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妻の出産に立ち会うためW杯離脱を希望したベルギー代表選手を批判、女性キャスターが謝罪

  • 2026.7.9
Rene Nijhuis/MB Media / Getty Images

世界中のトッププレーヤーが集結し、日々熱戦が繰り広げられている「2026 FIFAワールドカップ」。2026年6月、ベルギー代表のジェレミー・ドク(24歳)が、第1子の誕生に立ち会うためチームを一時離脱する意向を示したところ、フランスのスポーツキャスターがその決断を批判。これに対し世論から大きな反発が巻き起こり、注目を集めた。

「出産の場で父親にできることは何もない」と批判

各国の期待を背負い、世界最高峰の舞台で戦う選手たちにとってW杯は、誰もが憧れる夢の舞台。その一方で、彼らを一番近くで支えてくれるパートナーや家族も、かけがえのない存在であるはず。

2026年6月、ベルギー代表の主力選手の一人で、マンチェスター・シティの選手であるジェレミー・ドクは記者団に対し、妻の出産予定日が大会の準々決勝が行われる7月第2週にあたることを公表。彼は、「ベルギーが勝ち残っていたとしても、第1子の誕生には立ち会いたい」と自身の考えを語った。

Jane Gershovich/ISI Photos / Getty Images

しかし、フランスのスポーツ専門局『L'Équipe』の番組で司会を務める女性スポーツキャスターのフランス・ピエロン氏は、ドクの意向を批判。『TODAY.com』によると、「ワールドカップに出場できるのは一生に一度あるかないかの貴重な機会であり、家族の事情よりも優先されるべきだ」と主張したという。

「彼のようにW杯の舞台に立ちたいと願うサッカー選手は何百人もいます。W杯に出場することは、本当に特別で、子どもの頃からの夢がかなう瞬間なのです。それなのに、子どもの誕生に立ち会うために、そのすべてを手放そうとしている。失礼な言い方かもしれませんが、出産の場で父親にできることは何もありません」

SNSで多くの批判を受け、謝罪することに

ピエロン氏の発言は瞬く間に拡散され、SNS上で大きな反発を巻き起こすことに。騒動を受け、『L'Équipe』はピエロン氏の発言について「当社の価値観とは大きくかけ離れている」との声明を発表し、ドク本人と視聴者に謝罪。

また、ピエロン氏も自身のXに声明を投稿し、自らの発言について謝罪をしている。

「私は異なる意見を交わす議論の中で、個人的な見解を述べていました。これらの発言は私個人のものであり、いかなる意味でも組織や集団としての立場を反映するものではありません。私の発言によってショックを受けたり、傷ついたり、不快な思いをした方がいたことは理解しています。そのことについて深くおわびします。また、父親がパートナーや子どもに寄り添い、果たす役割を軽視するつもりはまったくありませんでした」

イングランド代表選手もドクの決断を擁護

記者団に対し、「いつ出産になるかにもよりますが、第1子なので、ぜひその瞬間には立ち会いたい」と語っていたドク。

一連の騒動はサッカー界でも話題となり、『AP News』によれば、イングランド代表のオリー・ワトキンスは、第1子の誕生に立ち会うためW杯を一時離れる意向を示したドクを擁護。「家族はサッカーよりも優先されるべきだ」との考えを示した。

「まず、出産という出来事を『不快』という言葉で表現するべきではありません。第1子の誕生は人生で一度きり。その子をこの世に迎える瞬間はかけがえのない祝福であり、二度と同じ機会は訪れません。シーズン中は家族や友人と離れて過ごす時間が長く、そのぶんつらい時期も多い。だからこそ、その瞬間を逃してしまうのは本当につらいことなのです」

またワトキンスは、人生の大きな節目においては、選手自身が家族を優先するかどうかを自由に決めるべきだとの考えを示し、「ドクの気持ちはよく分かる。彼には帰国して、その場に立ち会う権利があると思います」と語った。

Rich Storry / Getty Images

「私たちは恵まれた立場にいると思いますし、彼ならできるだけ早く妻・シリーンさんのもとへ駆けつけて支え、その後チームに戻ることもできるはずです。だから、これは他人がとやかく言うような問題ではない。彼が帰国して出産に立ち会うという選択は、十分理解できるものです」

さらに、自身が同じ状況に置かれても同じ決断をすると明かし、「私もそうします。そのことの何が問題なのか、正直分かりません」と語ったという。

出産に立ち会うため、妻のいるロンドンへ

そして6月22日に公開されたベルギーサッカー協会の声明によると、ドクは試合前日に、妻の出産が間近に迫っているとの連絡を受け、代表チームのメディカルスタッフと協議した結果、一時的にチームを離れてロンドンにいる妻のもとへ向かうことにしたとのこと。

そして母子ともに健康であり、息子は「プレイズ」と名付けられたことも発表された。また、 ベルギー代表のチームドクター、ブラヒム・アセン氏は次のように述べている。

「ジェレミーは試合前日、妻の出産が間近に迫っているとの連絡を受けました。数日前から必要な治療を受けていたこともあり、医学的な問題なく家族のもとへ向かうことができました。チームドクターのブレヒト・デ・コニンクも同行し、出産は無事に終わりました。母子ともに健康で、ジェレミーも元気です。彼は明日の夕方にはシアトルで代表チームに再合流する予定です」

『BBC』によれば、現在FIFAは、女子選手に対して最低14週間の有給産休を義務付けており、そのうち少なくとも8週間は出産後に取得するよう定めているとのこと。一方で、男子選手の育児休暇については明確な規定が設けられておらず、家族を優先するか競技を優先するかは、それぞれの選手や所属チームの判断に委ねられているのが現状だという。

また、子どもの誕生を優先してチームを離れた選手は、ドクが初めてではなく、2018年には、ファビアン・デルフが、娘の誕生に立ち会うため、2018 FIFAワールドカップ期間中にイングランド代表のキャンプを離れて帰国。同年には、ダビド・シルバも、息子が早産で誕生したことを受け、所属クラブの2試合を欠場している。

世界中からさまざまな意見が飛び交った今回の騒動。世界最高峰の舞台に立つアスリートであっても、家族とのかけがえのない時間をどう守るべきか、そして父親が出産や育児に関わることの意義について、あらためて考えさせるきっかけとなった──。

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