジョーン・キューザック
  • リリーパッド:広瀬アリス/グレタ・リー
  • スマーティー・パンツ:佐野勇斗/コナン・オブライエン
  • フォーキー:竜星涼/トニー・ヘイル
  • ボニー:天野叶愛/スカーレット・スピアーズ
  • ブレイズ:白山乃愛/マイカル=ミシェル・ハリス
  • 配給/ウォルト・ディズニー・ジャパン

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2026年7月3日(金)全国劇場公開

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